〜 辻本 隆のNight Surf Game 〜
写真/文 松井謙二
2年前の秋、この「フィールド レポート」の取材で高知県須崎市在住の辻本 隆氏のサーフゲームのロケを行なった。タイトルは「フィードシャロー128プラスとTKLM 2本のリップレスミノーを使うとサカナの動きが見えてくる!」だった。辻本氏は昼間のサーフにて良型のヒラメを2枚キャッチ。夜のサーフでは見事に2本のヒラスズキをキャッチしたのだった。
そして、今回の取材においても初日の夜はランガンで三箇所のサーフを回り一度のバラシに終わったものの、2日目の夜は2箇所のサーフを回り反応無しに終わり、最後に入った潮の引きに入ったサーフにおくいて氏の読みが的中した。夜の10時30分からヒラスズキの爆釣が始まり、小〜中型を3本キャッチ! その後ヒラスズキのバイトが止まると、今度は口太グレの良型がフィードシャローに当たり出した。
一般的に回遊待ちとされるサーフの釣りだが、潮位を見てそのサーフの潮の動きや波の立ち方を読み、高知の夜のサーフをランガンで攻めて多くの実績を上げている辻本氏に、サーフ攻略の真髄を語ってもらった。
(1)ポイントの選択
(松井) ショアの釣りにおいては1番にポイントの選択が最重視されるのですが、今回はサーフの釣りにおいて精通している辻本さんにポイントの読み方をかなり掘り下げて語って頂こうと思っています。夜のサーフでヒラスズキをキャッチする為の極意を教えてくださいね!
(辻本) 最近はたまに磯のヒラスズキのデイゲームもしますが、夜のサーフの方が安全でヒラスズキの型もよく数も釣れるのでサーフの釣りを主としてやっています。一般にサーフと言ってもサーフィンが出来る様な遠浅のサーフからドン深のサーフもあるのですが深いサーフは今までに良い結果が出ていないので好んで行くのは浅いサーフです。高知の南西部は浅いサーフが多いですし、サーフは低気圧や台風、大雨などで地形が大きく変化します。当然、それによってポイントの変化があるので、その辺りがサーフの釣りの面白さで飽きませんね!
(松井) まず初めにポイントの目安としては?
(辻本) 広いサーフの中でもサカナの釣れるポイントは必ず変化のある場所です。その一つが離岸流ですね。沖からサーフに入ってくる流れがあると必ず沖に向かって行く流れ、離岸流が発生します。その流れの境目が1番わかりやすいポイントです。ルアーをキャストしてみると、ルアーの引き抵抗が違うのでわかります。当然、沖へ出る流れにルアーを泳がせると良く泳ぎます。
次に「浅いところは波が立つ!」と言う事。当然、波が崩れないところは深いですから、キャストする場所はその境目です。サカナはサーフの駆け上がりや潮の流れの壁や水面に深いところからベイトを追い詰めて捕食するので、その様なポイントを狙っています。あとは、サーフの切れ目がゴロタ浜だったり、磯場になっていたりするサーフが多いので、その境目を良く狙います。
(松井) 昨晩、ヒラスズキとグレが釣れたポイントも磯とサーフの境目でしたね!
(辻本) 昨晩、最後に入ったポイントはサーフと磯との境いで満潮時は波が立ちませんが引き出したら磯が顔を出して波が立ちます。その流れが磯に当たって左右に広がる流れが発生してサカナは必ずそのタイミングで喰ってきます。大潮周りなら満潮では波が無いが潮が引けば波が立ちます。波が出て強い流れが出る時にポイントに入らないといけません。その日の潮位を見て、目的のサーフに行く時間を組み立てます。サーフでも磯でも一緒ですが、満潮から引きに入ったり干潮から満ちにに入る潮の動き初めに何処のポイントでもサカナは食ってきます。それから、サーフの地形によっては満潮、干潮に関係なく、それが発生するポイントに入る事です。
(松井) とにかく広いサーフで変化のある場所、その変化が起きる時間帯に入る事がサーフでヒラスズキに近づく一歩ですね。サーフにある川の流れ込みなどはどうですか?
(辻本) どんな小さな川でも、その川の流れが河口で切れていても川の流れ込みは良いポイントです。真水が入ってくるとプランクトンが増えるしベイトも溜まります。そこそこの川であれば春は稚アユが河口に集まり登りますし、秋には落アユが大水が出たら海に落ちます。川があるだけでベイトの種類も増えます。磯が近ければ磯の生き物、サーフでは砂地の生き物とサカナが捕食するエサが多いです。ポイントに変化があってもベイトがいなければ辛い釣りになります。
(松井) ベイトに関してはサーフではどんなベイトが? ベイトがサーフに入っている時は釣れる確率は高いでしょう。
(辻本) 意外にもその関係は難しいです。大雨で河口にアユが流されたり、カタクチイワシが大量に接岸している時は釣れる確率がかなり高いですが、夕方に鳥がサーフの上を飛んでいたり、波打ち際で小魚が跳ねたり、小さなナブラが出たりする時はサーフにベイトが入っていて釣れそうな気がしますが、昨晩もルアーにカタクチイワシが引っかかってきたけど釣れなかったでしょ!高知のサーフのベイトはおおかたカタクチイワシ、キビナゴでマイワシは無いです。春は稚アユ。コノシロがベイトの時は大型のルアーでないと釣れません。他にはカニの産卵後にメガロバと言うカニの幼生が多く発生します。エビの様な形をしているのですが一度脱皮したらカニの形になります。そいつが大きな石や磯にひっ付いていて、波が来たら流されて水中に漂います。それを喰いにヒラスズキが来る。その時はタイトに磯を攻めないと釣れない。そんなパターンもあるんです。
(松井) 私はよく辻本さんに、出来れば日があるうちにポイントに入って写真を撮りたい!と言いますね。それは真っ暗になってしまうとフラッシュを焚かないと写真が撮れないし、海に向けてライトも照らせない。アングルが決まってしまうからですが、意外にサーフは夕まずめは釣れませんね!
(辻本) 川のヒラスズキも一緒ですが、サーフではかなりのベイトが初めから入っていない限り夕まずめに釣れる事はほとんどありません。ただ、日のあるうちに行ってポイントや状況を確かめるのはいい事ですが、何故か磯のヒラスズキなどは朝まずめから太陽が昇ってもアタリが続く事は多いですがサーフでの夕まずめはそんな事は無いですね。おそらく夕まずめはカタクチなどのベイトが沖から暗くなるにつれてサーフに入ってくる。それからヒラスズキが入って来る。そのタイミングだと思います。朝まずめは太陽が昇ってからベイトが沖に出ていく。タイムラグがあるのかな?サーフのヒラスズキは真っ暗になってから喰ってくるのがほとんどです。
(2)フィードシャロー プラス
(松井) 最後に辻本さんが激愛している「フィードシャロープラス」について語って下さい。
(辻本) まず、私はノーマルのフックからオーナーのSTX58の4番に変えています。サイズは一緒ですが元の46より少し太くて、そうする事でルアーは少し重くなります。飛距離も少し伸びますが、ノーマルよりも少し沈み、水に浮かべるとルアーの頭だけ出してタテに浮きます。ウエイトバランスが絶妙になりラインを張るだけで沈んで浮いて、水面直下のサスペンドになります。これがキモです。
そして、その泳ぎは流れの速いところではウォブリングがキツくなり、流れのないとこでは小さなウォブリング。その辺りが本当に絶妙でルアーが流れの中に入ったら急にテールを振ったり、そこを抜けたら抵抗を受けずにスーと泳いだりする。ルアーの動きが自然でただリールのハンドルを回しているだけで自動的に喰わすタイミングを作ってくれるルアーです。
タックルはPE1.5号を200メートル以上スプールに巻いて、リーダーは30ポンドです。一度キャストしてルアーを引いてくる間にフッと軽くなったり、逆にグーと重くなったりルアーが泳ぎだすのが慣れてきたらわかります。水中の情報がルアーの動きでラインとロッドを通して手に取る様にわかりますから、真っ暗のサーフでもしっかりと釣りが出来ます。
「これで釣れなかったら今日は釣れない!」と思えるルアーです。パイロットであり最終手段でポイントに見切りをつける事が出来るルアーです。