「P-Boy Jig ドテラ流しで青物攻略!」

写真/文 松井謙二

今回は「Field report」で今年の春に取材した山口県角島沖に「景漁丸」📱090-2110-1768にてキャスティングとジギングでヒラマサ狙いで本間 啓嗣氏と釣行した。10月中旬というのに角島沖の水温は24.7度もありハマチ、メジロクラスは数が釣れたが狙いのヒラマサは一本も出なかった。

前回は本間氏にクロマグロのキャスティングゲームについての話をうかがった。今回はジギングにおいても大型青物を数釣り上げている本間氏に「P-Boy Jig」でのジギングについて語って頂いた。

(松井) 本間さんは「P-Boy Jig」を使いこなして大型青物や根魚をかなり釣っていますが、はじめに、このジグの特徴を教えていただけますか?

(本間) 私は「P-Boy Jig」バーチカルの150g(143.5ミリ)135g(130.5ミリ)115g(115.0ミリ)をその時の海中での状況によって使い分けています。実際にバーチカルと言ってますが、私はジギングではドテラ流し(ポイントの上を潮まかせ、風まかせで船を流す)で使う事が多いのですが、ジグの形状からしてリアウエイトのバックサイド系のジグで少しだけ引きおもりがありますが、スパンカーを立てて真下にジグを落とすバーチカルジギングから、私の好きなドテラ流しでも問題なく使えて使い勝手がいい、どちらの船の流し方でも十分に楽しめるジグです。

バーチカルジギングは船をスパンカーで立てて真下にジグを落としますから左右両舷で釣りが出来て、同じポイントを時間をかけて攻める事が出来るので有効な手段で、深い水深や根魚を狙うには有効な釣り方です。ヒラマサやブリといった青物を狙う時はドテラ流しの方が仕掛けが斜めに入って、サカナに対して船からのプレッシャーも少なくいです。ラインがMAX45度ぐらいになりますが、ボトムからジグが斜めに上がって来るので当然ジグを泳がす時間、サカナにコンタクトする時間が長いので、この流し方で青物を狙っています。例えば海底からベイトの反応が20メートルとしたらバーチカルだと垂直に20メートルですが、ドテラ流しでラインの入る角度が45度になると20メートル以上ベイトのいる層をジグで長く斜めに引けます。ドテラ流しの時はスロージギング系のヒラヒラとフォールするジグは使いにくく「P-Boy Jig」はそうでは無くて使いやすいジグです。上は150gまでですがドテラ流しのジギングでは180g 200gまであれば嬉しいですね!

(松井) ジグの操作、動きはPEラインの太さで大きく変わりますね!

(本間) ドテラのジギングで風が強い時は潮の抵抗がかなりあるのでラインを1号落として軽いジグでも沈むようにすると、重いジグでラインが太い状態で1流し3回しか底どり出来ないとこが、細いラインだと4〜5回底どりが出来るので効率よく攻める事が出来ます。バーチカルの時は問題ないですが、ドテラ流しの場合には潮と風が日によって違うので、風と潮が同じ方向に流れていたら船は流されるのが早いし、逆に潮と風が反対なら船が流れない場合もあります。

「P-Boy Jig」の様にジグのウエイトバリエーションがあるとある程度細かく底どりが出来る様になるので、船長が「底から20メートルまでベイトの反応あり!」という時にその水深を数多く攻めるにはジグのウエイト調整とラインの太さが重要になってきます。

「P-Boy Jig」の泳ぎは素直でとても扱いやすいです。ロッドを力を入れてしゃくるとジグが横に逃げてスライドしてフォールします。そのままフォールさせるとリヤが重いのでバックスライドで入っていきます。このジグはワンピッチジャークで力強くしゃくるジグでは無く、潮になじませて泳がすジグで激しく動かさなくても十分にアピールできるジグです。そして、ロングジグの様に動かし方が決まってないのでジギングビギナーからベテランまでが使えるジグです。

私はジギングで最初に投入するパイロットジグ、例えば「P-Boy Jig」の135を投入して「今は潮が早いので底着するのが遅いから150gがいいか?」という感じでジグのウエイトを選びます。ジグが軽すぎると当然、底どりが遅くなります。

(松井)ジグのカラーについてはどう考えますか? フックのセッティングについても教えて下さい。

私はベイトがイワシ、小サバ、アジなどの時はグロー系はまったく使いません。「P-Boy Jig」のように目だけグローとか、背か腹だけグローとか少しのアクセントでいいかもしれません。

私がグローを使う時はイカパターンの時と潮がかなり濁っている時、そして、かなりの曇天の時にゼブラカラーのグローを使います。「P-Boy Jig」ならイワシ、ブルー、グリーン、ピンク、オレンジがあれば十分です。釣れないからとあれこれジグを変えるよりも自分の使い慣れたジグを使い通す方が釣れる事は多いと思います。

フックについては青物に関して、サワラなどを除いて言えばリアフックは付けないのか基本です。ほとんどの場合にはアシストフックはシングルで使いますが、食いが大変渋い場合はツインで細くて刺さりやすいハリをセットします。ジグにハリが巻き絡みする時はハリのサイズを大きくするか、自作でアシストラインの長さを5ミリ短くして対応します。

(松井) 本間さんのタックルを教えてもらえますか?

(本間) ルアーを動かすのに最も大切な事はタックルのバランスです。私の場合はジギングではタックルを2セット用意します。ロッドは柔らかめのラグゼS62L-Fとそれよりも少し硬調のS62ML-Fを使っています。リールはステラの20000番を2つ、でスプールにインジケータをつけて一方にPE2号を300メートル以上で40LBのリーダー。もう一方にPE3号を300メートル、リーダー40~50LBとしています。そして、柔らかい62LのロッドにPE3号のステラを、Lのロッドより少し硬い62MLに2号ラインのステラをセットしています。通常は強いロッドに強い号数のライン、柔らかいロッドに細いラインと考えるのですが、その考え方とは真逆です。

そのタックルの理論ですが、ジギングでは深いレンジを狙う時はラインを細くする事とロッドを硬くする事で当然ですがジグは良く動きます。現在のPEラインは強度がかなり上がっているのでPE2号でも私の狙いの魚が漁れるのであればPE2号でリーダー40LB、ロッドをMLとするんです。そのタックルでジグを早く底に落とせますしロッドの弾力が強いのでジグが良く動きます。ジギングではロッドが強いからと言ってラインを太くする必要はありません。そして、その2つのタックルを状況によって使い分けて、もう一つ大切な事はロッドのアクション、曲がる力でジグを強く引くのか?またはリールを巻く力でジグを強く引くのか?と言う事です。

要はロッドとリールでの2つのジグの動かし方があり、ロッドを強くしやくるとジグは横に跳びます。バーチカルで底物を狙う時はジグをロッドの反発で強めに引いてフォールの間隔を少し多めに取りアピールします。また、ドテラ流しでは底を取るごとにラインに角度がついていくのでロッドで強くアクションを付けずにリーリングのスピードを強くしてルアーを上手くコントロールします。ハンドル一回転の巻くスピードを速くするとジグは初速が付いて速く動きます。ロッドでジグにアクションを付けるとジグが横になって跳ぶのと、ジグが斜めに寝ている状態でリーリングを速くして水中を泳ぐのとは、また異なる動きなんです。ラインの角度がついてジグが斜めになるほどロッドでしゃくるのでは無くてリールの力で引くんです。その感覚を状況に合わせてどちらに持っていくかと言うー。ちょっと難しいですかね。

(松井) ステラの20000番でジギングした事無いからな。その感覚はわかる様でわからないな。

(本間) 要は一投目は少し角度はついていますがロッドアクションも少し大きく取って着底からリール10回転、約10メートルをジグを横に飛ばします。ドテラ流しだとラインの入り方にどんどん角度がついていきます。そうなっていくと今度は少しづつリールを巻くスピードでジグに初速を付けていくのです。ラインの角度がつくほどロッドアクションよりリーリングが強くなってくると言う感じですか。

(松井) 何故ステラの20000番を使うのですか?

(本間) ステラの20000番はパワーギアだけなんです。20000番のスプールの径は大きいのでPE3号、2号のラインをギリギリまで巻いて100メートルラインが出てもラインが入っている径はあまり変わりません。例えば6000番でラインが100メートル出たらラインの巻き量が小さくなりリールのハンドル一回転で80センチも巻けません。それが20000番なら100メートルラインが出ても100センチは巻けるので深いポイントでもしっかりとジグが動きます。18000番でもいけますが20000番と比べたら引き重りがするし、ハンドルも大きいので巻き疲れしないので大きいサカナとのやり取りも楽です。

先程も言いましたがドテラ流しで青物を狙う時はロッドの入力を控えめにしてリーリングの速さでアピールする事と、それにピッチの差を変えてジグにイレギュラーの動きを与えます。

同じ様にワンピッチで弱くしゃくっている様に見えますが、そのあたりは少しずつタイミングをずらしたりして青物を狙います。

(松井) 最後に本間さんがジギングでサカナを釣るのに1番大切な事とは?

(本間) 自分の使っているタックル、ロッド、リール、ラインでジグを泳がす感覚を身体と頭でしっかり掴む事。船長が「底から何メートルにベイトの反応がでています!」と言ったら底から反応の出ている水深をしっかりと徹底的に攻める姿勢が釣果に結びつくと思います。

今、ベイトが底べったりにいるのなら10メートル以上は上げないとか、全層にいるのなら35回上げてくるとか。ジグを泳がす層が合ってなかったら、上げ過ぎれば一流し3回のサカナとのコンタクトを逃してしまいます。釣れるタナは周りの人からも答えがもらえます。「隣の人が底着して3しゃくりでヒットしたとか、ヒットしてから何回リールのハンドルを巻いて取り込んだとか!」また、ヒラマサなどはジグにまとわりつくように食ってくるので、その水圧の変化でバイトしてるのがわかります。とにかく潮の流れ方、風の方向、船の流れ、太陽の位置、鳥の動きなどを考えてしっかりとその日の状況に相応しいタックルを選び、「どの角度でジグを入れてどんなロッドアクションとスピードで食わすか!」です。

「P-Boy Jig」はドテラ流しの釣り方で良い結果が出ています。大きなサカナも小さいサカナも食ってくる、フィールドを選ばない万能ジグだと思っています。

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