K-TENブルーオーシャンに込めたもの

BKF115 世界初の全自動重心移動システム内蔵のプラスチックプラグとして、発売されてから二十年以上が過ぎました。
 当時、和製の海用のルアーがまだ少なく、私も外国製のルアーを使用していました。夢としては、それらを越えたいと思いつつも、敬愛する故、真似するわけにもいかず、全く異なる姿と能力を身に付けるには困難を極めました。
 開発当初、全国のルアー事情に精通するほど、それに対応することの難しさが身に染みました。要求される課題が日に日に増していったのです。
 飛びはもちろん、超低速から超高速までアクションし、表層を引けることはもちろんその気になれば1・5m程度潜らなければならない。そして流行の兆しが見え始めたシイラや青物を相手に壊れてはならない。今と違って、ルアーローティションが少なく、一本で数万回のキャストに耐えねばならない。少々磯にぶつけてもハゲるだけ。
 対応しきれない要求には、リップを削るだけで簡単に応えられるようにしました。高浮力故、重量アップなどの改造も容易い。そして、あくまでルアーらしく、暖かく。
 こうして得た汎用性を、各地のパイオニア達が理解し、応用し、紹介してくれたからこそ多くの支持が集まったのです。
 このルアーは自らのイメージに忠実に従うように作りました。現在のルアーと比べて泳層ひとつとっても意識していないとハズシます。しかし、それはルアーマンを育てることにもなるのです。勧められたルアーを、漠然と投げて釣れたら、何故釣れたか、今ひとつ判らないでしょう。
 BKF系は、本体だけで泳ぐので、リップを全体的に削っていけば、あなたの望む泳層専用に出来るのです。現在、相当数のBKFが世の中に出回っています。自分が
紛失したものは、他人が拾っているはずだし、その逆も有りです。
 ジグや沈むルアーと違って、フローティング主体なので、販売数のほとんどは、まだゴミにならず在ることは、私や、開発仲間の誇りです。たとえ、ネットで百円で売られていても、です。
 この先、古い物を安く手に入れたり、家の片隅に眠っているBKFがあれば、リップ改造してみて下さい。リップレスミノーのノウハウが凝縮してありますから、115,140など全く取り去っても水面をヨロヨロ泳ぎます。安定を望むなら5ミリでも10ミリでも残しておけば良いのです。安心して下さい。あなただけの最新ルアーに変身するかもしれません。

Posted by nino