プラパズル「ヘプタモンド」

 これ、やっぱり趣味なんだろーか?
大昔からあるテンヨー社製のプラパズル。決められた形のケースの中に、全ピースを埋めるだけの単純なパズルです。
 小学生の頃から家族で気が向くとやっていたのですが、今から思うと、私は毎年というより平均七年周期ぐらいのスパンで集中して取り組んでいたようです。
 
 ネットで調べると、今でも売られているから、とても息の長いパズルゲームです。
 その割にルービックキューブのようなブームになったことは聞いたことがありません。たぶん、キューブのように解法があって、それを知れば誰にでも出来るというものではなく(キューブはスピード競技になっている)見た目のインパクトも無いからでしょう。
 
 私が好んでやるのは、小学生の時は№24、今ではヘプタモンドと呼ばれている、プラパズルシリーズの中の最高難度のものです。
 ひとつのピースが正三角形7個の集合体で、全24種類のピースをケースに収めるだけなのですが、その入れ方、組み合わせは説明書に10万通り以上と書いてあります。これにはコツがありますが、キューブのようなマニュアルが無いので、普通にやると二度と同じ組み合わせは出来ません。
 
 中学生の時、ひとつのベースになる組み合わせを作り、その中で相似形、反転形などを駆使して、僅かに並べ替えてみるだけで数千通りになることに気付きました。これは10万通りどころか、もしかすると、とんでもない数の組み合わせパターンがあるのではないか?と薄々感じていたのです。
 
 そして年月が過ぎ、同じ疑問を持った人達がいたようです。(ネットは便利)2007年2月までに、ある大学の高性能コンピュータで、一千億通り!以上の組み合わせがあることが推定されたそうです。結局、正確な数はまだ解明されていません。
 たった24個のピースが織りなす無限に近い、星の数ほどの組み合わせ。その数はヘプタモンドが他の形式パズルを圧倒しているのです。ピースの要素が、変形を許さない最も強固な三角形であるのに不思議というしかありません。… 
 このパズルを初めて見れば、誰でも一種類ぐらい簡単に出来ると思うでしょう。 しかし、これが難しい。
 例えば生前のオヤジが完成させたのは十数種しか見たことがありません。元気なオフクロのほうは得意らしいのですが(趣味が読書とパズル!)1~2時間掛かっていました。
 私の家に泊まりに来た友人に試して貰っても(無理に勧めてはいません)完成させたのは一人だけ。20歳そこそこのママでした。理系の、頭の良さを自覚している人でもダメな人はダメなので、向き不向きがあるようです。
 私はというと、年季が違うので、早くて2分、平均15分ですが、調子の悪い時は2時間掛かっています。(難題想定ができ、それだと6時間掛けても出来ないことがある。)
 
 このパズルを平均七年スパンでやり込んでいると書きましたが、今回のきっかけは二台目のPS2が壊れて、ゲームが出来なくなったからでした。
 私は仕事上で難題が生じた時、あるゲームで頭の調子を自覚してから取り掛かるようにしているのです。
 大事なことは頭のスッキリしたときにやりたいので、困りました。そんな時、このパズルを思い出したのでした。気力が充実していないと解けないパズルのことを。
 
 記録用紙の日付を見ると、丁度、K2F142の構想を練っている時期になっています。
 朝に釣り、昼に海での出来事を反芻しながらのパズル。調子が良ければ、そのまま構想中のルアーのイメージ作り。悪ければ諦め、その日は別のことをするのです。 
 
 見た目の単純さからは想像も出来ない、一千億以上の組み合わせ。海岸のほぼ無形の砂粒に数では適わないかもしれないけれども、身近に宇宙すら感じることが出来る、安くてプラスチッキーな物体。 見方を変えれば、この小さなひとつのユニットが一千億の記憶を持っていることになる。1と0だけの組み合わせで、そのスピードと物量作戦で無理やり高熱を発生させて記憶させているような現代のコンピュータ。理論上可能な量子コンピュータとやらでもユニットの考え方に差があるわけでもない。どんなにスピードアップしても、人間の記憶に成り代わることはないでしょう。
 
 夢想するのは、曖昧さが無い上に(1と0と同じ意味で)24、一組のユニットで無限の分岐がある記憶装置。それが集まれば…(ヘプタモンドのケース形は回転させても同型で、かつ隙間無く隣り合わせ出来る。)たった数個で組み合わせ数は、一千億の☆乗…この世の最果てへ誘ってくれることでしょう。
 こちらのほうが、シナプスを張り巡らし、ときには切る、我々の脳内の記憶のイメージに近いような気がするのです。
 
 何だか大袈裟な話になってしまいました。たぶんその理由は、ものごころ付いた頃からは、いつもエメラルド色(写真のは新品に近い)のそれが傍らにあり、学生の時まで、一緒に暮らしていた家族との思い出が重なっているからだと思います。
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Posted by nino