泳ぐ、泳がない。〔TKF130〕

TKF130 店頭にシャロー専用ミノーが急に増えた頃、シーバスの場合、良く動くルアーより、あまり動かないルアーのほうが実は釣れるんじゃないか、という説が広がりました。旧BKLMユーザーやデッドスローの得意なルアーマンには、半ば当然の事だったと思いますが、何故か新鮮に聞こえたようです。
 注意して聞くと、ブラックバスから海へという流れで新たな釣り人が増えた事や、釣り易いルアーの出現などと、ネット時代が重なったため、新説のような扱いになったのでしょう。
 しかし、当初、泳がないと批判されたこともあるリップレスミノーを作った当人としては、その先に見えるものもあります。
 泳がない方が釣れる、これも真実。ただし、余りに一面的です。確かに泳層が特定できればそこそこ釣れます。小魚の生態の一端でもありますから。本当の答えは、魚が嫌う動きもあれば、好む動きもあるというところです。(動かなくても釣れるということを認知された今は、その解答を知らなくても、とりあえず釣れるルアーは作り易くなったのかも知れない。海の場合、動かせて釣れるルアーを作るには、相変わらずもっと研究が必要です。)
 過去、どうゆう動きなら良いの?という質問には、直接会った方には答えてきました。私なりの試行錯誤の末、(例えは悪いが)ヘビのような柔らかい要素のある動きと、スライド系の動きは魚に好かれる事が多い。ルアーが止まっていても、わずかな外力で震えていれば、良い。
 反対に、もっとも悪かったのは、満月のように大きく動く完璧なウォブリングでした。(難しいが作れる。)
ただ、これに少しずつロールを加えると魚の反応が激変する一点がある。
 ローリング主体は一撃性に欠けるが無難といったところ。動き過ぎず、擬似的に震えている要素が含まれているからです。
 目立ち過ぎればスレやすく、スレを怖れれば見逃される。だから、七味のように色々とブレンドしているのです。(以上、あくまで私の見解。)
 TKF130は、逆説的になりますが、良く泳いでも釣れるルアー(笑)です。開発時には当時たくさん売れていたルアー(知人のデザイナーのもの)のように、という声を多く聞きましたが、流行のルアーはすぐに何処でも作ります。そこでワガママさせていただいて全く逆としました。動かない系のルアーがダメな時にでも放ってみてください。きっと、驚きます。使い始めは、性質を覚えるまでスローが基本ですが、実用スピード域は広いです。
 それと、サーフのヒラメとの相性も総合的に合っています。ぜひ試してください。
 私は、漁具を作っているわけではないので、同様に釣れるのなら、やはりルアーらしく動かせるものを作りたいと考えています。 

Posted by nino