「ベゼルジャーク」と「フリッツ」はショアジギングの強力アイテムだ!

「本林将彦の夏磯 青物のライトパターン攻略」

写真/文 松井謙二

今回、取材で訪れた沼島は淡路島の南4.6キロの紀伊水道北西部に浮かぶ周囲9.53キロの島で兵庫県南あわじ市に属する。 瀬戸内海国立公園の一部で国産み神話の島と呼ばれ、その昔イザナギ、イザナミの二神が夫婦になり宮殿を建て国土を造成した舞台てあるオノコロ島が沼島だと言われている。 漁業ではハモ漁が有名で島の南側は紀伊水道を一望できる荒々しい磯場になっている。

8月4日 午前4時30分 沼島行きの定期船が出る灘の土生(ハブ)港にある駐車場で本林氏と待ち合わせた。 今回の取材は台風や熱帯低気圧の影響で2週間あまりも延期になってしまった。 それほどに沼島の磯は南のウネリがダイレクトに入ってくる場所である。 黒潮の影響を受けて地元の定置網には淡路といえどクロマグロや30キロのカンパチも入るフィールドなのだ。

5時30分 私達は川口渡船に乗り込んだ。 「昨日は波が高くて乗れる磯が無かったんですよ。今日も朝から乗れる磯は限られると思ってお客さんは本林さん達2人だけですよ!」と若船長は笑いながら言った。

そして船長は島の南西側にある足場の高い磯「ヤカタ」に船を付けた。 まずは荷物を波のかからない高い場所にすべて上げる。 昨日はこの磯のてっぺんまで波がかぶっていたらしい。 今回は本林氏の「夏磯 青物のライトパターン攻略!」と題して夏場の磯や波止でのベイトが小さい時期の氏が状況に合わしてセレクトするルアーの使い方を紹介して行きたい。

釣りをする氏の横についてルアーの解説をして頂いた。 磯に上がってからの10分位は本林氏は磯の高場から磯と海の様子を伺った。 当たり前の事だが、独立磯の場合は磯の周りはすべて海である。 まずは安全第一だ。それは近場の磯でも遠征する男女群島においても同じ事で危険は何時も隣り合わせである。 まずは磯にぶつかるウネリの周期と波がどこまで上がってくるか?をチェック。次に磯周りの水深や地形、根の位置などを確かめる。 そして、潮の流れの方向と速さを確認してから釣りをする立ち位置を決める。その足場はいいか?キャストしやすいか?を考えて魚がかかった時どこでどう取り込むかをシミュレーションするのだ。釣りはキャストする前から始まっているのだ。 それから、タックルの用意に取りかかった。

ロッドはゼナック ソニオ 9.3フィート プロトタイプ。これは本林氏が持っショアジギングの竿の中でも一番ライトクラス。5000番のスピニングリールにラインはPE2号。リーダーはフロロ40lbを3ヒロ以上取り、PEラインとリーダーとの間に16本縒りのスクラム5号を50センチ入れている。これによってキャスティングの際のPE本線の劣化や結び目にコブが出来ずにライントラブルはかなり減少するとの事だ。

午前6時30分 潮は満潮から引きに入っていくところで南南西方向にゆっくりと流れ出した。 本林氏が最初に選んだルアーがダイビングペンシルの「コンタクト ブリット145」。氏がパイロットルアーとしてよく使うもので、ブリやメジロなど大型青物の反応は特によくダイビングペンシルとして多くの引き方ができる。 ただ巻きでストップ&ゴー。ミドルジャーク、ロングジャーク。水面での活性を上げるのにもってこいのルアー。トレースコースによってベイトがルアーの通過直後に跳ねたりするのでどんなベイトがいるのか?を教えてくれる。

まずは30分位、釣り座やトレースコースを変えてキャスティング。サカナの反応は無かったがベイトがシラスである事がこれによって確認できた。

次にチョイスしたルアーは 「K2F 142」。26gのフローティングミノー とは思えない抜群の飛距離を誇り、アクションは繊細かつ軽快。このルアーの食わせ能力に絶対の信頼を置いている。先に投げていた「ブリット」のトレースラインをファーストリトリーブのストップ&ゴーで水面下を探った。 魚がいればトップウォーターよりもヒット率が高いルアーで、ベイトがいて波がありサラシが広がっている場合はヒラスズキ狙いだけで無く、青物もサラシ回りを回遊していて確実にヒットに持ち込めるルアーなのだ。

ルアーを選択する順番としては表層から少しずつルアーを引くレンジを下げていく。

次に選んだルアーは「コンタクト ベゼルジャーク」 一投目にボトムまでカウントダウンして、二投目からは中層までフォールさせてジャークする。例えばボトムまで20カウントなら中層の10カウントでジャークさせる。 その上向きのジャークとフォールの組み合わせでジャークで逃げる小魚を演出してフォールで食わせるのだ。 飛距離も申し分無いので本林氏曰く、「トップ、ミノー、ジグそして、ジグとミノーの中間の大きなアイテムが「ベゼルジャーク」「フリッツ」だと確信している!」 波止で人の多い時や誰もが釣れてない時にこのルアーを投げてヒットすることは珍しく無く、このルアーを使いこなせるようになれば釣果は確実に増えると言い切る。

そして、インターバルを20分位取った。この日の最高気温は同じ淡路の洲本市で36℃以上にもなった。夏の磯ゲームでは水分補給を十分に取らないといけない。 「ベゼルジャーク」の次に選んだルアーが「P-BOYジグ 45グラム」 とにかく沖に魚がいるときはフルキャストで距離を稼いでただ巻きして青物が釣れる。 表、中層を狙っての釣りにはテールにシングルフックを付けてヒットに持ち込む。 沈めて底どりして水深や地形を確認出来るし、底から引き上げて来ることによって底潮の動きも解る。ジャークして抵抗がなくスコスコの場合には底潮は動いてなく、今回は2枚潮で底潮があまり動かず上潮だけが滑っている状態が長く続いた。

再び、トップウォーターに戻りポッパーの「TKP 135TT」このルアーは飛距離を含めてバランスが優れている。どんなアクションでもロッドワーク次第で反応してくれるレベルの高いポッパー。欲を言うならこのルアーで大型のヒラマサを狙いたいので、1/0 2/0のフックを装着できる大型の「TKP」を作って欲しいとの事。 そして、「ファルケ」。このルアーはしっかりと中層を引けるルアーで「ベゼルジャーク」と同じくジャーク&フォールで魚を誘う。 続いて「スチールミノー」は鉄板系ルアーの中でも極めてフォール姿勢が良く遠投が効く。 ジャーク&フォールで底から引き上げてファーストリトリーブ、ストップ&ゴー、ただ巻きとミノーの要領で使える鉄板ルアーだ。

そして、午前11時過ぎに潮が再び動き出した時合いでシオ(カンパチの小型)をヒットに持ち込んだルアーが「コンタクト フリッツ」だった。

少し沖の根の上を水平フォールさせて中層まで送り込んで早いスピードで巻き上げた時にシオが飛び出してヒットした。 やはりフォールさせてリトリーブのスピードの強弱をつけて誘うとメジロやブリ、2〜3キロのカンパチやヒラマサが良く釣れる。 また、離島ではシングルフックに変えてボトムまで落としてジャーク&フォールを繰り返すと ハタ類やクエがかなり釣れるとの事だ。

以上8アイテムが今回使用したルアーである。 今回本林氏の釣りを見て感じたことは気温が36℃以上の夏磯の上で、ひとつひとつのルアーに丁寧にアクションを付けていた集中力と粘りだ。 そして、その結果、最後の最後に潮が再び動き出したと同時に「フリッツ」で根付きのシオをヒットに持ち込んだ。 その魚は元気いっぱいに夏の海に帰っていった。

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