海を覗いて(4題)…自選エッセイ集より【8】
長年釣りをやっていても飽きないのは、きっと、水の中の見えそうでいて、見えにくいものを相手にしているからだろう。 我々、陸上の者とは、水面という境界で分断された身近な異世界があり、その中に棲む相手は、見ようとする意志、つまり釣りをする ...
三つの虹…自選エッセイ集より【6】
◇レインボウドラグ
リールの回りに七色の虹が架かった。初めて、それを見たとき、リールから延びるラインの先には、全力疾走中のシイラがいた。ラインが勢いよく放出されて、細かい水しぶきが上がり、そこに虹が架かったのだ。
記録と記憶…自選エッセイ集より【5】
釣りの記録方法として仲間の例を挙げると、魚拓や剥製。文章に残す人。JGFAへの申請。耳石や鱗を取る人。歯形の付いたプラグを集める人。それぞれだが、圧倒的に写真派が多い。
私はと言えば、先日、一本のフィルムを現像してみて驚いた ...
スランプ脱出法…自選エッセイ集より【3】(ご質問に答えて)
担当編集者のS氏が、近頃スランプに陥り、魚が釣れないから、その脱出法を教えてという。聞けば、アオリイカ、アイナメ、根魚と、手堅い釣りもやっている。それなりに工夫もしているようだが、それでも釣れない。まさしくスランプ。 こういうときには ...
武蔵の一件…自選エッセイ集より【2】
重心移動のアイデアを、どうやって思い付いたのか?という質問は、今でも度々ある。発表当時に詳しく答えたつもりだったので、その後は簡単に「宮本武蔵」を見てヒラメイタ云々で、済ませてきた。そこで、ルアーマンの世代も移ってきたようなので、こ ...
ノスタルジィ…自選エッセイ集より【1】
酔い方にも酒の種類によって、違いがある。賑やかな席では気付きづらいが、こうして一人で酒を飲んでいると、それがよく解る。
ビールは、気を荒れさせる所があって、静かな夜には似合わない。日本酒は、味は好きだが、どうもグチっぽくなる。 ...