クニペックス・ペンチ

 皮のケースの裏に1991・6と書いてあります。このペンチはKさんから戴いたもので、長年の愛用品になりました。 Kさんは当時、何処の海に行ってもよくお会いするので、本当は同じ顔の人が三人ぐらいいるんじゃないか、と思っていました。私と同年代なら、Kさんが誰だか判りますネ。見習うべき事の多い人です。 
 クニペックスのペンチを手にするまで、国産のステンレス製のペンチを使っていたのですが、サビなければずっと使えるはずのものも、過酷な使用方法だと、早々とガタがきました。
 しかし、これはバナジューム綱にクロームメッキながら、今でも現役です。さすがに幾多の遠征も共にして、リーダーカット、魚のシメ、ナイフやトンカチ、バールの代用、何千という魚からハリをはずし、サメにも何度もカミカミされて、カット部の刃は潰れ、掴む部分のギザギザもツルツルになりました。
 海に落としてしまい、干潮になるまで待って回収したこともあります。そこで、穴を開けて、ロープを付けられるようにしてあります。
 予備として、新しいものも持っているのですが、どうも手にシックリこないし、ケースに収まりづらい。少し手作業でグリップの加工をする必要があります。(あくまで釣り用として。ペンチ本来としては現在のグリップ形状のほうが出来が良い)
 ペンチはロッドやリールよりも、常に同じ物を持ち歩くことが多いから、一緒に過ごす釣行時間が最も長い釣り道具といえます。ルアーと供に直接、魚に、つまり思い出に触れる物です。少々、機能的に劣化しても、出来れば同じものを使い続けたいと思っています。
 
 写真の傍らにある黒いペンチは、ジュラルミンのエーベル製。凄まじく加工精度が高く、軽い。これは、Mさんから戴きました。
 やはり、相当の年代物ですが、なかなか海用に使うのは気が引けて、もっぱら室内作業用に使っていました。この頃になって、シメる用途としては使わないヒラ釣りなどに、お供するようになりました。
 このふたつが、私が動けなくなるまで保てばいいのだけれど…。 

Posted by nino