TKW140 尾下部のフクラミについて(質問)
TKW140の尾下部に小さな出っ張りがあるのは何故? という質問がありましたのでお答えします。
これは無駄とかオマケではなく、必要に迫られて採用したデザイン手法になります。
本体の中に定評のあるK2F142由来の重心移動システムを組み込む際、タングステン球を飛びに理想的な位置にしますと内部の接着面積に不足が出るので、それを補うためにワイヤーを僅かに迂回させています。(エスケープワイヤー)
K2F142に出っ張りが無いのは元々ギリギリの設計で強度に影響がない限り、その部分を少々強引にフラットにしているからです。しかしそれだとプラ樹脂を充填した時、超薄い部分ができ製造上のロスが発生していました。
例えば自動車では、より高性能なターボやインタークーラー関連の装置を取り付けるとノーマルボンネットでは干渉してしまうので、その部分周りだけ膨らみを持たせてある場合があります。また同一車種で排気量の大きいエンジンを積む場合も全体を膨らますのではなく、部分的に膨らませて覆うことで、デザインのシャープさを維持することがあります。オーバーフェンダーとかも同様で車好きには高性能の証しみたいなものです。
TKW140もあの小さな出っ張りをただ覆ってフラットにすると想像以上に尾の辺りが太くなってしまうのです。特にリトリーブを止めたときのシルエットが大事なルアーなので、チューンド、の名に相応しいこの手法を採用したわけです。
ディスカッション
コメント一覧
K-TENのルアーは大好きで日頃から愛用させていただいております。
中でもこのTKWはシャローランナーとしての圧倒的な基本性能の高さと汎用性の高さから、幾多所持しているルアーの中で最も好きなルアーです。
ただ巻きの泳ぎだけとっても、これほど艶めかしくて美しい泳ぎをするルアーを他に知りません。
この度質問させていただいたのは、このルアーの高速リトリーブ時の泳ぎについてです。
中速域のあるスピード帯を超えると、ルアー本来の泳ぎはそのままでTKRやK2Rのような左右へのスライドが混ざり、その動きが特に青物によく効くのは割と知られている事実かと思います。
釣人目線で上から2Dで見るとただ左右にスライドしているようにしか見えないのですが、水中での3Dの動きはどうなっているのかが非常に気になります。
あの動きは3Dでは左右だけでなく上下の動きも混ざっているのでしょうか。
またあの動きはRユニットによるものなのでしょうか。本当に素晴らしいアクションだと思います。
最新のTKLM140Gの水中映像も非常に興味深かったです。
上から2Dで見るだけでは分からないTKLMの三次元的に複雑な動きをしっかりイメージとして頭に植え付けることが出来ました。
やはり3Dの動きを把握しておくことはイメージが鮮明になり、ルアーを使っていてより面白くなると感じたため、この度質問させていただきました。
長くなってしまい申し訳ありません。
Lolxさん、TKWのご愛用、ありがとうございます。私も昨今のコノシロ付きのスズキや青物が混生しているとき等に多用しているルアーです。ご質問によると、相当使い込んでおられるようなので、上下運動もしているという説明だけでは足りないと思いました。
上から見てスライドしているルアーは水中正面(引いている方から)から見ると、スライドの端で水面に近づき、中央で水面から最も離れる(深く)のが基本的な運動です。つまり正面から見て円弧(水面下で半円)を描いて左右往復しています。
Rユニットの入ったK-TEN系はこの左右運動を泳ぎが破綻しない程度に乱して円弧(楕円)の形を変化させています。だから水中で横から見ると少し上下していますが、その上下幅もスピード域によって変わります。それは一定ではなく、あるリズムを刻むような感じです。TKLMとの違いは下方や左右に向かう力を途中で引っ張り上げるか、素直に受け流してRユニットに委ねる(TKW、K2)か、になります。
いずれYouTubeに映像をアップしたいと思います。
二宮さん、ご回答ありがとうございます。
円弧を書きながらのスライドとは想像もしていませんでした。
その軌道やリズムもコントロール出来るRユニットは素晴らしいですね。
市場で飽和している外形と重心移動機構に依存したルアーは進化がもう殆ど感じられないところまで来ていると感じますが、K-TENシリーズの毎度革新的な内部機構には未だにルアーの進化と新しい可能性を感じさせて貰っております。
YouTube映像も楽しみです。