偶然の賜物〔TKLM9/11・12/18〕

 88年頃から98年頃までウッド製のリップレスを作ってきましたが、何十とある行程のうち穴開けだけはほとんど私がやっていました。(ラストの1年ぐらいは高精度で加工できる所で)量産品ながら、ハンドメイドであり、ひとつずつ微妙に違いがあります。このことが後年、ある知識を与えてくれたのです。TKLM911
 ウッドのリップレスを使用していると、ごく稀にアタリルアーがあることに気付きました。何故か、やたらに魚の反応が良いものがある。何十本の中に一つ有るか無いか、です。アタリルアーの分解は勇気がいりましたが、理由が知りたかった。そして、とうとうアタリルアーの共通点を見つけました。それは、偶然に近く、神秘と言ってよい性質でした。シンクロとか共鳴とかのとても再現が難しいものです。TKLMには、それを少しだけ込める事ができたのです。
 90㎜のプロトタイプは、当時の干潟等で釣れ過ぎ、呑まれ過ぎで仲間内では封印されたものです。K-TENの暦からするとデザイン自体はBKLMより前のものですが、例のシンピの威力は絶大でした。それに新型の重心移動システムにより飛距離は1グラム単位あたりでは最強になりました。
 そこで、奇妙な努力が始まります。大物用として付けた大きめのフックは、目的がもう一つあり、口周りで引っ掛かり易くして、呑まれ対策でもあります。浮力を調整して極端な小物には弾かれ易くもしました。カタカタ音も、あえて残してあります。元々、リアルである必要もない。つまり、釣れなくするほうにも配慮した唯一のルアーかも知れません。それでも良く釣れることは、皆さんご存じですね。
 この頃、一見、違って見えるけれども、コンセプトやシルエットや動きの原理がカブるルアーが幾つか出てきました。これを進化と言うのか私にはわかりません。そして当然、丁度良い塩梅にするということはできません。このタイプを使うときには、頻繁に呑まれるので、バーブレスにすることをお勧めします。
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(質問があったので)……エッセイ【26】バキュームキッス…にTKLMが呑まれやすいという理由が書かれています。

Posted by nino