海岸線の話

 また以前書いた記事を、自分への反省を込めて載せておきます。(どこに寄稿したのか失念してしまったので出版社さんゴメンナサイ)
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   海岸線の話
 
 諸外国と海岸線の長さを比べれば、日本の総延長距離は、意外にもトップクラスだという。しかも、地理や気候的に恵まれて、人跡未踏の海岸線はない。人間が利用可能な、つまり、我々海の釣り人が入れる場所の長さは、実質、世界一かもしれない。
 ただし、周知の通り、この数十年で、埋め立てや護岸工事によって、自然のままの海岸線は激減した。
 都市の近辺は、コンクリートで埋め尽くされている。何かしらの所有権の付いた海岸線もその長さに含まれているのである。訳も分からないうちに、子供の頃の記憶の中にある海は一変していた。
 
 さすがに最近では、環境保護の世論に押されて、一部の利権の横暴は許されなくなってきた。
 例えば、命豊かな東京湾の三番瀬という干潟、浅場の埋め立て計画も大幅に縮小されるという。干潟というのは、生物はもちろん漁師にとっても、釣り人にとっても、聖域のような所だから、こういったことは歓迎できる。しかし、埋め立て計画は縮小であって、中止ではない。ジワリジワリ自然の海岸線は失われていくのは変わりない。(注、その後、幾つもの自然保護団体や、その活動に賛同した粘り強い人々の声が行政を動かし、埋め立て計画は中止となった。)
 問題はこの一連の、計画の立案から、その縮小まで、ほとんどの釣り人にとっては、決定後に知らされるか、納得するしかないということのほうだ。出来上がってから反対することの困難さは、過去幾つもの例がある。
 
 海そのものは日本国民どころか、人類全体のものという理念はあるだろうが、実際のところは、主に各国の企業体や漁師、そして我々レジャー派の三者が利用している。それも交差してだ。
 例えば、湾内のシーバスポイントは正式には企業の敷地内ということで、立入禁止である場所が多数ある。
 今は遠慮しつつ入っているのが現状だろう。釣り人の事故やマナー違反が続けば、より強力に排斥されてしまう。
 また、職漁師は生活の場である海を釣り人に荒らされない限り、黙認してくれているといったところだ。
 以前、ヒラメの放流に関わったときに一部の漁師達の本音に触れて、戸惑ったことがある。要は自分たちの海に勝手なことをするな、ということだった。
 いかに大多数にとって良いと思われることでも、全く別の立場のものもいる。放流するということに、ヒラメ漁師は喜んでくれたが、ボラ漁師はヒラメを釣りにくる者が増えれば、車のライトで海を照らすことも多くなり、ボラが網に入らなくなるから放流すらダメだという。  ずっと連なる均一の海岸でも、所有権の存在もあるし、各漁協の管轄が区分けされているので、交渉は一カ所ではすまない。この時は、よく話し合い、挨拶にまわり、ようやく理解を得たが、権利が云々というよりも、人として向かい合うほうが解決が早かった。……
 このように、我々の釣りは法的に、より優位な者の厚意か黙認というかたちの上に成り立っている場合が多いのだ。せっかくの厚意と黙認を今は大事にするしかないのだろう。
 当面は、法の整備を待っても三者に都合のよい法令はなかなかできそうにない。
 だから、せめて、それぞれの地元の海岸線の権利などがどうなっているのか、調べてみてほしい。何気なく入っていたポイントの問題を知っておくべきだと思う。そして、仲間にもそれを伝え、我々が海でどうすればよいか考え、三者が共存するためのマナーを身につけておく必要がある。
 自然はみんなのものだからと、ノーテンキに構えていると、いつのまにかコンクリートの壁ができたり、正式な立ち入り禁止場所になっていたりする。
 
 私の地元の九十九里浜では、昨年(注、平成十年四月)から、車両乗り入れが規制された。ハマヒルガオやコアジサシなど動植物を守るためだという。自由が失われるのは残念だが、こうマナーの悪い車が増えては仕方がないことだ。賢明な措置だろう。
 そして、駐車場として、乗り入れ可能な区域も四十七カ所指定された。
 
 私個人は、十年前から車で海岸に入ることはしなくなった。それまでは、海岸線最強の車、四駆で、軽く、タイヤの大きいジムニーに乗っていたのだ。
 それが、海岸線のことを調べるにつれて、首都圏には正式に大手を振って車で入れる海岸など、ほとんどないことを知り、その車を処分した。
 その後は、スポーツカーに切り替え、釣りの便利だけを追うことより、釣行全体を楽しむことにした。今はS2000。駐車場がないと、どうにもならない車に乗っている。 
 これ以上、自由な釣り場を失いたくないものだ。各地の釣り場がいつまでも保全されることを願う。終。
 
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 これを書いてから今日までに、私自身が案件について何か出来たのかと考えると心許なく、多忙にかまけてささやかな事しか出来ませんでした。
 その後、大阪湾の釣り禁止問題が起きたり、東京湾の海苔棚等でのボート禁止区域が拡がったり、堤防等の立ち入り禁止場所が増えたりしましたが、ほとんど傍観者になっていました。
 
 今の私に出来ることは、このまま海のルアーフィッシングが存続するために、どのようなルアーを作っておけば良いのか、またどのような釣りならば事が起きたときに許されるのか、考え続けること。
正直に言うと迷うことは多いです。
 
 昨日は十数年前Sパーティでお会いした船長と仲間で東京湾某所に行ってきました。海苔棚もあるけど、まだ禁止区域になっていない所です。
 干潟もそうですが、古くからある海苔棚は、餌場として適度な水深と産卵場所に近いこと、巻き網漁が不可能等、好条件に恵まれた東京湾スズキの豊かさの核となる場所です。
 例年この時期は最も簡単にランカーを釣ることが出来るので、ボートが集結するのは当然です。ただし、相当の自制心を持たないと、ここもそう遠からず禁止海域に入るかもしれません。
 
 私たちは、海苔棚ロープには間違っても引っ掛けないように沈む系のルアーは使わず、K2FとBKF175で通してみました。魚探でベイトを探ることで、海苔棚に近づかなくても、オープンなところでもヒットします。Sさんの175にはワラサも。
 何度も50~60サイズがボート際で引き返すのを見ましたが、ルアーを換えずに続行していると、たまに掛かるのは全て80オーバーなので皆満足していました。ランカーが全員に行き渡ったところで帰港。
 
 相変わらず素晴らしい場所ですが、ここで良い思いをした方々や業者は、これまでの過程と現状を心に留めておいて欲しいのです。次に行動すべき事は何なのかを考え、伝えるために。
 

「海岸線の話」への9件の返信

  1. AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 5.1; Trident/4.0; YTB720; GTB6; .NET CLR 1.1.4322)
    アドバイス早速ありがとうございました。
    シッポをシングルフックにして、出撃しましたが、まるで魚影見えず!
    なにせエサ(アミエビ)をおとしても(こらこら・・)無反応なくらい魚ッけがなかったです。
    トローリングするまでもなく撃沈。一瞬のボイルでひサン!ワカシ1匹で終わりました
    それと、もう数回いって探していますが、以前あった根がどうにもみつからないのです。
    もしや、地殻変動で消えたのか?
    房総大地震?
    この低気圧が通過次第、また行ってくる予定です。
    では、また!

  2. AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 5.1; Trident/4.0; GTB6)
     愛知の杭さん、はじめまして。K-TENのご使用、ありがとうございます。
     全国各地で海の埋め立てが行われたことは、知ってはいても、こうしてルアーの仲間から具体的な地名や話を聞くと、いっそう実感が湧くものですね。残念な現実は多々ありますが、釣りをやっているからこそ見えたことだと思います。お互い良い方向にいくよう、諦めずにガンバリましょうね。
     ルアーのパッケージについてのご提案ですが、実は直メールで他に数名の方からも同様のご意見を頂いています。
     簡易包装、フック無し、それとバーブレスは私個人は賛同するものです。
    K2F青物カラーでは試験的にフック無しで販路に乗せてみました。
     しかし、現状からすると、それぞれ未だ検討中といったところです。
     幾つかの理由をあげさせて頂くと、作ったルアーに傷が付きづらく(少々のキズでも返品がある)、輸送に適した形で(ビニール等で送る場合、ゴミとなる緩衝材を入れる)、フックが囲まれて、安価で、リサイクルの効くものは、今のプラケース以外に、なかなか適当な物が見つからないのです。
     もしもですが、月産百個単位しか作らないのであれば、様々な理由でそれが可能だし、むしろ効率的だと思います。フックのように少量だと高くて安定供給が難しそうなものは、始めから無しにするでしょう。
     月産個数が増えてくると、資材の安定供給が要求されるので、例えばフックメーカーさん等にも信頼されるように、何ヶ月も前から予約を入れている状態です。
     そして、フック無しでも販売してみましたが、お近くに別売フックを買える所がある方には歓迎されましたが、中にはわざわざ高いガソリンを使って探した方もいたわけです。(遠方より配送を頼んだとしても)
     環境負荷を総合的に考えると複雑な気持ちがします。
     いずれにせよ、世の中の意識も高まりつつあるのは事実ですから、将来はご指摘の方向へ行くべきでしょう。
     パッケージゴミは私も悲しく、情けない思いをしています。かって、会社としてもキャンペーンを張ったことがありますが、足りないのは明らかです。
     これもメーカー側から出来る具体案を模索しているところです。
     杭さんをはじめ、皆さんのご意見を大事にしたいと思います。

  3. AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 5.1; Trident/4.0; GTB6)
     アブレの編集長さん、お久しぶりです。
     お会いしてから、ずいぶんと年月が経ったような気がします。
     リップレス、ありがとうございました。ルアーの大人買いは大歓迎なので今後もよろしくお願いします。
     ご質問についてですが、シングル化は腹、シッポ共に可能ですが、安定し易いのはシッポに、です。その際、付けないほうにもフックと同重量ぐらいのガン玉等の錘をフリーに動くように付けてみて下さい。
     参考に、このページの左カテゴリー欄からQアンドAー1に飛んでみて下さい。(シングルフックの作り方)があります。
     不明の点があれば遠慮無く左下、直メールへどうぞ。

  4. AGENT: Opera/9.80 (Windows NT 5.1; U; ja) Presto/2.2.15 Version/10.01
    はじめまして。
    いつも楽しく拝見しています。
    K-TENにもお世話になっています(^^)
    当地にはかつて日本最大だったと云われる干潟がありますが、
    今では(現在進行形で拡大中ですが)埋立てられ工業団地になってしまっています。
    その企業・団体によるビッグマネーで潤っている部分も多分にある町ですし、
    雇用から町のインフラ等、恩恵を享受できる部分はありますから多くの市民らも疑問にすら思ってないと思います。
    僕自身も藤前干潟の一件があるまで真剣に考える事はありませんでしたが…。
    以前、外洋に面した砂浜に友人と出掛けた際、「ここは私有地だから立入られては困る」と言われ驚きました。
    聞くとやはりゴミや不法投棄、無理な乗入れに手を焼いておられるようでした。
    釣り人に限らず、波乗り師・レジャー客のゴミやマナーの悪さには実際僕も釣行の度に閉口しています。
    そこで勝手に無責任発言ですが、ルアーのパッケージをもっと簡素化できないものでしょうか?
    釣り場でもルアーや餌釣り仕掛けのパッケージゴミをよく目にします。
    同じ釣り師として恥かしく思いますが、言っても分らない人がいるのも事実だと思います。
    そこで万が一捨てられても(厳密には無理かも知れませんが)土に返るパッケージができたら良いのにと思います。
    昔のルアーにあった「台紙に針金テープで留める」とか「台紙にラップする」等、
    今の「プラケース+台紙」よりは多少なりともゴミを減らせるように思います。
    実際にはコスト・手間・安全性など多々問題はあるでしょうが、
    様々な意味でフヘン的なK-TENだからこそ出来るのでは?と勝手に思っています。
    僕はコレクターではないのでパッケージは即ゴミになりますし、ルアーのキズも使えば結局直ぐ付くわけで余程気になりません。
    針も消耗品ですし、バランスを見つつ好きな物に交換もするので、安全性に難有りならば針無し販売であっても気になりません。
    環境問題に関心を持っておられる方も多いと思うので、意外と受けいれられるのではと思いますが…?
    素人の勝手な意見、乱筆乱文、勢いに任せて書いてしまいました。申し訳ありません。(^^;)
    少しでも永く楽しく素晴らしい魚釣り・海のレジャーを楽しむ為にも、個人レベルで出来る事をまず継続してやっていきたいと思います。
    ともすると、ついついありがたみを忘れてしまうので。

  5. AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 5.1; Trident/4.0; YTB720; GTB6; .NET CLR 1.1.4322)
    おひさしぶりです!キタコシです。
    最近は内房を中心に、アルミボートで引き釣りをしています。しかし、ここのところ調子が悪く
    ジグラーひサンにあおられぱっなし。どうも弓角がよくないとルアーのせいにしていました。(責任回避・・・)
    先日リップレスミノーを発見!二宮さんが大きくスライドして各頂点でブルブルと振動するといっていたのを思い出し、トローリングにぴったりだ!と全部大人買い!(といっても3ケしか残っていませんでしたが)
    さて問題は、シングルフックしようかいな・・・となやんでいるところです。
    ラインにからまったりすると巻きとはちがって、えんえん引きまくり、”あれれ”となったりするからです。(だから釣れないんだよの声アリ)
    そうゆう点では角はシングルフックでいいのですが、いまいち!こんな風にグルグルまわっててキミは釣れるのかい?(ソーダとかサバは釣れますが・・・)と懐疑的になってしまうのですわい。シングルフックにするなら腹、シッポどっちがいいでしょう?

  6. AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 5.1; Trident/4.0; GTB6)
     KAIさん、こんにちは。
     大阪で起きたことは、人ごとではないです。注意を怠ればアッという間に事が進みます。
     あの問題と戦った人達がいたこと。そして成果があったことも忘れないようにしたいですね。

  7. AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 5.1; Trident/4.0; GTB6)
     じゅんさん、こんにちは。
     まったく、その通りです。どれも欠けるわけにはいかないことですね。
     このブログも、それに沿うようにガンバリます。

  8. AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322)
    以前もコメントさせていただいたKAIと言います。
    大阪の問題は関東も、というよりか全国的にも広がりを見せそうなことですよね。

  9. AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 7.0; Windows NT 5.1; GTB6.3; YTB720; .NET CLR 1.1.4322)
    二宮さん
    こんにちは!
    釣りは「思い出を振り返り、今を大切にして、未来の希望」を語りたいですね!

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