BKF125の話

 先日のモニター販売で、要望欄に次のような丁寧な一文を、KTさんより戴きました。お応えしようと思います。
 
略…開発に関わられたすべてのルアー、一つ一つについて、各論のような、より詳細な解説を掲載していただけると嬉しいです。TKLMの解説では、同じシリーズでもサイズごとに異なったコンセプトで作られている、ということが分かり、所有するルアーに対する認識がかなり変わりました。このような話を、現在販売中の製品のみならず、過去にラインアップされたルアーについても知りたくなって来ました。開発者の細かいこだわりや苦労話を聞くのは、個人的には非常に好きです。……略。
 
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 BKF125は、ブルーオーシャンシリーズ唯一のスリムタイプとして、90年に発売されました。シリーズはその二年前に140、115と始まり、プラ量産型として三番目の型になります。
 このルアーについて語る前に、少し経緯を説明します。
 
 当時の計画では、K-TEN系全体のサイズ展開として、最終的に逆ピラミッド型になるよう、上からBKF175~BKF75と作り、先行していたウッドシリーズ(全体的に細身)MKF170~MKF105が、BKF各サイズの間に交互に割り込むようにしていました。
 プラの持ち味(耐久性、安価、特有のアクション等)と、ウッドの持ち味を明確に分けることによって、どのサイズを選んでも双方にとって別の性質を持つルアーが隣にあるようにするためです。
 同じサイズの近辺に、アッピールとナチュラル、太身と細身、さらにリップレス、リップルとあれば様々な要求に応えられると思ったからです。 
 ただし、細身で箔を貼ったリアルタイプはほとんどウッド側で作ったので、高価になってしまいました。完全ハンドメイド、重心移動システム入りで三千円台の売価がいかに良心的であっても、消耗品としてはキツイ価格です。
 しばらくすると、数社の他メーカーさんは、このウッド製品部分が占めていた位置を主にして、安価なプラ製品のシリーズを、コストの掛かるワイヤー貫通方式などは採用せずに続々と出してきました。
 Bバス全盛で、海のルアーはまだまだ市場規模が小さいと言われていたのに、これにはブッタマゲました。そして、海ルアーブームに拍車がかかり、この辺りから落ち着いて魚と語り合うような開発をする余裕が無くなってきたように感じました。
 私は、既にある同じようなものは作りたくなかったので、結果残ったBO系はいつのまにかファット系などと言われるようになっていったのです。
 
 BKF125の話に戻ると、このルアーは早くからウッドMKF125(遠浅の平砂浦の鮃やコチ、スズキ、それと干潟、河川などで活躍していました)の強度アップと安価な量産型を望まれていたので前記の流れから逃れ、先行することが出来たのです。先のピラミッドで言えば、MKF125の上に位置します。スリムといってもウッド製よりワイヤーが貫通する分だけ太くなっています。
 BOシリーズ唯一の三本フックでもあるので、絡みつくようなフッキングの良さもありますが、大型のフックを背負えないので、大型魚を取るには場所が限られます。
 
 このルアーの製作秘話として、初回生産分、約三千本は、完成後リップを手作業で削ってあることと、例のあの「言葉」が入っていません。
 実は上で少し話した経緯のこともあり、開発に追われて(この年、リップレス140、リップル140を同時に手掛けていた)初めてプラのプロトモデルをモデル屋さんに外注してみたのです。その時はより確実な方法と思っていました。
 外観、内壁ともほぼ設計図通りだったので、油断してしまいました。プロトに合わせたリップを付けたら、期待していたアクションにならない。結局、リップ部分の型の変更を余儀なくされました。 作ってしまった三千本分は私の責任なので、冬の室外で(部屋の中だとプラ粉が飛ぶ)グラインダーでリップを一つずつ削ったのです。
 
 手がカジカミ、寒さに震えながら三日間、血の滲む指を見ながら、今回の間違いとルアー作りの自分なりの正しい方法を考え続けました。
 それに、三千回(実際は三方向、プラス仕上げで一万二千回以上)も気を張ったまま同じ事を繰り返していると、モチベーションが低下してきます。自分が頑張れる理由を探さなければなりませんでした。
 そして、最も効果のあったあの「言葉」を、何日もかけて決心して、次の型直しのときに入れて貰ったのです。外からは見えないようにして。                                      あの言葉は、私のルアー作りの始めの頃から頭にあったものの、この時まで追加費用を掛けてまで彫刻する気はありませんでした。現実に入れるキッカケになったのは、こうゆう出来事があったからなのです。
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トップの写真は、Hさんから送っていただきました。「一番好きな場所で…」シャイな達人、あの人です。
中段の写真はMKF125と、あの言葉が入っていないBKF125。
下段の写真は、今年絶好調の近所のHさんの一撃。 

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