
広報の古賀です。
ショート動画でご紹介して以来、多くの反響をいただいていた【コンタクトイーノ】を使ったサワラキャスティング。
動画でもご紹介した通り、東京湾のサワラ大型乗り合い船でもいきなり好釣果を叩き出した新しい釣法でしたが、1度だけではわからないことも多かったので、その後も毎週、営業スタッフ、開発スタッフを連れて東京湾のサワラ乗合船にお邪魔して検証を続けていました。
何度もこの釣り方を実践していくうちに、ある程度見えてきた部分もあるので少しご紹介しておきます。
【タックル】
Reel:4000番 & 5000番クラス ハイギア(1巻き1m程度)
Rod:7ft前後のライトキャスティングロッド
Line:PE1.2 & PE1.5 リーダー30lb


東京湾の大型乗合船で感じたメリット
利用した船宿は林遊船さん、深川吉野屋さん、吉久さんなどの大型乗合船。
プロモーション用の動画や写真撮影、開発途中のプロトモデルのテストなどでは、自由の効く小型のチャーター船を活用する事が多いのですが、今回の検証ではあえて大型の乗合船に絞りました。
同じ条件のもとで大勢の釣り人が近距離でひしめく中で釣りをするので、その日のヒットルアーやヒットパターンの傾向が掴みやすく、時には残酷なほどに釣れる人、釣れない人、がハッキリと浮き彫りになったりもします。
ここではシーバスや他の一部のジャンルの釣りのように、ルアー選択に遊び心や拘りのスタイルを求める事はかなりの少数派だと思います。それぞれが最も釣果の確率が高いと思う釣り方を粛々と1日繰り返していきます。
要するに、シンプルに「釣れる釣れない」の比較をシビアに、客観的に行うのに最適なのです。
毎週毎週通っている玄人の方から、レンタルタックルのビギナーの方まで、様々なレベルの方が集まっているので、釣り方やルアーセレクト等を見ているだけで勉強になることも多いです。
まず気づいた点として、予想通りですが、サワラ乗合船に乗っている方が使うルアーのほとんど9割9分はブレードジグだという事。(40〜60gが多かったように思います)
ポイントによっては、船長が表層でのミノーのジャーキングを勧める場面もありましたが、ミノーで釣れる場面では、同じレンジを引ければブレード系でも同様に釣れる、という認識が強いようで、ミノーを投げている光景はほとんど見られませんでした。
仲間内だけで貸し切る小型チャーター船でのサワラ狙いなら、ミノーのジャーキングに拘って、というスタイルはもっと多いはずです。
サワラの”釣果”だけにフォーカスした時に、いかにブレードジグが多くの釣り人に信頼されているかがよく分かりました。水深10m〜30mの釣りにおいて、縦も横も含めた射程範囲の広さ、手返しの良さ、シンプルな操作法、実際のサワラの反応、どれを取っても合理的です。
そんな中で乗船時間のほとんど【コンタクトイーノ】だけを、投げ続けるとどんな違いがあるのか?
釣果に関しての現状の答えは、
「ブレードジグとほぼ同等の釣果を得られる。※ただし状況は選ぶ。(詳しくは後述)」
という感じです。
新しい釣法の検証ということで、あえて「勝ち負け」という言葉を使いますが、ショート動画の日のようにブレードジギングに釣り勝った日もあれば、別の日には釣り負けたこともありました。
ただ、何度も試す中で、平均的には同等の釣果を得られると感じています。
実は、過去にも何度かサワラ船で自社プラグ縛りの釣りを試みた事もありましたが、ただただブレードジグの強さを再認識するだけ、という事も少なくありませんでした。しかし、このコンタクトイーノに関しては、30gという控えめな重さのプラグでありながら、自信を持って1日投げ続けられるサワラサゴシとの相性の良さを実感しています。
使い方は、ショート動画で紹介したように、ハイスピードのジャカジャカ巻きや、早巻に連続したショートジャークを織り交ぜた誘いが全般的に好反応でした。別の地域では大きくジャークさせて釣果が出ていたりもします。
比重の低いプラグで、尚且つ水抜けのいい細長いフォルムだからこそ出せる、入力に対するアクションの初速の速さや、イレギュラーに動く独特な挙動、ふっとテンションが抜けた時の浮遊感、それらの様々な要因が入り乱れてサワラサゴシの捕食スイッチを入れているんだと思います。
基本的には、一度ボトムまで沈めてからのアプローチが無難だと思いますが、ベイト反応に合わせてカウントダウンで任意のレンジを引いてきてもいいです。
また、表層付近に反応が出ていないときでも、手前(表層付近)でヒットしてくるような場面、たぶん長い距離を追ってきているんだと思いますが、そういった場面でもブレード系に比べてヒット率は高いように感じています。
推測ですが、ブレードジグとの泳いでくる軌道の違いであったり、良くも悪くも直進性が高く泳ぎが安定しているブレードジグでは長い距離を追っても最後の一押しがなく見切っているようなとき、コンタクトイーノの場合、独特のイレギュラーアクションが最後の一押しになっているのではないかと推測します。
コンタクトイーノのメリット
・捕食スイッチを入れられるアクション性能
・長い距離追ってくる場面でのヒット率の高さ
・見つけられやすいボディボリューム
・形状的にラインカットが少ない
・アンダーハンドキャストでもよく飛ぶ
・スリム形状の恩恵で”重さの割に”速く沈む
・ただ巻き以外でも使える(ロッドワークの楽しさ)
・ベイトが広範囲に散っているときや、浮き気味の時に強い
・ベイトがシラス~5㎝程のカタクチでも問題なく釣れる



乗合船で感じたデメリット
反面、デメリットと感じた部分も書いておきます。
前記した ※ただし状況は選ぶ の部分です。
30gのプラグですので当然ですが、重さのあるブレードジグと比べると深く沈める場合時間が掛かります。
また、コンタクトイーノは巻くと浮き上がりやすいため、ベイト反応がボトム付近に集中している場合は特に、手返しが良い方法とは言えません。
体感で、ストレスなく釣りを続けられる水深は20m前後まで。25mを過ぎてくると苦痛が大きくなってきますので無理せずに他のルアーを使った方が無難です。
同様の理由で、強風や速い潮流を受けて船が大きく流されているような場面での使用もあまりお勧めはしません。
着底までに掛かる時間は、水深×1.2〜1.5秒くらいの事が多いように思います。
また、コンタクトイーノのアプローチ法は、1日続けると身体への負担もそこそこあります。
ひたすら早巻きを繰り返すブレードジギングも決して楽な釣り方とは言えませんが、若干ロッドアクションを付けたりする事を加味すると、ブレードジギングよりハードに感じる面もあるかもしれません。
少し変わったデメリットを上げると、フッキング位置が口の中ではなく、外側であることが多いです。
針掛りの位置によっては水中で魚体がバイブレーション状態となり、サイズ以上に引きが重い場合があります。単純に食い損なっている訳ですが、イレギュラーアクションがサワラに効いている証明でもあります。ロッドワークを大きくするとラインカットのリスクも高まるので動かし過ぎは厳禁です。
コンタクトイーノのデメリット
・20m以上の深場に弱い
・強風時に使い辛い
・フォール速度の違いから、隣の人とのラインクロスに注意が必要
・身体への負担が掛かる
・ベイト反応がボトムべったりの時は非効率
・フッキング位置が安定しないのでサイズ以上に良く引くことがある
・総じて手返しは悪い
デメリットと感じる事柄のほとんどが、沈みが遅いことと関係しています。
ブレードジグに釣り負けた日は、決まって25m以深の深場をメインで周っていた日や、強風のラフコンディションの日でした。
当然ですが、沈みの速いブレードジグと比較してコンタクトイーノは圧倒的に手数は少なくなります。ですが、状況次第で得られた釣果はほぼ同等だったことを考えると、1キャストあたりのヒット率ではコンタクトイーノに分があるとも言えます。
今回の検証では、このルアーの「プラス面」と「マイナス面」を深く知るために状況を無視してコンタクトイーノを投げ続けることがほとんどでしたが、状況に応じて「ブレードジグ」と「コンタクトイーノ」を使い分けることができれば、これまで以上に釣果を伸ばすことは容易になるのではないかと思います。
あくまでも東京湾の2025年秋サワラシーズンに関しての内容ですので、海域が変わればポイントの水深も変わってくると思います。地域によってはこれらのデメリットをほとんど感じることなく、コンタクトイーノだけで通して釣りが成立するかもしれませんし、ショアの釣りであればなおさらです。
現在、コンタクトイーノはメーカー在庫が完売しておりますが、「使ってみたい」という大変多くのご要望を頂いていますので、急遽来年2月の生産が決定しています。
早い段階で小売店様に取り寄せ依頼、客注依頼を出していただければ2月納品で対応できると思います。
東京湾の秋のサワラシーズンはほぼ終了してしまいましたが、今後も関連情報を出していきますのでご期待ください。


