フィードポッパーは120から121へ

 フィードポッパー120のリニューアルモデル【フィードポッパー121】の初回出荷がひと段落しました。
今回は私たち「メーカー」に代わって一般ユーザー様が新旧モデルの違い等を発信する
【レビュー企画】という形を主軸に発売前の情報発信を行ってきました。
ご参加いただいた皆様ありがとうございました。お陰様でリアルな釣り人の声を多くのユーザー様に届けられたと思います。
初回出荷の完了したこのタイミングで改めてメーカー公式から今回のリニューアルの経緯を(一部明け透けに)お伝えしておこうと思います。

発売時期の違いとタックルの違い

フィードポッパーのファーストモデル120が発売されたのは、2003年。当時はまだキャスティングゲームにPEラインが使用されるシーンは少なく、ナイロンライン等のモノフィラメントラインが多く使われていました。

もちろん、フィードポッパー120も、素材自体が柔らかく、弾力と適度な伸びがあるナイロンラインを用いてテストを行ってきました。

その後、感度の高さや、同じ引っ張り強度ならナイロンに比べ遥かに細く飛距離に繋がる特性をキャスティングゲームに展開できるようPEラインは進化し、また、PEラインに対応させたロッドやリール、さらにはPEラインの使用を前提としたタックルが増え、今やフィードポッパーを用いる海のキャスティングゲームでは、ほとんどのシーンでPEラインが使われているといって良いでしょう。

フィードポッパーについても2009年のセカンドモデルCFP100以降については、もちろん、PEラインでのテストを行っています。

ライン素材が異なると、ルアーの動きはどうなる?

伸びが少なく感度の高いPEラインと、伸びがあり柔らかなナイロンライン、それぞれの先に結んだルアーはどのように動くでしょうか。PEラインでは加えた力がダイレクトに伝わります。つまりアクションを加えると、「瞬時に」「強く」ルアーに伝わります。逆にナイロンラインでは、瞬間的な入力であってもその性質により「多少のタイムラグ」をもって「少し弱くなった力」が「長い時間をかけて」ルアーに伝わります。

同じルアーを使って、同じようにロッドアクションを加えると、PEラインとナイロンラインではルアーの動きが違ってきてしまうことはお分かりいただけるかと思います。

また、同じルアーを使って、PEラインとナイロンラインでルアーに同じ動きを与えるには、ロッドアクション等アングラー側で扱い方を変えなければならないこともお分かりいただけるはずです。

CFP120 → 121 リニューアルの理由

フィードポッパーは、同じシリーズではありますが、ナイロンラインタックルで使用した時のCFP120の動きを、他のサイズではPEラインタックルを用いて同じような動きを出すように設計してきたということになります。

CFP120とそれより後のモデルでは、カップの角度やボディに対する大きさの比率、ボディのフォルムが少し異なることが見て分かります。もちろん、それ以外にもボディ内部のデザインも異なります。

結果として、基本的なフォルムの違いが生じている以上、CFP120だけが少し異なるアクション特性を示すことになってしまいました。

つまり、シリーズ5アイテム中、1アイテムだけが性質が異なり、シリーズとして不自然な状態となっていたわけです。その不自然を解消するべく、今回のリニューアルとなりました。

具体的に、どう違う?

浮力、浮き姿勢

CFP120→ST46#1フックを装着して、ほぼ垂直で水面ギリギリの浮き姿勢。121と比べるとボディは若干細身で浮力は小さめです。

CFP121→他モデル同様、ST46の後に発売されたST56を装着(#1)。120と比べると、浮き姿勢はほぼ変わりませんが、太軸で重いフックのため、ボディ自体の浮力は大きくなっています。

同じようにロッド操作した時の挙動

CFP120→パシャっと広範囲に細かい水飛沫を飛ばすのが得意です。弱めの入力にも機敏に反応し首を左右に振るようなレスポンスの高さも備えています。逆に現代のPEラインを用いたタックルの場合、強めの入力では水面を滑らないよう注意が必要です。

CFP121→ガボッと空気を抱え込んで潜るのが得意。弱~強入力まで安定した挙動を示します。CFP120 に比べ機敏さは少なくなりましたが、あらゆる面でエラーが少ない仕様となっています。一度潜らせてから水面直下を泳がせるようなアクションにも対応します。

なんで、20年経ってから?

前述の通り、今回のリニューアルは、サイズバリエーションを作ってしまったが故にシリーズとしての整合性を保つためのリニューアルとして、120mmクラスをシリーズの他モデルと同様の使い心地、使いやすさにしたものです。

セカンドモデルである100mmが出た時には、2つの性質が多少違ってもサイズが違う以上個性の差として捉えることができましたが、サイズ展開が進むにつれ、CFP120の違和感が目立つことになり、社内でもリニューアルの必要性が随分前から議論されてはいました。

しかし、20年という年月が経ってしまったのには、たった一つの理由があります。

ここまで読んでくださった方には正直に申し上げますが、CFP120が、フィードポッパーシリーズの中で、最も販売数量が多いアイテムだったからです。正確に言うと、現在でもシリーズ中販売数量はトップです。

CFP120がシリーズで1番販売数量が多いことについては理由が考えられます。あくまでもルアーのスペックのみで考えた場合、120mm30gという長さと重さは、ショア、オフショア問わず多様なフィールド、ターゲットに対応できるという点。当然アングラー人口も多いわけです。また、このサイズで貫通ワイヤーと#1フックを装備している安心感もその理由と考えられます。

別記事、できれば避けたい「廃番」。

にも記したように、魚はルアーの新旧は知りません。また、CFP120が認知されるまでには少し時間がかかりました。時間をかけて育てていただいた上、【ナイロン設計】なのに、CFP120は一番評価されているルアーなのですから、設計変更については慎重にならざるを得なかったわけです。

他モデルと比べると性格が違う、はっきり言ってしまえば今のタックルでは少々使いにくい(特に青物において)というのは私たちも認識していました。市場での評価はそれなりにあることについては、ルアーの性能というより、「使いにくい部分は目を瞑って使い続けてくださるアングラーの皆様のおかげである。」ということを結論とし、既存のユーザーの皆様にも納得いただけるルアーに仕上げるために時間をかけた上でこの度のリニューアルに至りました。CFP120の評価できる点は残しつつ、マイナス面をプラスに改良しています。この点は是非実際に体感してみて頂きたいです。

旧モデルのCFP120はどうなる?

すでに、モニターの皆様からは、CFP121は「使いやすくなった」「エラーが少ない」「飛び出しにくい」といった声をいただいており、ひとまずは「シリーズとしてのフィードポッパーの整合性を取る」という当初の目的は達成できたと考えております。

なお、旧モデルとなるCFP120については、市場在庫のみとなり現在のところ次回生産の予定は当面ありません。

しかし、フィードポッパーは120から121へ、というのはあくまでも私たちメーカーの都合。もしかしたら、ユーザーの皆様の中にはまるっきり違うものになってしまったと捉える方もいらっしゃるのではないか、という不安も当然あります。

現在申し上げられるのはここまでですが、使い比べていただいて「やはり120でないと」という声、具体的には取扱店様からの注文数が一定以上集まった際には、生産を行う準備だけは整えています。

https://www.tacklehouse.co.jp/product/con_cfp.html