ノントラブルスティック
タックルハウスは今年40周年を迎え、私が共にいたのは36年余り。その初期からライントラブルの予防を目的とした「ノントラブルスティック」という製品があります。今回は質問があったことから少し詳しく説明しておきます。
主流がナイロンからPEになり、糸ヨレしにくいリールの登場と相まって当時程の売れ行きは見せていませんが未だ現役です。PE登場あたりまでよく売れていたせいか、数年して数社から糸ヨレ取り目的らしい螺旋状の回転しやすいものが発売されていました。どれも強制的に糸ヨレの反対方向に回転させるという発想でした。
ノントラブルスティックはこれら後発のものとは異なります。糸ヨレの原因はスプールに巻くとき、放出するとき、回転するルアーを投げているとき、引いているとき、特にスピニングでドラグが作動したときetc、と様々で捻じれ方向や捻じれてしまった長さも度々変わるものです。たまにスプールの奥は左捻じれで、リーダー側10mだけが右捻じれなんてこともあります。
これらを強制的に治そうとすると捻じれの方向や量がややこしくて、回転させすぎる場合があったりで現場向きではなかったのです。対処方法のヒントはトローリングのプロガイドが移動中の暇なとき、先に何も付けていない素のラインをできるだけ長く流してリールに巻き直していたことからです。元々糸ヨレの起きにくい両軸リールとローリングスイベルを使っているのにです。
初期のボートシイラ釣りはナイロンラインでしたから、私はこれを真似してたまにラインを流すことにしていました。200mも流すとそれはスゴイ抵抗でドラグが作動しかけるぐらいです。それからはライントラブルが減りました。もちろん細目のジグで大遠投してラインを巻き返し整えるということもしてみましたがこれは悪化する場合もあります。
何とかこれを岸釣りに応用できないものかと考えたものがノントラブルスティックでした。岸釣りだとトローリングのように素のラインだけではどうにもなりません。そこでできるだけ抵抗の少ないものを遠くに飛ばせるようにしました。後ろの数本の掘り込みは引いたときの姿勢のためです。本当はラインの小さな弾力に応えるように最小の力で回転するものを作りたかったのですが細くし過ぎると危ないのでやめました。
実際ラインを結んで試してみると分かるのですが、コシのあるナイロンは簡単に、コシの弱いPEでもラインを捻じると素直にノントラブルスティックが回転します(ボールベアリングスイベルを付けていても)。肝は回転しやすく、その回転が素早く収まるところにあり、過回転は大敵なのです。そのために精度の高い金属削り出しを採用しているわけです。
この製品の目的はライントラブル全体の予防であって、ヨレ取りだけではないのです。左右どちらの捻じれでも、程度の大小でもいっさい気にせず使えるところが現在も需要がある要因でしょう。ライントラブルでお悩みの方はぜひお試しください。(たまに魚がヒットするのはご愛敬ということでw)
ディスカッション
コメント一覧
この度PEラインのヨレ取りのためにこの商品を購入しました。
PEラインの号数と使うべきスティックの重さがよく分かりません。
PE3号だと3つのうちどれを使えば良いでしょうか。
るりさん、ノントラブルスティックのご購入ありがとうございます。
使用ルアーを投入して放出されたラインの長さや飛距離を目安にしてください。そこに届きそうなら良いのです。PE3号ならば慣れるまで重めのほうが投げやすいと思います。
それで飛距離が足りているなら、軽いほうを使ってみてください。糸ヨリ自体は軽いほうが取れるのですが、いっぽう巻きの密度を揃えるためにラインを指でつまみながら巻く際にスプールに同テンションで巻けているか気を使うことになります。気楽に使っていただいて大丈夫です。
それと、釣りの最後の一投でこれを使い、指でもタオルの切れ端でもラインをつまんで塩と水分を取って回収しておくと、リールにもラインにも優しくなります。
ナイロンの頃はよく使っていました。最近はPEでヨリがあまり気にならなくなって使っていなかったのですが次回からまた時々使っていこうと思います。ラインにかかる抵抗の大きさや、回転しやすいけど収りやすいと言ったような所まで考えられているとは存じませんでした。さすがタックルハウスです。
内宮 実様、古くからのご愛用、ありがとうございます。
PEのヨレは柔らかい故にそれの起きにくいリール(両軸やスピニングでもよく対策が練られているもの)や定期的にラインを新調していると目立たないのですが、ドラグ作動時間の長いファイトやラインローラー(べール)の微妙な位置ずれとかで溜まっていきます。
ラインを指でつまみながら巻き直すことでラインそのものの劣化具合を把握できることも良いと考えています。
なおプラグ等、素直に回転しないルアーを使用中、指でつまんでヨレを前方に押し出すと、全体に滑らかにヨレていたものがリーダー側のラインの短い部分に集中させてしまうことがあります。ヨレがないこと(ムラがないこと)を確認してから投げないとトラブる原因ともなりますので注意が必要と思います。
初コメ失礼致します。
いつも楽しく拝見しております。
とある凄腕アングラーがタックルハウスのルアーを使っているところから興味を持ち始め、それがきっかけでこちらのラボを知りました。
ラボを目にする毎に二宮様の世界に惹かれ、それからは二宮様、タックルハウス社ルアーのファンになり、今となってはルアーボックスの中が全てと言っても過言ではないほどになりました。
様々なメーカーは「このルアーだからこそ釣れる!」を広告しますが(商売ですから当たり前ですが)、二宮様のルアーには「そういうの」を超越した、自然、そして魚への敬意が込められた温かみがあり、使っていて楽しくなるルアーです。
今年は40周年ということで、新作も待ち遠しく、また今後も末長く「二宮様の想い」が籠ったタックルハウス社ルアーを販売下さる事を切望致します。
前置きが長くなり申し訳ございません。以下、本題を申し上げます。
ノントラブルスティックに非常に興味がございますが、私が使うPEラインは25~40LBがメインで、中にはキハダ用の100LB以上もございます。
それらのPEラインに、ノントラブルスティックは効果があるのでしょうか?
また使用方法に「ライン直結」とありますが、スイベル機能の無いスナップにスティックを取り付けたら、効果は無いのでしょうか?
Y様、お気持ちのこもったコメントと弊社ルアーのご愛用、ありがとうございます。今後も期待に応えられるよう頑張ります。
ノントラブルスティックについてですが、PEはナイロンに比べてヨリ取りの部分だけは効果が弱まると思います。編んだPEは柔らかく弾力や反発力に乏しいので、指でつまんでもヨレを前方にシゴキ出しずらいためです。
それでも巻き直しでラインが整いトラブル自体は減るので、その前兆を感じたら使ってみてください。
PEラインの25~40lbあたりならばまだ細いので問題なく使えます。要はルアーの飛距離ぐらいラインを引き出せればいいわけです。さすがにそれ以上になりますと旧来のノントラブルスティックの重量では使いずらいので太糸用もテストすることになりました。(青物相手でドラグが作動する分ヨレが溜まる)
また台紙にライン直結とあるのは当時ゴツクて非対称形のスイベル付きスナップがあり、念のため書いたものです。(台紙も近く改める予定です)現在の洗練されたスナップで素直な回転を阻害しないものならそのまま付けて大丈夫です。
ご回答ありがとうございます。
さっそく購入致しました。
青物用?(太糸用)の販売も楽しみにお待ちしております。