ルアーの太さについて
このところイベントトレイルが続いていました。ご当地のアングラーとお話しすることは、私にとって刺激に満ち、ルアー制作の方向性を確認するには欠かせないことです。
そこでは様々な質問を受けるのですが、今回はその中から、説明不足だった、ルアーの大きさについて、補足を含めてお答えしたいと思います。
市場にある数多のルアーの中から選ぶとき、ルアーのサイズ表示が目安のひとつになります。ただし、同じサイズ表示であっても全体的なボリュームには相当の開きがあり、実際に手にしないと分かり辛いものです。
シーバス向きのルアーとしては、一般にですが大きいものほど細身になる傾向があります。冷静に考えると、大きさの持つ、目立つ、食性に合わせる、といった目的からすると矛盾しているかもしれません。
これは自分にとっての対象魚のサイズが漠然と見えていて、できるだけ食いやすいように、という普通の考えに沿っているからでしょう。それに誰でも弱気になると、小さく細身にしたくなるのは人情というものです。ほんとに魚が人の余計な配慮を感じてくれているのか?
かつての私は、こうしたことに疑問を持ち、ある実験を繰り返していました。
それは、どれくらい大きく、太くしたら魚の反応が変わるのか?というものでした。(大きさのほうは36センチまでスズキが釣れました。)
興味深いのは太さのほうで、ルアーのフォルムを少しずつ太くしていき、反応が著しく
変わるところでチェックするわけです。どんなに太くしても食うなら、野球ボールでも釣れちゃうことになりますから。
すると、ある一点までは、そんなに食いが落ちることもなく良好な反応が窺えました。そしてそこから2ミリほど太くすると、グラフイメージでいう急降下が始まったのです。
ルアーの得意なところは、エサと違い、一撃でバイトさせることですから、目立って、かつ見破られることなく口を使わせるギリギリのところがあれば、それを最大効果とする考えがあります。(目立つイコール違和感でもある)
そして度重ねた実験結果から、生まれたものがあります。それがBKF115、ブルーオーシャンでした。
1989年に発売した当初も、その太さには違和感を抱いた人が多かったように覚えています。
しかし、すぐに評価は変わりました。その秀でた一撃性を魚たちが支持してくれたからです。魚との対話から生まれたものに間違いはありませんでした。
現在も生産を続けていられるのは、このルアーに最新のK2Fをもってしても敵わない性質があるからだと思います。
もちろん良いことばかりではありません。優れた一撃性は、そのまま数投の内にスレやすいということでもあるからです。でも同じ魚に何度も見せなければ、未だに無類の強さを見せつけるルアーでしょう。
そして今の季節がら、各地で比較的大型のルアーが使われています。相手がコノシロのような大型ベイトを求めているときは、特に、私なら迷わず46グラムのBKF175か、K2F142等の大型ルアーを選びます。
強めのタックルの用意があるのなら、試してみてください。大きさ、太さのもつ凄みをぜひ味わって貰いたいのです。
(2021年1月 追記↓)
数年前からコノシロパターンで160mm以上の大型プラグによる実釣映像が頻繁に公開されるようになってから、この釣法が本格的に一般化したようです。言葉だけだと伝わるのは限られたユーザーでした。小型ムービーカメラ恐るべし。
それと何でも行き過ぎるのがこの業界。数年後はどうなることやら・・・
ディスカッション
コメント一覧
小細工の効かない大場所、例えば沖磯周りの大ザラシとか、足元から水深のある雨後の河口テトラとかで、BKF以外を投げるのは機会費用が大き過ぎる。最近発売されたバスルアーの図鑑本にもフツーに掲載されていました。私はこのルアーでスズキ釣りを始めて正解でした。
バンクマンさん、独特な語彙を含んだコメントをありがとうございます。私は西表島から帰ってきたところです。ゴーフッシュのブログに出ているそうなのでよかったらご覧ください。
BKF系は試作するさいの魚との対話の総時間が、最近のものとは桁違いに長いだけにやたら強い場面がありますね。このルアーからプラ化し作り始めて良かったです。