ブランドネームについて-1

タックルハウス創業後しばらくは、製造している製品は皆「ツインクル」でした。ブラックバス向けの製品もソルトウォーター向けも全て。しかし、アイテム数が増えるにつれ、魚種ごとにグループを分けてブランドネームをつける必要性が出てきました。ブラックバス向けのブランドにチビリコやP-Boyと言うブランド名をつけたのは、前回お伝えした通りです。

タックルハウスでは、創業からしばらくの間ブラックバス向けの製品を取り扱っていました。今回は、これまでリリースしてきたブラックバス製品をご紹【...】

そこで今回は、それ以降のブランド展開について、いくつかご紹介します。

K-TEN

1984年にシーバスをはじめとするソルトウォーター用のツインクルサーファーを発売し、海のルアーに進出した後のことです。社長の渋木が取引先のショップで、淡水でのゲーム以上に海のプラグにおける飛距離の必要性の話をすると、後日、紹介したい人物がいるとして、現在のK-TENシステムを含むルアーの特許を持ち個人でルアーを作っていた二宮正樹と引き合わせてくれました。片やもっと飛距離の出る海のルアーを発売したいメーカー、片やアイデアはあるのだがコストがかかり過ぎて量産にまではこぎつけられなかった個人。二人は製品化について意気投合し、最終的に二宮正樹をデザイナーとして社に迎え入れることとなりました。そして1987年にK-TENとしてプラグをリリース。以降、K-TENシステムを搭載し、デザイナー二宮正樹がデザインした製品をK-TENシリーズとして扱っています。

K-TENシリーズについては2002年のK2F発表時より、二宮正樹のブログ K-TEN Laboratory にて、情報を発信しています。詳しい話は、ぜひそちらをご覧ください。

elfin

現在は管理釣り場向けの製品群のブランドです。しかし、最初に「エルフィン」と名付けられたルアーは、管理釣り場用ではなくレイクトローリング用ミノーでした。とある小売店から、レイクトローリングのタックルを作れないかというオーダーをいただき、集魚板とともに製作したものでした。写真は当時のカタログから。エルフィンのロゴの肩にはツインクルのロゴが見えます。

長さは39mm、ウェイトは1.3g。現行製品のクリケットに近いボリュームです。さらにマラブーがついていて風の抵抗を大きく受けるため、当時のタックルでキャストするのはひと苦労でしたが、スプーン、スピナー、海外製プラグの極小モデルが多くを占めていたこのころの管理釣り場でこの小さなミノーを試してみると、よく釣れます。そこで改めてレイクトローリングより人口の多い管理釣り場に着目して、専用プラグの開発に着手しました。

そして1990年代中盤に誕生したのがフローティングのシケイダー、サスペンドのグラスホッパー、シンキングのシュリンプの3アイテムでした。対象魚、使用シーンは同じですが3つの違うフォルムを持ったプラグだったため、シリーズ名を与えた方が認知していただきやすいと考え、その頃河川が主な活躍の場としてイメージが定着しつつあったツインクルから離れ、「エルフィン」をブランド名としました。

下の写真は1998年のカタログから。それまでの3アイテムに加え、プラティがデビューした時のものです。左肩のツインクルロゴが違うものに差し代わっています。

トップウォーター、表層、それより深い中層、そしてボトムと、エリアを大きく分けた上で全層を攻略するためのプラグのラインナップだったわけですが、その後多くのアングラーが管理釣り場の釣りを楽しむようになり、また様々な戦略の出現により、シビアなルアー選択が行われるようになりました。そうした環境の変化とともに、CAD設計の導入や金型精度の向上もありさらに小さなアイテムも登場し、浮力設定のバリエーションを含め現在では、シリーズ17アイテムを数えることになりました。

エルフィン製品ページはこちら。

Double Dia

語源は、スキー場のコースの難易度設定のうち、最も難しいとされる「ダブルブラックダイアモンド」から。主に上級者向けのシリーズとしてデビューしました。

2000年代に入るとルアー釣りは多くの人に知られるようになり、ブラックバスから始まった、ブームとも言えるルアー人口の増大はソルトウォーターにも広がり、また対象魚種の増加やタックルの細分化も進んで行きました。釣りにおけるノウハウの蓄積とともに、アングラーがルアーに求めるものも明確になりレベルの高いものに変わって行きます。そのような中、コアなユーザーへの提案としてリリースしたのが、ダブルダイヤd-80というミノーでした。対象魚は主に汽水域のシーバス。汽水域といってもシチュエーションは様々。例えば、東京湾と大阪湾では塩分濃度は異なりますし、流入河川の規模や日によっての水量によっても変わります。そこで、塩分濃度による浮沈スピードの差やサスペンド状態を厳密に追い求めるユーザーを想定し、同寸法(80mm)同フォルムで0.1g差の製品をリリースしました。

d-80の次の製品は、2003年にサクラマスをはじめとする流水域の釣りでの使いやすさを追求したミノー、ビットストリームでした。もともとやり込んでいる方の多い分野のため、半端な製品ではアングラーから支持を得るのは大変で、それまでのミノーのサイズバリエーションで済まされるはずはありません。

ビットストリームは、従来のミノーを流水域で使用した際の弱点や我慢を強いられる部分を徹底的に潰し、川の流れに翻弄されることなく泳ぎ、サクラマスフィールドで快適に使用できるルアーに仕上げました。残念ながらd-80はカタログから姿を消しましたが、ビットストリームについてはその後ヴァンテージやジョインテッドをラインナップに加え、現在に至るまでサクラマス、サツキマス、本流トラウトアングラーの皆様にご愛用いただいております。

ビットストリーム製品ページはこちら。

ブランド成立の頃の話、いかがだったでしょうか。ご紹介したのはごく一部、古いものから順番に、さらに、多少でも当時の資料が社内で見つかったものを、まずは取り上げました。また社内で面白い資料が出てきたら、第2弾をお届けいたします。

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