ガウス加速器を応用したルアー 開発状況

TKLM140G

晩夏に発売を予定している新作についての続報です。

前記事へのご質問が複数あったことと、自分自身にプレッシャーを掛けるためにw発売まで折々に開発状況をお知らせします。写真は概略図です。これでルアーに何をさせたいのか、だいたい解ると思います。

目的はもちろんよく釣れるルアーを作ることなので、Rユニットの能力を拡大し、そのデメリット(制約)を打ち消したいと考えました。

Rユニットの効果は確信できるものの構成部品の重さを上げ過ぎると、飛行中にも暴れてしまい失速してしまう場合があります。そこで従来品(TKR130以外)はユニット座面の角度を調整したり、小さ目の部品にしてデメリットを抑えていました。もっと自由に作りたい・・・

 

それがガウス加速器の応用に成功すれば、抑えるばかりでなく重心移動システムに連続性が加わり、また時間差で作動できるスイッチのようなものが手に入ります。Rユニットにもさらに重い球を入れられるし、飛行中は左右重心中央に仮固定できるので暴れません。

 

簡易図とガウス加速器の実験を見れば何となく簡単そうに感じるかもしれません。しかし、物理とルアーをよく知るものからすると全自動でサイクル化するのは極めて困難に思えるのでしょう。幾つかいただいた疑問にもそれが書いてありました。たしかに解決にはたくさんのハードルを乗り越える必要があります。

 

そこで、パテント申請も済んだことだし解説してみようと思います。折しも外出自粛要請でこもりがちなら、暇つぶしの一助にでもなれば幸いです。

まず、こもりついでにさらに深く籠りましょう。少し狭いですが、ルアーの内部に入ってください。そしてご自身が図のA球になったつもりで読んでください。

①Aからルアー頭部の方向を見ると奥に穴が見えます。背後には強力な磁石があってA(自分)はくっ付いて身動きできません。この状態で待機していると・・・

 

②にわかに前方が空を向いたように感じました。(外界では投入前動作をしているところ)

 

③急に背中が押し付けられるような強いGを感じ、磁石方向にめり込みそうになります。同時に磁石の奥のほうでズンッという重い音がしました。(磁着タングステンが移動した。)と思った瞬間、今度は逆に磁石から引き離されそうになりました。前方の穴に落ちてはたまらないので必死に堪えます。(外ではルアーが投げられ空中で反転して尾から飛んでいる状態。短時間に逆方向の力が入れ替る。)

 

④数秒間の短い平穏(飛行中)があって今度はまた自分Aを引き離そうと凄まじいショックが来ました。ここでも離れたら終わりという意識が働いて磁石近くの鉄球にしがみ付きました。(外では水面にルアーが着水して、乱雑な方向から衝撃を受けます。)

 

⑤その直後、磁石を隔てた先のほうからゴロゴロと何かが此方に迫ってくる音がしました。(重心移動システムのメインウエイトが尾部から前部磁石へ)

 

⑥次の瞬間、ガチーンッという音と同時に自分Aは前方の穴に向かって弾き飛ばされました。前の二度の衝撃には耐えられたのに、これには逆らえなかったのです。(ガウス加速器作動)

 

⑦あっという間に通路を過ぎると、穴に落ちる寸前に方向を変えられたようです。何故か左回り(ロマンですw)でグルグル回転させられました。

 

⑧回転が収まりそうになると、今度は部屋自体が左右交互に傾き出して、回転が止まらなくなってしまいます。それどころか時々左右にGが発生して体勢を維持できません。(リトリーブ中)

 

⑨ようやく回転が緩やかになって、気を取り直すと何か覚えのある力が働いてまた穴に落ちてしまいました。気付くと最初にいた場所にいるのでした。(ルアーをピックアップしたところ)

 

これで1サイクルとなります。Aとなって経験していただけたでしょうか?くたびれたのでルアー内部から出ることにしましょうw

 

正直なところ、現時点のプロトタイプでこれが正確に作動するのはまだ70パーセントぐらいです。あと二か月で90パーセントにはしてみせます。

 

問題は飛行を始めてルアーが空中で反転後と着水時は、A球が絶対外れてはならないのに、磁力を高めるだけでは投入時にメインウエイトが外れなくなるところです。磁界の範囲と強度を精査して各球の材質を考えて絶妙のバランスを探ることになります。

バランスが崩れれば全く作動しません。今のところ、メインウエイトには様々な理由で磁着タングステンを採用したときのみ成功しています。磁石とAの間にある球は調整用です。

 

幸いなことにその磁力バランスは、いったん構築すると経年で弱まったり、個別の磁石にバラツキがあっても、単体の磁石ならばAとメインウエイトの磁着の強度関係は崩れないのです。そうでなければとっくに諦めていたでしょう。

強さ、角度、磁界の距離とかを高精度で調整するのには外出自粛要請期間は丁度良いのかもしれません。ヒキコモリ続行しますw

Posted by nino