飛び魚の気持ち

生き物

晩夏の海。シイラ、マグロ狙いで、保険はカツオでいこうと、期待に胸を膨らませるのは毎度のこと。
存外な釣果に恵まれることもありますが、たいていは期待より下回ることが常でした。まあ、だからこそまた行こうとするのですが。
早朝、魚を探す我々の見開いていた目も、次第に眠気に押されてウツロになることもしばしば。

そんなとき、揺れる船首に陣取っていると、軽い浮遊感の中で様々な生き物を目にします。狙う魚以外の。
イルカに鯨、マンボウに鮫、等々。
ポピュラーなのは飛び魚でしょうか。この季節は成魚に混じって当歳魚の群れもよく見掛けますが、小さいながらも船に追い立てられると、なかなかの飛行を見せてくれます。

正確には飛ぶというより、海面ギリギリを滑空しているのですが、見る度に不思議に思います。
太古に鳥でもないのに飛ぼうとする意志が生まれ、いつしか数百メートルを滑空できるようになったのだと思いますが、これは進化の途上にあるのか、この先さらに上空を舞うことがあるのか。
もしかしたら、反対に今我々が見ているのは、着水を待ち構えている執拗な捕食者に諦めて、退化の途上にあるのかもしれません。
あの能力からすれば、その気になれば10メートルは上空に行けるはずなのですが、未だ見たことがありません。

高等生物以外は、無駄なことをしないと言えばそれまでですが、たぶん、他にも海面ギリギリで滑空することが、揚力の関係などから余程都合が良いのだと思われます。
だから風が無く、起伏の無い海面だと、滑空距離が伸びないわけです。

K2Fも海面に近いところを飛ぶのが好きです。ケツからだけど。
山ナリキャストとは相性が悪いです。
低弾道ライナーキャストが基本。失速と同時に着水。
風を味方に、静かに、飛び魚のごとく。

Posted by nino