感想と返答

前記事「続リリ…」について、たくさんのご意見メールを頂きました。昨日で全てお返事できたはずですが、稀に、写真以外の添付ファイルや特殊な文字列があると、別ボックスに隔離されるメールがあり、見落としてしまう場合がありました。
もしも、メールを発信したのに、まだ返事が無い場合、お手数ですが、もう一度発信してみて下さい。


コメント欄にチラッと書きましたが、全く同じ文章を発表した9~14年前とは、比較できないほど好意的なご意見が多かったです。勿論書ききれないこともありますし、疑問や矛盾を指摘された方もいます。でも、ホッとしました。この先もガンバレます。

その中で気になったことが幾つかあります。
「~ではないから、あるいは何々だから言えるんだ」という話があったので、もう少し、私の立ち位置について明示しておきます。
このブログがメーカー内にあるように、私は業界サイドにいます。でも、その前に釣り好きで何とか息子に、自分と同じ楽しみを味わって欲しい(子供はいませんが)と願う者です。
また、JGFAの会員です。会員NO二桁台だから相当古くからそうです。ただ、個人会員(今年からクラブ会員)で、最近は若い会員とお会いする機会を逃していたと反省しています。

大人なら判って頂けると思いますが、組織というのは会社であれ何であれ多少の矛盾は抱えているものです。私は会社や所属する内部から、制約やリスクがあることを承知で意見を発信することを選びました。
当時の状況を放っては於けませんでした。すぐには無理でも、やがて真意は伝わると信じることにしました。
今だから話せますが、あれを発表して会社にも迷惑を掛けました。嘘つき呼ばわりには我慢しましたが、K-TENは二度と買わないという人まで現れたのです。売り上げを落としてでも語るべきことでした。
直接私に会いに来た方々には、充分な説明と実証をお見せして、全員に納得して貰いましたが、お会いできない方の頑なな心を融かすことは難しいのです。

完全な証拠を見せろ、という言葉を何度も聞きました。そこで何人かには手伝ってもらいました。外洋の荒磯から酸素入り大型クーラーを運んでいるうちに頑なな心は融けていきます。体力不足の方は参加すら困難な作業でした。完璧な水槽まで運び終え、数週間後の結果を知り、あのことを疑う人はひとりもいませんでした。

水槽は何処にある?見せて。これは勝手ながら熱意ある方に限り、ご一緒しました。誰でも自由に出入り出来るところではなかったからです。雑誌の取材も一度だけ入りましたが、地味で小さい扱いでした。
水槽の使用は、たまたま知人の研究者の興味と目的が、私のそれと被る部分があったからできたのです。数年に渡って、沖合の海水を常時引いて、殺菌循環させ、水温管理できる設備なんて、最近の水族館でも恵まれた立地でないと出来ません。そういう水槽を作るには億単位の金が掛かります。 個人どころかメーカー数社ぐらいでは出来る話ではないので、大きなところへ協力を仰ぐことになりました。
だから、今同じことをやろうとするなら、海岸沿いにある設備の整った水族館の自然環境を再現できる水槽を長期間、借り切るぐらいの覚悟が必要です。
同じ実験を潮通しの良い生け簀で試す事も出来ますが、問題が多すぎて、望んだ観察が困難でした。たまに涼しい季節での数日の実験で結論を出す方がいますが、その判断を誤らないように願うばかりです。…
これらについての私の活動が、尻つぼみになったのは、ブッチャケタ話、個人的な資金不足とギックリ腰でしょう。
何年もの間シェアトップを走ったK-TENも、世の道理、落ちました。資金に不足がなければ、幾つかの恩返しとしての活動を続けることに、ためらいはなかったのですが、さすがに尽きました。(笑)計画はあったのですが頓挫です。
今は調子の良いところに後を頼みたいというのが本音です。宣伝資金の一部でも使えれば相当のことが出来そうです。 人間、イケイケドンドンのときは周りが見えず、志と資金はなかなか両立しません。だからと言って余裕が出たらとかいったら、いつまでも何も出来ません。また将来を見据えた活動を業界内からも発信したいですね。

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ここで、いったん区切ります。実は書いている間にも質問があって、まだ書き足らないところがあるみたいです。あれもこれもだと、文章がグチャグチャになりそうなので。
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現雑誌やTV等を見て、相変わらずのように見えるというご意見もありましたが、全体的には当時より確実に、手で触れている時間が大幅に短くなっています。 ただこの数年で急速にブログ等のための写真取りが、私も含めて多くなっているので、あのことを確認しておくことは良い機会だと思っています。
こういうと、持論を持った私の目前で釣りをして、リリースする方がプレッシャーを感じてしまうようです。どうか、気楽にやって下さい。でないと私もツライです。

メディアが見栄えを重視するのは当然ですが、度々話し合ってはいるのです。しかし十五年、同じ編集者ということはほとんどなく、私はこの頃、雑誌とは遠ざかっていました。
それではいかん、というご意見はもっともです。また機会を見付けて確認をお願いすることにします。

この数日、色々ネットを検索したり、再び文献を漁ってみました。情報そのものはいっぱいありますね。ありすぎです。 でもピンポイントズバリ、つまりリリースのその後や、自然魚の扱い方というのが案外少ないです。
かつての私は、自分の意見を裏付けるための都合の良い引用は避けてきたのですが、もうネット時代、各自調べようと思えば出来ますね。
今、有用な情報は、主に水族館の魚の搬入方法や、鮮魚を扱う業者、釣りでは発展している管理釣り場などがあります。 いずれも年間日常を通して生きた魚に関わり、良い意味で金銭が絡むので、真剣だからだと思います。

魚が消耗しては死活問題の管理釣り場では、ご存じの通り既にほとんどのところで魚に触れないことがルールなっています。
水族館では、生きた魚を美しいまま運び、展示するために、どれだけ苦労するのか飼育係の記録からよくわかります。基本は触らず海水ごと運び、仕方のない場合でも一秒を争う努力をしています。
マグロや鰹、養殖業者、アジ等の活け魚業者もこの点は徹底しています。触ることはないし、私が数日と表現したところを、翌日そうなるとまで書いてあるところもあります。

注意すべき点は、あまりにも情報が多すぎて、ガセもあります。有用な情報は、〔漁獲してから触った後のことまで全体を通して見ている人達の話〕です。それは多くはありません。それ以外の人達、それは業者であろうと、学者であろうとこの件については役不足です。

スズキ、ヒラスズキの例はまだ少ないです。でも、自分が釣った魚だけが例外だと思うには厳しい話ばかりです。
一方で、巧くリリースされた魚が元気で、再び釣れることも、JGFAや漁協、魚類生態学の調査で多数証明されています。
難しく、少し面倒ですが、やり方は判っているのです。あとは創意工夫の問題です。
見ないふりしても進めますが、知った上で進むほうをお勧めします。

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写真は、千葉のHさんから。寄り添うヒラ二匹。ありがとうございます。
下の写真は、ヒラメの稚魚放流のときのもの。ヒラの捕獲もこんな感じで荒磯上を運びました。
明日より泊まりでヒラスズキ好き仲間の飲み会に誘われているので、留守します。よろしく。

Posted by nino