春のマイクロベイトパターン 青物攻略

写真/文 松井謙二

昨年、2021年 4月20日 このPROTO TYPE_FILE 『Field report』の初めての取材で吉田裕彦氏と和歌山県中紀の地磯にて青物の取材を行った。
その後、吉田氏とは大阪ベイエリアで青物の取材を秋に動画撮影を含めて二度行った。
合計3回の取材にて吉田氏は良型のメジロを毎回ヒットに導いた。
40グラムのルアーがフルキャストできる10〜11フィートのロッドにラインPE2号 リーダー30~40LBと青物狙いでは比較的ライトなタックルで南紀から大阪のベイエリアのフィールドでブリやサワラを高確率で仕留めているベテランスナイパーだ。

今回は是非にと、吉田氏に青物狙いでは1番難しいとされている「春のマイクロベイトパターン」について、その戦略をうかがった。


➖まずは始めに春のマイクロベイトの種類と特徴を教えて下さい。

(吉田)春のマイクロベイトのパターンは時期的には2月末からゴールデンウィークあたりです。
ベイトの種類は順番に(1)稚アユ (2)カタクチイワシになります。
私が釣行する和歌山県は北から、紀ノ川、有田川、日高川、日置川、古座川、熊野川と春に稚アユが遡上する河川が多く(河川によって異なる)、アユは海水温と川の水温が最も近くなる3月上旬頃に遡上を始めます。
遡上するまでは河口から10キロ以上も離れた磯の周りでも確認できます。
アユはカタクチイワシとは違いキャスティングで届く範囲の岸沿いを回遊するので、河口、サーフ、磯などのポイントで青物は狙いやすくなります。稚アユの大きさは5〜10センチぐらいです。
稚アユの遡上が始まると稚アユは河口付近に溜まり始めるので、そんな時はビックチャンスで大釣の可能性があるので要注意です。日が経つにつれ河口の稚鮎は川の上流を目指して遡上して行き、青物のベイトはカタクチイワシの稚魚に移行していきます。

サイズはちりめんじゃこサイズから9センチぐらいの群れが混成しています。
これが、今回の取材の釣り方となります。

カタクチイワシがベイトの時に狙うポイントは太平洋側なら湾になっているところ、川の水の影響を受けるところなど、餌になるプランクトンが多いところに集まります。

先程も言いましたが、カタクチイワシはアユとは違い岸際に近寄りにくいので、今回釣り場に選んだこの磯のように河口から近くにある潮通しがいい磯や波止、カタクチイワシが潮の流れによって岸際に寄りやすい場所が絶好のポイントとなります。

4月末までこのマイクロベイトパターンが続きますがカタクチイワシが5月に入って大きくなってくると大阪湾の奥にも入ってきて、小サバなどの青物のベイトも増えて大きなミノーやポッパーでも釣れるようになります。

➖今日、この沖磯(和歌山県の有田川河口に近い有田市初島の地島の南にある「カブト」と言う独立磯)を選んだのは?

(吉田)カタクチイワシは沖にいて潮の流れに乗って接岸してきます。
有田川河口に近いのでエサになるプランクトンも多く、島と半島との水道で潮の流れをしっかりと受けて、干潮、満潮時の潮の流れの変化でカタクチイワシが近づいてきたら青物も多く入ってきます。
また、磯の特長としては足場は少し高いですが南向きに沖が開けていて180度の視界が広がり、沖の潮の流れ、潮目の変化、鳥の飛び方も一目で確認できます。
ナブラが東、西側に出てもキャスト可能で青物狙いではとても条件がいい磯です。
常に潮の流れと鳥の動きを観察してキャストするポイントを探します。

➖釣れる時間帯、時合について教えて下さい。

(吉田)潮筋が近い磯でカタクチイワシが沖から近づいてきた時が時合ですね。
マイワシのパターンのように魚がベイトを岸に追い込み釘付けして餌を取りません。
海面近くに浮いた小さなカタクチイワシを水面に追い込んで捕食します。
紀伊水道は潮が上げている時に大阪方面に流れ、引きの潮は和歌山県側に流れます。
和歌山県の田辺以南は黒潮の流れの影響が大きいですが、やはり、釣りをする前日から満潮時、干潮時を調べておきます。
潮が動きだす、潮が止まりだす流れはじめと緩み始めの1日4回が時合ですかね。
大潮が絶対に良いとは限りません。ポイントによって異なります。
潮が早すぎるとベイトも流されて青物も捕食しにくいんです。

➖マイクロベイトパターンのルアーセレクトは?

(吉田)青物はカタクチイワシを水面の壁に押し上げて捕食します。
潜るルアーはベイトが小さい時はまったく青物からは目立ちません。
水面直下、10センチを泳ぐルアーですね!マイクロベイトパターンのルアーの大きさは9〜12センチがベストでアクションも大事ですが水面直下のレンジをしっかりキープして泳ぐルアーですね。
私は「ベゼルジャーク」を多用しています。
水面スレスレ10センチのレンジを左右に振りながら遠投して広く探ります。
当然、飛距離の出るルアーが必要不可欠です。
「ベゼルジャーク」が早い釣りなら、「ベゼル」はヌルヌルとひいて低波動のアクションに反応がいい時に使います。
引き波を立ててアピールする釣りが「ベゼル」の釣りで、ベゼルジャークよりも少し沈めて使ったりします。
今回の磯は足場が高かったので「ベゼルジャーク」が水面から飛び出しすぎるので、なるべく磯の低いところからキャストしました。
そして、もう少しベイトが大きくなったら「フィードポッパー100SW」です。
基本的な泳がせ方はタダ巻きにジャークを加えて少し沈めて巻いての連続です。
水飛沫でアピールが高くマイクロパターンにはもってこいのルアーです。
特にハマチ、メジロにはこの3つのルアーを使い分けて楽しんでいます。

➖吉田氏はこの日7時30分の満潮時の前後の1時間に「ベゼルジャーク」「ベゼル」で3本のハマチをヒットに導き2本キャッチした。天気予報では午前11時頃迄は北の風であったが、9時前には北から西寄りの風に変わりポイントの水面が風を受けてベイトが沈んでしまって、その後はノーヒットに終わった。潮を読み、風を感じ、鳥を見て魚が釣れそうな時間の流れの中でいかにZONEに入り集中力を高めるかが全てだ。青物が釣れるチャンスは短い!!