ルアーのカラー

 ルアーのカラーなんて、本当は何でもいいのでは?
という主旨の質問をいただきました。ルアーメーカーとしてはイタイところを突かれた質問かも(^^;)。でも、せっかくラボでお答えするからには、一釣り人として私の経験をお話します。
 複雑な話になりそうなので、結論からいうと、普通に塗られたルアーは本人がその気になって使う場合、ルアーの他の要素(動き、泳層等)に比べれば、その差は少ないということになります。
 私も昔、疑問に思って、徹底して検証したことがあります。魚類の目についての文献も漁りました。量産型ブルーオーシャンが完成し、全く同じ物が揃い、色だけを変える実験ができるまでは考えが整理できませんでした。何故なら、ハンドメイドや様々なタイプのルアーを使ったり、他人が関われば、本当に色だけの違いで変化したのか確信が持てなかったからです
それと、ローリングとウォブリングでは背腹の見え方が違いすぎる。
 そこで、トローリングで、別色、別ベースカラー、光り物、吸収するもの、釣れそうに無い石鯛配色など、考え得る限りのものを均等に引いてみたのです。(鰹、スズキ)
 違いはありました。その日その時だと、4つの位置換えをしても食い付きの良いカラーはあったのです。問題は、船がターンして太陽との位置関係が変わるだけで、リセットされてしまうことでした。また、海には千変万化の状況変化が付きものです。さらに魚の活性の違いもある。私は途方に暮れました。と同時に、ここにヒントがあることにも気付きました。
 確かに差は在り、魚はそれを感じている。漁師になって、毎日、同じ事を繰り返せば見えてくるかもしれない…。
 実験の二つ目、サビキ釣りで、サバ皮、フグ皮、ハギ皮、人工シートを一つの仕掛けに付けたもので試したところ、明らかに差がつきます。どれも海水に入れれば半透明で違いは微妙です。カラーどころではない。イワシやアジですら、その差が判っているということになる。(もしかしたら皮の硬軟で光り方が異なるのかもしれない)では、食い付きが良い皮を外していくと…やはり釣れるのでした。その場のベターはあるがベストはないということです。
 ここで、もうひとつの結論です。カラーの選択にあたって、その効果を実感するためには、両極を用意することです。反射ベースか吸収ベース。明色か暗色。環境に馴染むか、浮き上がるか。これらが優先されます。色相の影響度はその次だと思います。ちなみに、クリアーカラーはABS樹脂である限り、光の屈折率が大なので、ルアーの内部壁でアブクのように反射しています。いわば半メッキ状態で外界を写しているので両極には位置していません。必要なら、これを利用し、ルアーが大きくても空気室を魚型にして、小さなルアーに見せることも可能です。シラスの群れ風ルアーなんて、できそうですネ。
 どのカラーが良いのか事前に知ることが困難ならば、悩むより気分替えでベースカラーをチェンジしたほうが手っ取り早い。そのうち釣れてしまう(^o^)。自分で釣れたという実績カラーは、少々の違いを埋めるだけのパワーがあるものです。宣伝に踊らされることはないです。ご自分の好みと考えで選んでみてください。餌釣りにないルアーの楽しみのひとつなのですから。競争相手に負けることも一つの知識です。現在の私は、今日はこの色で釣ってやろう派、ですが、K2F142の開発にあたって、今後は昔のように機能カラーを模索しなおしてみようと考えています。

Posted by nino