M,Ninoカラー発送と御礼

 K2F142、MNカラー5色、ご購入ありがとうございました。
 
 初の試みとは言え、ご満足頂ける販売数であったのか心配は残ります。なにぶん、他ルアーを含めた年間製作本数には限りがあります。その間隙を縫って作るとなると、余裕のある本数には達しないのです。
 
 しかし、おかげさまで、今後の定番カラーについて参考になる結果が出ました。
 それと、買って頂いた、お名前の中にはK2Fモニターさんの名も多いことに驚かされました。あらためて応援ありがとうございます。
 また、新たにお付き合い頂く皆様、良い魚にめぐり逢いますよう願ってやみません。
 これから、実釣のほうでも何かしらのアドバイスが出来ると思いますので、何か迷ったときにでも遠慮なくメール下さい。
 ルアーの発送は、予定通り順番に20日頃からになります。師走の中、担当一人が個別に発送しなければなりません。できるだけ急ぎますので、ご理解お願いします。
 いつか再び、特別な仕様のものを提案する機会があれば、今回学んだことを生かして、さらにご満足いただけるものを作っていきたいと思います。
                     担当スタッフ一同、二宮。
 追記…余計かもしれませんが、発送の時に、私からのささやかなお礼として、主に磯スズキの「心得その一」、大袈裟に言えば奥義書を同梱しておきます。
 既に会得しているベテランには失礼にあたるかもしれません。その場合は破り捨てて下さい。(^^)一応、門外不出をお願いしておきます。
 では今年を締めくくれるような魚を期待して…。                                     

K2F、MNカラー販売について

 以前お約束した、K2F142のM,Ninoカラー5色を少数ながら作りました。
 ウェブ直販、数量限定になります。
 12月15日、月曜10時受付開始、12月20日頃から順次発送予定です。 販売内容等は、タックルハウストップページ更新欄から入ればご覧になれます。【完売しています。】
 
 レギュラーカラー初回生産分は、おかげさまで完売となっています。本当にありがとうございました。早く補充しなければならないのですが、順番として他のルアーの生産もあり、次回お店にお届けできるのは来年1月以降になります。
 
 今回リリースする5色には、新たな定番カラー候補も含まれています。そして、モニターさんからも提案があった、フック無しでの販売を、受け入れて頂けるか知りたいということがあります。
 また、少ないスタッフで個別に良い対応が出来るか、もう一度試してみたい気持ちもあります。
 
 次に各色について詳しくご説明します。
 
1、マリンブルー
 これはK-TENの初期から、定番であった期間が長いカラーなのです。ホログラム全盛の時代になって、いつのまにか定番落ちしてしまいました。
 他の型のルアーでも何度かMNカラーとして復活して、今度のモニターカラーでも入れてありました。
 地味ですが、魚種、状況を問わず万能なため、私は昔からテストでもよく使ってきました。モニター期間中に釣れた方や、緑系のお好きな方からリクエストが多く、採用しました。
 
2、サラシホワイト
 モニターカラーの中の一色です。その後の評判、実績とも高いので採用しました。レギュラーのパールレインボウと被る部分がありますが、あえてサラシに紛れるように特化してあります。
 以前、少し書いたことがありますが、見えにくいものが突然見えた時にこそ、躊躇いなく反射的に反応するという、生物全般の行動からイメージされました。
 サラシがきつくても、ポイントが判っている場合、強いです。
 リップ周辺の色付けは、余りに肉眼で見えづらかったのでウキのような配色にしました。もちろん暗いときでも視認性が良いので使いやすいです。
 
3、ミルキーウェイ、スクウィッド
 クリアー系です。ランダムに模様の入った透明ホロの上に、薄く茶系カラーを吹き、その上に極小ラメをちりばめてあります。
 スクウィッド、すなわちイカをイメージしたカラーです。コンセプト自体はK-TEN誕生の基本8色の中の一色ですから古いのです。
 元々は、漁師の要望で加えられたカラーでした。理由を聞くと、「こうゆうもんは見慣れたものを使うに限るんだ」の一言です。そこで同船して実地で試すと、イカなんか食ってるの?という魚まで良く釣れたので採用した経緯があります。 当時のアバウトな配色を見直し、より忠実に漁師の要望を実現しています。
 
4、ライムバック、オレンジベリー
 一見、レギュラーカラーに似ているカラーがありますが、それは不透明ベースです。これはクリアーベースになります。
 派手な割に、透明ボディ部分が水中でハーフミラーとなり、実際マズメ時に使うと、海面の光、夕焼け空、朝焼け空等、外界と馴染む不思議なカラーです。テスターのたっての希望で採用しました。
 またルアーマンにとっての視認性も、立派な武器ですから元々ファンの多いカラーでもあります。
 
5、マスク、ダークバイオレット
 一見、変。よく見ても変ですが、これのイメージは稚魚です。
 魚がごく小さいうちは内臓周りだけが目立ち、光が反射して、他の部位は半透明なことが多いです。つまり、弱いものの象徴としてのイメージです。
 でも14センチもある稚魚って?心配ご無用です。水の上ではシルバーマスクが極端な配置ですが、水中ではルアーボディの透明部分が屈折率の違いでハーフミラーとなり、それほど分離しては見えません。
 魚がこれを食おうとするとき、一瞬彼等の頭に?マークが浮かぶかもしれませんが、食い慣れたものの誘惑には逆らえないようです。その効果のほどは調査続行中です。
 
 以上です。ご興味ある方はぜひ試してみて下さい。それに今回の販売が滞りなく巧くゆけば、これから皆さんのご要望をダイレクトに生かせる機会が増えるということでもあるのです。スタッフ一同それを望んで張り切っています。
 よろしくお願いします。
 なお、推奨フック等については月曜日以降、ここに追加します。… 
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  ◇推奨フック及びリング
 K2F142の標準装着フックは、カルティバST-56、2番です。
 総合的に考えて選択しましたが、発売後はK-TENの血統らしく、ご自分の判断で付け換えている方も多いと聞いています。
 ご要望の中には、店頭販売するルアーは、この時代、簡易包装にしてバーブレス仕様、あるいはフック無しにしたほうが良いと、強い声もありました。しかし、より多数の意見と、フックの安定供給、流通の現状等からして、もう暫く現行の形をとらせて頂くことになりました。
 
 フック換装は、K2Fの場合、フック重量が標準とそう変わらなければ出来ます。例えば、56に比べて大柄細軸になるST46ー1番も使えますが、全体として重くなるので浮き姿勢は若干、尻下がりになります。
 この姿勢はドリフト系の釣り方には合っていると思います。
 ただし、フッキングには向上が見られるのですが、レスポンス、逆風下の飛距離が少し低下します。
 要は、極端に浮き姿勢、浮き具合が変わらなければ色々なフックが使えます。
 
 標準フックは、青物、ヒラスズキ等、ある程度強引なやり取りがあることを想定していますが、タックル全体がローパワーで、フックに力が掛からなければ、より細軸大柄が相応しいと思います。
 
 
 注意すべき点は、フックの取り付け方向です。
 写真のようにして下さい。空力、高速性能等これがベストです。それと出来ればアイに取り付けたとき、フックポイントの位置が左右対称になるフックを選んで下さい。以前は付けると片側2、もう片側が1になってしまうフックがほとんどでした。
 
 リングは良質の5番がお勧めです。
 設計上は6番まで入りますが、限度です。青物などで、アイに入るギリギリの大きさのリングを付けると、返って総合的な強度が落ちる場合があり、アクションも阻害されます。
 もしも、超大物仕様をお望みならば、前後でフックの大きさを変える必要があります。現行モデルにそういったフックを取り付ける方法を、提案できると思いますので、その場合はメールを下さい。
 

答えられない質問とネット情報

房総の磯では先週末の大荒れ前、いつもの場所で、そこかしこで調子よく釣れていました。それまで単発が多かっただけに、今年も期待できるという安心感に浸れました。
寒い地域と違って、有り難いことに房総は、この時期釣れれば、条件次第ですが一月いっぱいチャンスは継続します。だからこの時期外すと、数年に一度ある不調年をつい心配してしまうのです。
その後は毎年異なりますが、他の地域よりメリハリが無いのが房総の特徴といえます。
大きくは、本州の地勢、曲がり具合と、列島にとっては最後の黒潮接岸の影響下にあるからだと思います。

釣り仲間との交友や仕事柄、私は皆さんより今現在釣れている所の情報を知りやすい立場にあり、また遠征などでも案内してくれる地元の友人達がいるので、恵まれていると自覚しています。
しかし、それだけに詳しく情報を寄せてくれた人達に関わる御当地ポイント情報だけは、このブログには公表できないものなのです。
かつて、私も余りに情報不足と感じていた時代は、ある程度たくさん人が入れるところに限って、雑誌等にポイントを書いたことがありました。
このサーフなら二百人は出来るから大丈夫などと、二ヶ月ぐらいをタイドグラフ付きで、釣れた時間まで明示しました。 記事としては好評でしたが、地元組には迷惑を掛けてしまいました。まさかあんな影響があるとは思えなかったのですが、彼等が心配したとおり翌年同時期、二百人ではすまない人数にサーフが埋まってしまい、驚きました。

ヒラのほうでも、詳しく書き過ぎた時期があり、これは別の意味で人の楽しみを奪ってしまったと反省しました。こういう場合は此処、とやってしまい、もちろん釣れたのですが、どうもその後が釣果も熱意も続かない人を、何人か見てしまいました。
そうした幾つかの経験から、何処でも通用する全般的な話に留めるようになりました。あのサーフ周辺には、その後、有志を集って釣り人からのヒラメ放流活動として、一万三千匹の稚魚を放すことになったのも、少しばかり責任を感じていたからかもしれません。

というわけで、このブログには先々もポイント紹介はありません。お答えできる範囲があることをご理解下さい。
ただ、既に何十件とそうした質問にも答えてはいるのです。通い込んでいるけどヒラが何年も釣れない、とかそれなりの努力が垣間見られる場合、個人的に真剣にお答えしてきました。…
今は、釣り雑誌やネットなどで情報には事欠きませんが、双方足りない部分があります。
誌面では発行までにタイムラグがあるので、時、既に遅しとならないように予想になりがちだし、どうしても時流や購買層に合わせた記事になります。
一方ネットは、ここ数日の釣果というタイムリーな情報に溢れていますが、具体的なポイントまで公表しているのはほとんど船やお店等が絡んでいるところです。
ネット内の圧倒的な情報網でも欠けているところもまた多いものです。

だから房総で例えるならば、一番良いとき、良い場所は案外流出しないか、抑えた表現になっていたりします。
まるでかつての干潟のように釣れるほど情報の自主封鎖が起きたときのようです。閉鎖的というよりは、ゆっくり口伝えで拡がっていた状態でした。
干潟はその後見て判るとおり、幾分商売が絡んだせいか、一気に一般化しました。恩恵を受けた方も多いでしょうが、去っていった方もいます。丁度良い案配には出来ないものかと見ていましたが、人間イケイケの時は止まることが出来ません。天国だった其処は、たった数年で普通のポイントになってしまいました。
それらを見たのかどうかなのか、今年の海は熱いときでもネット内の房総は静かなものでした。
つまり相変わらず現場に居ないと判らないことが多いということなので、ネットで情報を探している人や、初心者には厳しい話なのかもしれません。
しかし、そういうものだと理解していれば良いのです。楽して掴める物は、それなりです。私も含めて始めは誰でも初心者でした。今、最も活躍している友人も、かつては何年も悪戦苦闘していたと聞いています。
それが、ある日ある時、僅かなキッカケでコンスタントに釣れるようになるのが、外洋の特に磯場というものです。
何故か?それは釣れなかった長い経験は、釣れる要因と表裏一体というか紙一重だからです。
単純に、こうしていたら釣れなかったということが身に染みているわけですから、別のことをすれば良いというだけのことです。失敗経験が多いほど、甘いピンスポット(ポイントに限らず)が残っているはずなので、いきなり別人のように釣れ出すことがあります。

それらはもちろん自分で気付くのが一番ですが、長すぎる時間が必要でしょう。やはり、何とかして経験者と同行をお勧めします。身近にいないのなら現地に赴き、釣り場とルアーマンを観察することです。これはと思うような人がいたら、礼儀を持って一声掛け、その場は邪魔しないよう少し離れて勉強のつもりで見せて貰うのです。
これから元々少ない磯場の好ポイントは渋滞が起きる可能性があります。トラブルを避けるために、お互い常識と挨拶は欠かせないものになるでしょう。

また、それすら苦手なシャイな人は自分でポイント探しをお勧めします。既にどんな場所も、今、人が居ないだけで全てトライ済みといった所がほとんどですが、無駄な行動ではありません。
私も最近は、混んだ所からちょっと離れた所でやってます。何とかなるものです。回り道かもしれませんが釣れると独特な喜びがあります。
いずれにせよ、海ではオオラカにやりたいものです。

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今回の写真はモニターの件でお世話になった、千葉のKさんからのものを数点使わせて頂きました。
モニタリング中は苦戦していたようですが、ここへ来て連発中。K2Fで大荒れの昼間釣れたという89センチ7、2キロのマルと、BKFでのそれは見事な体型です。
記念にあの時の貴重な一匹も。

ルアー形状の進化?

今回はルアーのハンドメイドを楽しむ方々にも参考になる話を。
普段、ルアー作りに関しての質問は、色塗りの方法とか構造のこと、アクションとかのことが多いのですが、企業ヒミツに触れない程度には答えてきました。 その中でもルアー形状に興味がある方は、飛行機などマニアックな知識を持って質問してこられるので、答えに窮したこともしばしばでした。 そこで私の設計したものだけですが、図示して説明してみます。
一般的なルアーの、特にミノーと言われる種の基本形状は網羅していますから、後は応用ということになります。
しかし概念では判っていても、図6番に至るまで数十年掛かったことになります。いわば私の歴史(大げさか)。後の方が進化したと言えるほど単純ではありませんが、少なくとも前段階が無ければ次が実現しなかったのは事実です。  

飛ぶルアーをハンドメイドするとしたら。
◇1…この形を採用すれば、飛ばす方向、すなわち尾が太く重いものが作りやすいので、重心移動システムが要らないぐらい飛びに限っては有利になります。重く作れば山ナリキャストでも飛びます。システムが無いときに私も良く作りました。
欠点は、やりすぎると魚形状から離れることと、アクションが限定されます。これはジグミノーでも同様です。

◇2…ウッドMKF時代、これは海ルアーを作る前に、トラウト用四種を作る必要があり、需要に沿うようにと社の方針で魚形を死守することになりました。 鉄球が尾部に移動するわけですから、元々尾が太くなりがちなのを、相当無理してギリギリ細くしてあります。重心移動システムの穴を開ける作業に慣れるまで、特に初期は不良廃棄率50パーセントなんて時がありました。
さらに飛ばすための、尾部を太くする提案は見送られました。

◇3…ABS製BKFになると、ウッド時代に散々悩んだので、魚形を維持した上で尾を太くする方法を採用しました。 横から見れば明確な魚形、でも上からよく見ると頭と尾をほぼ同等幅としました。例外として125サイズだけMKFのように、どこから見ても魚形としました。細身で抵抗が無いので、そこまでする必要が無いだろうという判断でした。

◇4…Mシリーズになると、別の目的があったので(Mの欄に詳細)、中途半端なことをしていては軽いルアーを飛ばすことは到底できないと考えました。 それまで抑え気味だった方法論を解放して、なおかつそれが機能的な美しさと感じられるように配慮したものです。上から見ると、尾のほうが歴然として太く、頭部はナイフと言っていいほど薄く鋭いのですが、全体を見れば魚形を保つことに成功しています。
貫通ワイヤーを採用していないので、構造的にも制約がないことも幸いして、今見ても完成度の高いデザインだと思っています。

◇5…チューンドシリーズは内容、形状、コンセプト共、その名の通り様々です。統一した形を採用していません。

◇6…最新K2Fになると、飛ばす概念的なことはMで完成していたので、これをヘビー化すれば設計は簡単でした。しかし、せっかく二十年ぶりのBKFの後継として作るものとして、そうした安易さが自分で許せませんでした。何をもって今まで知識を溜め込んできたのだ、と。…
そこで再び、横から見ても、上から見ても魚形を維持することに拘ってみたのです。以前は仕方なく。今度は積極的にそれを求めました。
昔のプロペラ機ならともかく、現在の最新鋭ジェット戦闘機は、先が細くても空力が完璧なら安定して飛んでいます。 実を言うと、空力を追い求めていった結果の形の中に、当初美しさに欠ける部分が目に付き、困りました。それが、実験を重ね、これ以外の形には成り得ないと確信出来るようになると、やがて欠点が美しく見えて来るのが不思議でした。

こうして1~6まで見ると、結局、1を採用しなくても能力的には空力と内部構造バランスで同等となり、形状的には2のウッド時代に戻っています。(K2Fの曲面構成は遙かに厳密で複雑ですが)だから、見た目の形状には進化という物差しだけでは計れないところがあるのです。ハンドメイドでミノーを作るとき、こうしたごく基本的なことを知っていると自分の願うコンセプトに、より近づけるのではないでしょうか。

比喩として飛行機、プロペラ機、ジェット機とか使っていますが、例え話だけでなく、実際に形状概念がプロペラ機風なら、逆風は別としても単純に重い(この場合推進力)ほうが飛ぶのです。
今度のK2Fの多数のモニターさんのおかげで判りましたが、少数ですがK2Fより◇◇のほうが飛ぶと言うとき、ほぼ共通した原因があるのでした。(前記事参照、K2F‐Fテスト等内、「アンケートより…飛びを中心に」)
要は初速が与えられていないのです。初速そのものは原理的に引き抵抗が少ないルアーのほうが空気中でもより早く振る事が出来るので、有利になります。(フルスイングできれば)
ジェット機として設計したK2Fは、山ナリキャストでは順風でもない限り、本来の能力を発揮出来ません。直線的な軌道が鉄則です。それでこそ逆風、つまりその分、普通より空気抵抗の高い状態の中を突進することが出来るのです。
ベンチマークとして比較した飛ぶという評判のルアーに、逆風を含めた客観的なデータで越えたので発表したわけですが、越えすぎた分、デ・チューンして軽くしたぐらいなのです。

それは、飛びだけの不毛な、危険さえある競争をしないためです。
ジェット機に勝つには簡単です。ロケット、つまりルアーにとって推進力である重さを上げれば良いだけになるからです。(それでも水に浮くという制約内では困難ですが)。
かつて注意を促したことがあるように、重心移動システムで、考え無しにこれをやると故障が多発します。
ロケット、ミサイルは帰って来る必要がない点も似ています。ルアーは帰ってくること、それも帰り方が大切なものです。

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各地からK2Fでの釣果報告が届いています。
今回は以前テストでお世話になった、五島のシケマンさん(写真中)、クウルさん(写真上)から。 かの島とはいえ、条件的に厳しい中の珠玉の一尾と、祝いを共にした数匹。一言では言えないドラマ有り。

募集…あなたの思い出の一匹…11

 徳島のボルトさんから、思い出の一匹。
 写真と、コメント頂きました。
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 今年の9月14日、念願のアカメを釣ることが出来ました。
 アカメの国のホームページを観てアカメに魅せられたのが4年前、それから毎年、高知に通いましたが全く釣れず。
 しかし、今年ようやく釣る事ができました。サイズは71センチ、6.5キロ、アカメとしては大きなサイズではありませんが、僕にとっては思い出の一匹となりました。
 ヒットルアーはTKF-130です。このルアーもまた大切な思い出のルアーとなりました。 ボルト。
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 県を跨いで通い、四年目で得た貴重な一匹。
 オリンピック開催と同じ年月、しかも当人の体験ですから、感激したのもよ~くわかります。
 TKFがそこに参加できたこと、光栄に思います。 二宮。

シングルフックの作り方

千葉のMさんからの質問です。
…略…
◇はウエーディングをする中で、手返しの良さとシーバスのダメージを考えて、シングルフックを使うことが増えてきました。しかしながらトレブルフック前提のルアーにシングルフックを乗せたとき、なるべく重量を近づけても今ひとつ動きが異なるような気がします。
またそもそも市販のシングルフックが軽すぎるため餌釣りの太軸のフックに換えたりスプリットリングを足したりしていますが、しっくりきません。
…略…
特にTKLMとM128は本当に良い泳ぎなので、できれば製作者の意図に合わせた泳ぎで使いたいと考えています。  
お答えいただけないでしょうか?
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

お待たせしました。お答えします。

市場にシングルフックのバリエーションは少ないですね。トレブルフックぐらいの需要があれば、何番とか指定できるのですが、まだ其処までいっていないようです。
そこで、Mさんは手作りを厭わないということなので、餌釣り用のフックを利用した方法を書いてみます。

ある程度の材料と道具を必要としますが、それぞれに何故なのか付記しながら進むことにします。
会社ではフック等の重量を計るときに正確な電子ハカリを用いますが、無い場合は簡単に板で天秤を作っても計れます。
要は外したトレブルフック(リング込み)と、シングルフック全材料込み、と比較できれば良いのです。

単純に重量合わせすると、シングルは当然太くなってしまいます。これだと針掛かりが悪く、またカッコ悪いですね。 フック自体は、市販の環付きルアー用より、餌釣り用のヒラマサ、鯛、ソイ等の普通のチモトのあるもののほうが、圧倒的に選択幅が広く、かつ実用的です。  

それらのフックの中からお好きなものを選んで下さい。交換するトレブルフックより極端に軽いと困りますが、後で細工するので、少々の誤差は大丈夫です。
例として今回は少し軽めのソイ針16号を使って実際作ってみます。これを選んだ理由は形を見て気に入ったからですが、ウッカリしたことにヒネリ有りでした。吟味すればもっと良い針があるはずです。…
ルアーアイとの接続は、ワイロンという黒い石鯛用ハリス等に用いられるものを使います。ここでケブラー線やPEを使う方もいますが、お勧めできません。 理由は使用時間による劣化が激しいことと、メンテナンスの問題、それとリングと違い、まとわり付き、変な抵抗があるのでルアー自体の動きを損ねます。またいつ切れるのか判りません。
ワイロンは曲がりやすい金属線なので、リング状の形状を保ちやすく、フックをフリーの状態にできます。また、一定レベルの強度を保ち続け、目視で劣化も判ります。メンテナンスも楽です。そして、大きめのフックを付けたときに悩ませられるルアーの背に針先が掛かってしまうことも防げます。

細かい注意点として、このワイロンを、餌釣り用のハリスを付けるときの基本通り、針のフトコロ側に付けなければなりません。
これをまず、ケブラーセキ糸で、フックに巻き付けますが。ルアーに対して針先が傾いて固定されないようにします。これから先は、頻繁に少量ずつ瞬間接着剤を付けながら作業します。

大事なことは、ある程度巻いたら、ワイロンを写真のように折り返すことです。3ミリも返してあれば充分です。そこを強めに巻き押さえてから余分をニッパーでカットします。
重量合わせはここからです。餌釣り用に、糸オモリというのがありますから、それを必要分、形を整えるつもりで巻き付けます。
後はセキ糸で、オモリ部分を含めて仕上げ巻きします。瞬間接着剤を付けて巻くと簡単です。
最後に乾いてから、私の場合、油性マーカーを塗っています。以上です。
慣れれば一本5分と掛からないでしょう。

Mさん、私がシングルフックを作る場合を書きました。参考にしてみて下さい。
厳密にいうと、ルアーの動きに変化があるのは仕方のないところですが、この方法は微調整が効くので発展性があります。(その気になれば地獄針も作れるので自制心が必要。)
フックユニット重量の目安ですが、TKLM、M128ならば、純海水使用では、幾分重めに。汽水域ではそのままで良いと思います。(これをやると、TKLMはますます丸飲みされやすくなりますが)
いずれフックメーカーさんに奮起してもらって、大きさ、重量を合わせた、トレブル何番相当のシングル何番とかができるといいですね。

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なお、一般的な話として、ルアーの標準仕様トレブルフックでは、細すぎて保たないと思われる魚を狙う場合(マグロ、アカメ等も)にもこの方法はお勧めできます。
フッキングが悪いというイメージさえ払拭できれば、掛けた後、ルアーやフックに余計な負担が掛からないために強度的に安心です。 

主にラインアイについて

K2F142の発売から、暫くたってみると、あらためて思うことがあります。 ルアー製作者にとって何より嬉しいのが、各地のユーザーさんからの釣れたというホットな知らせです。ずっと以前は、たまに封筒に写真入りで頂いていたものですが、年々メールと添付写真が増えて、今年になってほとんど全てとなりました。
もちろん全部が耳障りの良い内容ではありません。中には厳しい指摘や要望など、考えさせられることもあります。

今回は、ラインアイが小さ過ぎて、ルアー交換に手間取るというご指摘について、お話しします。
私もスナップによっては付けづらいと感じています。でも、わざわざピンホールラインアイと銘打っているからには理由があります。
レーザーカットワイヤーを採用してから、K-TEN系は皆ラインアイは小さめです。まず私は凝り性なので、ルアーのアクションや性質を想定通りにするために、入力位置を特定したかったことがあります。
アイを大きくすれば予想外のヒラウチ等の動きが出て面白いのかもしれません。しかし、それが目的ならばTKLMのように始めからそう設計します。
K2F142は、とくにヒラウチはしませんが、ローテンション故、海水と共に漂うことができ、スライド等とも別の動きをさせました。青物対策のためリールの最高巻き速度でヒラウチするぐらいです。
ただの乱れたアクションをさせたいのなら、ルアー作りの初心者が作るミノーはほぼ百パーセント、ヒラウチします。 市販のものでも、たまたまそうなってしまったアクションに、後から強引に能書きを付けたルアーを見かけます。
それでも使い手が良ければ釣れますが、私は想定通りのアクションを追求しています。

それと、もうひとつの理由は、アイが大きく飛び出していると大物を釣り上げたりした後に、変形する場合があります。気付けばペンチで戻すでしょうが、金属はこういった曲げ直しで急激に強度が落ちます。だから対大型用ルアーとして、曲がらないようにギリギリのところまで引っ込めました。

なお、142のアイにスプリットリングを付けたいという場合、強化タイプの4番が適当です。後部アイは5番ですが、ラインアイ部分には捻り入力が少ないのでこれでいけます。
また、マグロ、アカメ等に、もっとフックアイを広げてという声もあるのですが、これは以前、実際広げたものを用意したところ、穴に入る限度のリングを付けられてしまい、ワイヤーのほうがネジ切られてしまいました。それもノーマルでも保つことのできた小さい魚にです。
要はルアーの絶対強度とのバランスなのです。今のアイの大きさは、実地テストを経て0,1ミリ単位でサイズを割り出したものです。たかだか1オンスに満たない重心移動システム入りのフローティングルアーとしては、総合的な強度は群を抜いているはずです。
注意として、142の腹のトライアングルアイが大きいからといって、大きなリングを入れると返って弱くなる場合があります。(K2Fより強度的に強いルアーはタックルハウスではシブキ、フリッツ等、大型青物用ルアーになります。)

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ここで参考として、142のラインアイにリーダーを接続するときの具体例を挙げておきます。
私も普段はスナップなのですが、理想はループノットです。ただし、注意としてレーザーカットワイヤーは磨いてあるといっても若干エッジがあります。
だから細いリーダー(25P以下)そのままだと切れることがあります。ライン径に見合ったビニールパイプを使えば大丈夫です。
ナイロン30P以上では、スズキ程度なら耐えますが、時々チェックが必要です。それより太いリーダーを使うとき(モニターさんで100P使用例があった)は、結びでのループノットは、ライン自体がカールしているためルアーセンターに入力出来なくなりアクションを損ねます。大き過ぎるスナップでも抵抗大となり同様のことが起きます。
その場合、専用ペンチが必要になりますが、スリーブを使うことをお勧めします。小さくまとまるためルアーの動きを害しません。

また、古くからフックアイにリングの代わりにケブラー線などを使う方法がありますが、釣行ごとに換えるか、まめにチェックしないと、あっさり切断することがあります。(フックアップ出来ればバレ難いのですが。)

最後に、ノーマル仕様のST56ー2番フックだと、重みのないフッコクラスはバラシが多くなるかもしれません。フッキングパワーの劣るナイロンラインだとその傾向が見られます。その場合、細身で大きいSTー46一番に換えるのも手です。

いずれにせよ、142はフック重量の僅かな違いで、浮き姿勢、浮力を調整できます。皆さんのフィールドと釣り方にベストマッチさせることができるルアーです。

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この連休中は海況悪く、我が房総外洋組はほぼ玉砕しました。しかし、各地からの知らせはなかなかのものでした。
その中から、東京の磯野ヒラ夫さんからの報告を記念に。以下ヒラ夫さんのコメントと写真です。お見事。

…略…K2Fは相変わらず気持ち良く飛んでいきます。
独特のローテンションアクションのコントロールにもだいぶ慣れました。
このプラグの引き心地には、「外洋の釣りで自然の条件に身を任せる満足感」に通ずるような感覚がありますね。漂流感、とでも言えばよいでしょうか。そういう意味で、これはヒラ用のプラグだな~と実感します。
リトリーブ越しに、太平洋のサラシが見えるような気がします。…略…原文そのまま。

ありがとうございました。

質問…ファースト

 前回記事のコメントで、いうたったさんから質問がありました。
 質問内容は、略…マリアの「ファースト」とBKF115の事です。釣友に並べてみせ、「似過ぎやない?」と聞いたら、カラーが違うだけで同じモノという返事でビックリした記憶があります。でも、何か違う所があるのではとずーっと気になってました。
 差し支えなければ、そうなった経緯などから聞かせてもらえないでしょうか?長年の疑問をスッキリさせて下さい。…略。
 
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 お答えします。
 今までにもたまに聞かれたので、良い機会なので書かせて頂きます。
 まず、おことわりしなければならないことがあります。他社のことを一方的に勝手に語るわけにはいかないので、お互いのルアー開発に関わることに限らせて頂きます。
 
 皆さんが疑問に思われた、BKF140、115と、マリアさんのファースト140、115の外観が似ているのは当然で、基本型は同じ物を使っています。ウエイトなど中身の構成と色塗り等は異なります。
 
 その経緯となると、当時の日本の海ルアー事情を抜きには語れません。
 ウッドK-TENで、ある程度の手応えを得た頃、既に大手メーカーからはプラスチック製の海ルアーが数種、販売されていました。
 ただ、その頃のルアーを分解してみると解りますが、根本的に変えないと、構想していた重心移動システムを組み込むには精度的に無理がありました。
 それを解決するためには、途方もない費用が掛かりそうだったのです。
 また、生粋のハンドメイドメーカーだったタックルハウスからすると、いや大手にとってもまだ市場規模の小さい海ルアーに、それだけの費用を掛けるのは冒険だったのです。
 
 そんな時、元々両社長や関係者同士、信頼関係にあったマリアさんの母体の会社と話が進んだのです。K-TENのプラ化を図りたいタックルハウスと、漁具では既に二大メーカーであり、次に来るムーブメントを見据えていたマリアさんと、双方の強い部分で協力することになりました。
 いち設計者の私にしてもやっとプラ化できると燃え、そして歴史ある漁具メーカーのノウハウを勉強させて貰えるのも魅力でした。
 ただ、やはりコスト面での制約は厳しく、最初はリップは後付、ワイヤーは8環、サイズは小さめという案に押されました。数が見込める内湾用市場を無視は出来ないのは判ります。しかし、これには私はゴネたものです。今までの和製ルアーがいまひとつだった原因だし、例のルアーを真似たルアーの失敗を見ていたからです。それにウッド135で全国に漠然とですが多くの仲間がいることを感じていました。
 そうして最終的には我社の社長と、当時のマリアさんの開発責任者のO氏が、私の思う通りにやって良いと言ってくれたのです。そのことは今でも感謝しています。… 
 で、出来たのは大きくて貫通ワイヤーで、かつて無い型代を注ぎ込んだ、今もある140と115です。後のことは皆さんも知るとおり、ルアーの顔つきや細いか太いか、錘を重くするかが変わるだけで基本構造は今もそのままです。
 両ルアーは予想を上回る大ヒットとなり、以後、自然に両会社とも90ミリサイズからそれぞれ別の道を歩むことになりました。
 
 せっかくだから、裏話も少々。
 当初、マリアさんはシンキングのみ、タックルハウスはフローティングのみとする話もありました。それが、精度の高い型がいざ出来てみると、球でなくとも錘が戻ることが実際に判り、両方やりたいと申し出があったのです。
 元々、契約書も見たことがないし、男同士の口約束です。かえって、なまじビジネスライクな付き合いよりもトラブルがありませんでした。ただし、同じ方向を見られる同志に限りますが。
 完成するまでにはマリアさんのスタッフと会うことが多く、彼等の人柄と海に向ける気持ちを信ずるようになっていました。それと、今となっては御愛敬ですが、ひとつだけ私も気になることがあります。K-TENより1グラム錘を重くしたのは誰?(^^)
 
 たまに当時の仲間に会うと、皆さんお元気そうで何よりです。マリアさんは初期から海ルアーの講習会などを頻繁に開催して、黎明期の海ルアーにはたした役割は大きいと思います。
 これからもお互い、良いルアーを作っていきたいですね。
 
 というわけで説明は終わりにします。もしも関係各所から異議があるようなところがあればご指摘よろしくお願いします。
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下写真は当時の房総某所。観光地化して埋め立てられました。 

質問…適温?へ

 神奈川のSKさんからの質問です。
 要約すると…夏の高水温が続いて、やっと適温になったので磯場に通っています。条件的に良いと思われるときでも、魚っ気が無いことがあります。磯場の釣りとはそうゆうものなのですか?
 
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 お答えします。
 外洋の磯場は、少なくとも居るのに釣れないという感じが持てる内湾や川のような、半分閉鎖された海域ではありません。居ないときは全く居ない、あるいはルアーの射程範囲内には来ない、といったことが当然のごとくあります。
 前方に広すぎる外洋は、そんなものと考えた方が気楽になれます。
 
 魚の寄る条件については以前書いたことがありますが、厳しいので狙ってその日に釣行できるのは、限られた生活環境にある方になります。
 釣りの内容からすれば、良いシーズンでもチャンスは平均的に月に十日、あるか無いかでしょう。あとは自然が与えてくれた禁漁期間と割り切ることです。
 
 もしも皆さんのホームポイントが、それを上回る確率で釣れるのなら、そこは恵まれているほうだと思います。少なくとも私のホームは三十年を平均すると、そんなものです。
 たまに遠征したりして、一度もアブレたことのない土地もありますが、地元の方に聞けば必ず、釣れないことも結構あると答えるはずです。
 
 そして今回は、水温に関わる質問なので、秋から冬への水温低下時によくある勘違いにについても少々。
 下のグラフは最近の株価ではありません。水温低下中のイメージです。
 ネット時代になり、海水温データが入手しやすくなりました。しかし、大まかなので、県を跨いで移動するぐらいの行動力がないと、情報に振り回されることになります。
 私も、船釣りではそれらを目安にしますが、こと磯場になると、海水温は数十分で乱上下することがあり、今はほとんど無視しています。…
 この辺はサーフィン経験者なら体で感じているはずです。
 磯のルアーマンは、行動が朝夕マズメに偏って短時間なことと、(記録狙いの夜派はともかく)注意が波高と潮位に向いているので、主に潮流と風による水温の時間変化には疎いようです。
 内湾で長時間ウエーディングしていても厚い素材を透して感じられることですが、気を付けないと人間が感じるほどの水温の変化は、魚にとっては甚大な影響があります。
 特に、海の魚、外洋系の魚ほど、見掛けと違って繊細です。
 
 SKさんが言うように、適温に近づいている…といっても、急激に下がっている間は活性は低いものです。
 そのまま暫く安定するか、出来れば幾分上がるときのほうが、全般的に調子が良いです。
 前月より今月、下がっている最中だとしても、昨日より今日、一時間前より今、どうゆう状態なのか知ることです。
 
 ずっと以前、公表した冬の南風逆風理論(主に太平洋側)は、吹き始めにそのサラシ内だけが暖かいことをスズキも小魚も知っているからこそ効力がありました。ただし、長く吹き続ける南風は、地域によっては対流現象で広域の水温を下げます。
 付け加えると、荒れるということは、大局的には水温や海の諸々を安定させることになり、事は複雑なのです。
 
 これ以上話を続けると、かえって解りづらくなりそうです。だから一言で表わすことにします。タイミング…これに尽きます。(外洋でも河口が絡めば雨の影響も外せません。)
 タイミングが判らないときは、突き放した言い方になりますが簡単です。判るまでそこに居れば良いのです。(私はそうした)
 
 水温グラフイメージを株価に例えたのは正解でした。大きく下がる間にも、上がる一瞬を捕らえて掴むことが出来れば、どちらにもより多くの恵みがあるということです。
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 追記…こうした自然の流れを身体で感じ、味わうことで満たされる何かが在るのが外洋での釣りだと思います。
 株との違いも書いておかないといけませんね。
 今週は三回ほど実験釣行したものの、勝浦以北の磯は荒れ濁りが強く、場所選びに苦労しました。フッコの顔を見ただけですが、初めて投げた場所なので満足です。

質問…2フックについて

徳島のKさんとモニターさんから、次のようなご質問がありました。
『…略…それとひとつ質問があります!
最近の12cm以上のルアーでは当たり前のようになっている3フックですが、K2Fには3フックの予定はなかったのですか?
ターゲットをヒラスズキとして使用する僕には2フックで太く大きなフックを乗せられるので好きですが・・・。
なんでかな??と思ったので…』  

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お答えします。
話がややこしくならないように、まず、K2Fに2フックを採用した理由を書きます。
◇BKFシリーズの後継であること、かつそれを補うものとして、主な対象が大型魚であること。
◇青物の引きに対抗できること。
◇荒天や、ままならぬ足場等、より過酷な条件の中で、ときに魚と引っ張り合いが想定されること。フックが伸びそうと躊躇うと危険。
◇潔く、単純で美しいから。
と、いったところです。

ここからはもう少し詳しい話になります。
昨今、Kさんが言われるように12センチ以上のルアーは、3フック装着のものが多くなりました。
異論反論はあるでしょうが、フックが多いほど、それも細軸のものほど(伸びなければ)魚をカラメ捕る確率は上がると思います。特にルアーマンの立ち位置が、無理なくランディングに持ち込めるような場所では、その優位性を否定できません。

そのため、BKFシリーズの中に一つだけ125細身タイプに3フックを採用しました。また、Mシリーズでも148、168に、チューンドでTKFにも採用しました。

細身というのはこの場合のポイントになり、スリムタイプのものはほとんど必然的に3フックになりやすいです。
ボディに対してフック間隔が空けば、掛かりが悪いんじゃないかと、人情として寂しく感じるものです。
しかし、欠点としては大きめの3フックを付けると、フックが暴れたときに、ルアーの背に針先が掛かったり、互いのフックに絡むことが多発します。バスプラグの一部にあるように、フックの可動範囲を制限することもできますが、強い力が働いたときに破損してしまいます。
それに、フローティングタイプとして使うには、背負えるフック重量に限度があるので3フックは小さめになります。
K2Fの基本形はフローティングにありますから、これも2フック選択の理由です。

あとは好みとか、センスの問題になります。…
フックに纏わるエピソードとして、極端な二例を上げておきます。…
以前ニュージーランドのトラガベイという所から、ヒラマサ(キングフィッシュ)をプラグで狙う機会がありました。
前日の船長との打ち合わせで、私のプラグを見せたら、船長曰く、君は他でもさんざん釣ってきたプロと聞いている。ここのフィールドを守りたいので、できればワンフックでやってくれ、と言われました。
それも、シングル2つではなく、あくまでワンフック、カエシ無し、フックポイント数を六分の一にしてくれと言うのです。
そこで、前夜何時間も掛けて用意してきたジグ用のシングルフックを、プラグ用に重量合わせして取り付けました。

朝、それを見た船長は、とっておきのポイントに案内してくれたようです。
十二キロぐらいまでのヒラマサが、ほぼ入れ食いでした。途中からスピニングとミノータックルだと釣れ過ぎるので、ベイト、トップウォータータックルに切り替えたぐらいでした。
そして、船長は極めてスムースに魚を海に帰してゆきます。たぶん、あのヒラマサ、釣られたことでさえ一瞬のことで、何があったのか解らないでしょう。トレブルフックではこうはいきません。
また、私が少しでもフック交換を拒む素振りをしていたら、あの天国には連れて行ってくれなかったでしょう。

確かに、トレブルフックそのままだったら、掛けた魚はさらに多くなったはずです。フックアップ出来なかったことも結構ありました。
でも、今も鮮やかに思い出せるのは、一本フックのリップルポッパーで釣ったヒラマサのことです。

そして、もうひとつ、対照的にフックポイント数が12!ある仕掛けを見せられた某国のエピソードも思い出します。鯉の吸い込み針のようなアイデアでした。
魚を獲るという執念には感服したものの、どうみても美的とは言えず、やはり禁じ手だと思いました。

私は、トラガベイの船長ほど魚に優しくはなく、某国のアングラーほどの執念もないので、好みは平均的なものになります。愛用していたロングAやレッドフィンが3フックだったこともあります。
ただ、バランス感覚から言えば、世の中に3フック仕様が溢れれば、次に作るK2Fは当然2フック仕様とします。

小型魚はバレやすくなることも承知していますが、巧く作れば狙うサイズの魚に対しては不足を感じたことはありません。むしろ、一生に一度の魚(サイズだけではなく、後々の想いまで含めた)に対しては、此方にチャンスがあるとすら思っています。