TKLM140G 潜行深度について

TKLM140Gは基本的にはシャローミノーに分類されます。0~80(100)cm。ノーマルリトリーブで30~50㎝というところだと思います。

ただこれだと普通のミノーの表示なので、ここから一歩踏み込んだ事を書いておきます。ハンドメイドをしている方にも有用な知識なので役立ててください。

シャローミノー専用として、もしもTKLMタイプの水受け面の上部に上方向の水流を抑える角度の受け面を設ければ、もっとイージーに浅場を引けるようになりますが、そうすると潜りたいときに潜れず、浮かせとかの任意の誘いがやりにくくなります。また泳ぎの柔らかさを追求しているので流れが衝突するデザインは避けてきました、

頭部を斜めにカットしたような水受け面を持つ純粋なリップレスミノーは、リップ付きのミノーと比べて頭部周辺のデザインによる水流の乱れに影響を受けずに直接一面で水を受けることになります。(他形式のリップレスであるTKRは上下2面で受けています。最近はこのタイプも増えてきました)

 

この一面で受けることの単純さで理論的な設定がやりやすいわけです。潜行深度でいえば、浮力と頭部カット面角度の他に、ローリング要素の往復運動幅あるいは角度、時間内の振幅回数等で調節できます。

TKLM140Gは速く引いたとき、ほぼ160度(図参考)のローリングの振り幅、角度があり、遅くなるほど角度は狭くなります。ここがポイントで潜ろうとする力が働くのは主に中心線からの振り幅が左右40度ぐらいの間が最大になるので、それを超えて回り、残り60度ぐらいの間はあまり潜る力は無くなります。

 

つまりTKLM140Gの挙動で言えば、引くスピードを上げてローリングの振幅角度が広くなっている(派手に泳いでいる)場合は、潜る力のある40度間を高速で通過してしまうので、左右に向かう力のほうが勝るようになり、潜らなくなります。

反対にいくぶんゆっくり引くと、潜る力のあるローリング角度40度内に長く留まるので深く潜ろうとします。

このルアーはフローティングであり、デッドスローにも対応するため超スローでは水面近くを維持できますが、そこから先のスピードでは大半のルアーとは逆になります。

 

しかし、ちょっと考えてみれば、この性質はシンキングミノーに似てくるので理解してしまえば非常に使いやすい。振り幅を抑えるぐらいの中速で任意に潜らせ、デッドスローで浮上、速く引けばそれ以上は潜りません。(タイムラグがあるはずなので10㎝程度の誤差はあるかもしれません)

ポイントを丁寧に攻めるとき、根掛かりの回避、寄せ波での泳層キープと調節、ドリフトでの自由なレンジの演出、ナブラ打ちでの落ち着いた攻め(鳥を数メートル避けてもアッピール力でカバー)、サラシの厚さ対策、といった局面それぞれで新鮮なアプローチができるでしょう。

このように多方面且つ総合的にコンセプトである着水後の可能性に詰め寄ったルアーです。今日から出荷が始まりました。クセはありますが、調教すれば素直な奴です。よろしく育ててやって下さい。

 

追記 (他のTKLM3機種もこのような性質がありますが、オニギリ状断面にして頭上部の水受け面積を狭めてあるのでわずかに潜ろうとするぐらいです。それぞれに望む動きを出すために動きの中で水受け面からの水流の方向を調節しているのがTKLM系ということになります。)

 

追記----------------------------------

発売後、早速嬉しいご報告をいただきました。中に本記事の内容に関連した釣り場や環境下での釣果があったので掲載させていただきます。

↑ 四国のお店からお客様が購入された当夜に型の良いアカメが釣れたと聞きました。私もトライしたことのあるサーフからなので情景が想像できました。シャローミノーとしては波を追い越さずに位置キープできる性質がお役に立てたのかも?と思いました。おめでとうございます。

 

↑ 谷澤様、プロトタイプファイルに投稿ありがとうございます。順番があるので先にこちらで紹介させていただきます。詳しいご報告内容は後日あちらに掲載させてください。拝見した内容によるともうこのルアーの性質を熟知されているような使い方です。まさに川から引き出したという感じです。記事がでればきっと皆さんの参考になるはずです。おめでとうございます。

 

↑ 加地さん、いつもありがとうございます。

潮流の速いゴロタ場での釣果を聞き安心しました。こちらではなかなかあのような場所や状況が無いので未だ試せずにいた場所柄です。

これからもよろしくお願いします。

 

↑ 坂本さんからデッカイヒラスズキが釣れたと歓びのメールが届きました。南房を周り某磯で4つ出した中の最大サイズ。

昼間に140Gの挙動を確認して、狙い通りに釣れたとのことです。新調のロッドにも活が入りましたね。おめでとうございます。

 

坂本さんは後日、同場所近くの小浜で良型ヒラメも釣れたとのこと。ん?これ140Gの大きさとパースペクティブからすると、けっこうなサイズです。このルアーでは初のヒラメ報告になります。ありがとうございました。

 

 

以後、ご報告いただいた釣果はプロトタイプファイルに掲載しています。釣り方等参考になることが多いです。ありがとうございます。

 

「TKLM140G 潜行深度について」への4件のフィードバック

  1. 磯でのヒラスズキに使いたいと考えています。ホームが伊豆のため高い足場の磯が多いのですが、足元まで引けますか?それとも水面に浮いてしまうでしょうか?
    引き始めの立ち上がりの良さが強いサポートになると期待しております。

    • ozoneさん、お答えします。TKLM系を足元まで引くにはロッド先端が海面まで2mぐらいまで届いたほうが使いやすいです。さらに高い足場からは沖根周りとか、横方向の遠いポイント専用になると思います。だから足元までキッチリ引けるルアーとの併用がお勧めです。
      また、140Gを高い足場から投げれば途中から浮き上がることもあるでしょうが、その周辺の挙動をポイントに合わせて利用する手もあります。たまにトップ系ルアーが異様に効くことがあって、その見極めにもなります。

  2. クリア系のカラーが入手できなかったので、普通のカラーを買ってクリアにして中を見たいと思ってます。
    サンドペーパー等で削りたくは無いので、ルアー本体に傷を付けずにカラーを除去する方法を教えて頂きたいです。
    せっかく手間暇かけて綺麗に塗装してあるのにすみません。除光液とかでいいのでしょうか?

    • 熊本のi さん、いつも弊社ルアーのご愛用ありがとうございます。
      中を見たい方にクリア系が行き渡らなかったこと、残念です。次回出荷は12月に入ってしまうので急遽プロに尋ね、ネットでも調べたのですが、弊社で使うABS樹脂(3種+αの重合合成樹脂)では薬品による安全な剥離方法は無いとのことでした。

      ネットではアルコール類による漬け込み、ラップ法とかありましたが、劣化は避けられないようです。ABS樹脂はアルコール類、鉱物油、強酸、強アルカリの付着で劣化、白濁、ケミカルクラックの原因になるということです。有機溶剤もその名の通り溶かすので拭うぐらいしかできません。

      製作後、中を確かめる必要のある時は製作技術者もペーパー掛け、コンパウンドで仕上げているそうです。水漏れ確認とか急ぐときはカッターでずり落としています。それが以後も強度を落とさない安全な方法になります。(幸い140Gは肉厚なので、他の物よりは強度落ちが少ないと思います)
      お気持ちはわかるので、kten@green.ocn.ne.jp 宛にメールいただければ私の電話番号を書きますのでより突っ込んだご相談ができると思います。よろしくお願いします。

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