高知、ハヤシさんにて

 13日に高知のフィッシングハヤシさんに行ってきました。以前、カーター大統領がお忍びで寄ったというお店です。 私にとっては久しぶりの講演で、しかもほとんど間を開けずに二回というのは初めてのことでした。声が嗄れました。
 顔ぶれを見ると、ベテランの方が多いので余計な事は言えません。(^_^;)失礼のないよう、予定していた内容を少し変えることにしました。
 
 一時間以上、私の話を飽きずに耳を傾けてくれたこと、本当に感謝です。お役に立てた話があったかどうかは判りませんが、私は皆さんに会えたこと、嬉しかったです。
 それに、一方的な講演より、一対一で話したいほうなので、合間の立ち話も貴重でした。… 
 高知では、K-TENを道具としてチューン(改造)を楽しんでいる方も多く、実績も多大なので、いつも驚かされます。 また、イベントとして新作発表とアウトレット(塗装ミス品)の販売があったのですが、いくら安いといってもBKF175から売り切れるのは、ここが初めてでした。
 
 店内パネルには、ズラッと真新しいアカメの写真があるのも圧倒されます。
 アカメには釣りたい気持ちと、守りたいという気持ちを同時に起こさせる何かがあります。
 そこで、現在、「アカメと自然を豊かにする会」の依頼で、タグ、リリース活動の再捕があったとき、特注アカメカラーのルアーをお渡し出来るよう手配しているところです。
 
 そして、イベントを終えてお約束の打ちあげ会。ハシゴ酒、高知の夜は更けゆく…。
 皆さん、またお会いしましょう。
 スタッフの皆さん、お世話様でした。

高知、ハヤシさんへ

 9月13日、土曜日、高知の「フィッシング ハヤシ」さんのところへ行ってきます。
 メールマガジンのほうでお約束していたイベントと、展示会のためです。
 私は、15:00~16:30 と 18:00~19:30に、主に新作のルアーについてお話することになっています。
 近くにお住まいの方、お待ちしています。

作らなかったものについて

K2Fのモニターに応募してくれたKYさんから質問いただきました。
直截にはK2Fに関係のない解答になるかもしれませんが、長年に渡ってのタックルハウスへの応援に感謝いたします。
■質問要約■二宮さんにとって、バイブレーションはどのようなポジションですか?また、ウッド版以来作っていないようですが、気になっていました。理由は?
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始めに、たぶん、この解答、長文になることが予想されます。(カクゴシテネ)誤解のないよう詳しく説明します。

◇作らなかったものについて
我々が活動したこと、やってきたこと、作ってきたことは判り易く、残りますが、もう一方の隠れて見えない、あえてやらなかったこと、作らなかったものにも等分の思いが込められているものです。(ヨクゾ、キヅイテクダサイマシタ)
具体的に私の場合、小さくていち早く沈むもの、シンキング専用型、ジグミノー、TKLM80(たくさん売れそうですが)等を作っていません。
また、多彩な海ルアーを展開しているタックルハウスはルアーメーカーでありながらこれまでワーム系を作っていません。そのノウハウや力が有りながらです。
そして、かつて大手の漁具メーカーでも大量捕獲用の網だけは、先代の言い付けで作らないところがあると聞いたことがあります。

これらを醒めた感覚で聞けば、そこでやらなくても必要なら他でやるのだから、自己満足に過ぎない、となります。また、状況によってはいつか手を出さなくてはならないときも来るかもしれません。
でも、理由があって出来るだけ堪えることが無意味だとは思えません。…

◇登山より
元々、私がルアーFを始めた(戻った)とき、一種の登山の昂揚感に匹敵するものを求めていました。
登山の素晴らしいところのひとつ、それは登る方法を自ら選択できることです。同じ頂きに立つにも尾根ルート、垂直の岩ルート、花畑ルート、降雪ルート等とあり、何を選ぶかはその技量と希望に応じて自由です。
さらに内容まで吟味すると、他人には易々とは伺えない難易度の階層があります。ハーケン無しなのか、無酸素なのか、独りかパーティか、初見ルートか下見有りなのか、無限の選択があります。
通底してある暗黙のルールは、出来るだけ即時的な結果を求めず、補助に頼らず登ることなのです。登頂という目的を果たすだけならヘリコプターでいい…。
山を諦めざるを得なくなったとき、通常の釣りに満足出来なかった私は、ルアーFという、どう考えても生餌と比べてハンデのある釣りの方法が気に入りました。山の考え方と似ていたからです。

それでも、ごく初期の私は、釣りたさ一心に何でも試していました。ワーム、ジグミノー、生餌そっくりのルアー、漁具までもです。
そのうちに実力が付いてくるとそれらに頼らずとも結果が得られるようになってきました。またそのほうが燃えることも実感しました。自作したルアーを世に問える頃になると、若く今より頑固だったのと外洋志向が強まり、いつのまにかフローティングルアーしか作らないようになっていました。また、海水に浮くという条件内で、元より不利な軽いルアーを遠くに飛ばすという困難な課題に挑戦することが楽しかったのです。たまに沈むルアーが必要ならラ◇ラがあるので買えばいいや、という感じでした。

フローティングルアーだけだと取りこぼしがあるのは当然です。しかし、それだけでもある程度釣れてしまうのもスズキでした。丁度良い釣れ具合だったのです。
魚を絶やさないための禁漁区というのがあるように、禁漁レンジがあると思えば気が楽だと解釈していました。いくら釣ろうとしても限界は近くにあり、魚は減らないだろうと。  ある意味で禁漁範囲を狭めることの出来た重心移動システムの威力で釣りまくったことに、若干の後ろめたさを感じていたこともあります。後人のために、先人が自然に痕跡を残すことは避けようという山の教えが身に染み付いていました。

◇その後
そして、この辺りの頑なな考え方は、K-TENを発表してから十年余りも続いていました。ユーザーさんからの要望でシンキングと表示してあるものも作りましたが、当時はフックを取れば浮くものしか作っていませんでした。
KYさん、あの最後のK-TENバイブレーションもフックを取れば海水に浮きます。
また、ルアーロストした後、自分の設計したものが海底に横たわったままになることが、どうにも納得出来なかったのです。

あれからまた年月が経ちました。私も大人になって丸くなり、また、世界中方々へ行き、様々な釣り人に会って、頑なな思いは少しだけ変化してきました。
各地域でFルアーだけでは余りにもチャンスが少なくなるようなところを見聞し、ユーザー、友人からシンキング系統も是非にという要望があれば、制約の中で作るようになりました。でも、相変わらず決心がいるのです。
自惚れと言われようと、知識を得た今の私が、小さめの沈んで良く釣れるルアーを開発すれば、根こそぎルアーが出来てしまいそうです。今の世の中、私が参加しなくても放っておけばそういうルアーが溢れる方向に行っています。これ以上作る気にはなれないのです。

ここで、矛盾に気付くかもしれません。私はタックルハウスというルアーメーカーに所属しています。私が作りたがらないジャンルのルアーもラインナップして、若手が作ったRベイトというヒット作もある。それらからも収入を得ているのでは?ワガママでは?(これはかつて友人に言われたこと)
我が儘は自認していますが、私の収入はほぼ設計したもの一個に対しての歩合なので、少し事情が異なります。
収入を上げたいだけなら、とっくに売れ筋サイズ、ジャンルのルアーを手掛けています。また、それ故に作らないでもすむというある程度の自由さもあるのだと思っています。何よりタックルハウスの懐が深いということと、会社として要求されるラインナップを実力のある若手設計者に任せられることにも助けられています。

◇本当のダメージ
誤解して欲しくないのですが、私もたまにRベイトやバイブを使いますし、ワームを使う友人もいます。ただ、そういったときは一、二匹釣ったらその方法はお終いにしています。今の年齢に達してのことなので、こうした自分の釣りを他人に強要する気は更々ないのです。
こうした気持ちになったのは、魚にとって、本当のダメージは何処にあるのか、考えてきたからです。
例えば、初心者や仕事が忙しくて満足に釣行できない方がルアーを投げる場合、やっと釣れた魚をリリースしなくても、絶対釣れる殺魚ルアーを使ってもフィールドのダメージは少ないでしょう。またツッパリルアーばかりだとキツイです。
しかし、たくさん釣る方法を知り、それを実行出来る方(私も含む)がいれば、それはこれから後に続く若い釣り人のチャンスを潰さないように自制心が必要と思います。ルアー選択もそのひとつです。リリースするからといって限度を超えて釣るのは楽観的に過ぎます。
宣伝で釣りまくる人は例外として、普通、年期の入ったルアーマンになると、余裕があり、良い意味で飽きてきて魚を捕る数は減ってきます。同じ大きさの魚なら初心者が釣ってくれたほうが喜び具合が大きく価値が上がることを知っているものです。

◇作り手として
私は、釣り人として、また作り手として何が出来るのか考え足掻きました。稚魚放流に関わり、リリース方法の確立を模索したりもしました。でも余り堅苦しくなるのは勘弁です。一方でルアーFはどの釣りよりもおおらかであって欲しいとも願ってきました。
設計した幾つかのシリーズは、私なりの考えで、想定した範囲内ですが、全力で出来るだけ釣れるルアーを作ろうとした結果です。
足りない部分は承知しています。でも、一生飽きずに釣りを楽しめるぐらいの力はある。それは私がこれから証明してみせます。情熱を持って研究すればするほど魚を減らすだけなら、それは本末転倒というものでしょう?

もしかすると、私は一生掛けて中途半端な理想を完結しようとしているのかもしれない。それでも、進む方向だけは間違えたくなかったのです。たとえ、作り手としての私がこの先、千人万人続くとしても、魚は次の世代に必ず残される方法を実行すること。キザだけど、その先に永遠が見えるような気がするのです。
KYさん、バイブレーションに限らず、作らなかったものについて、長々と述べてしまいました。(引かないでネ(^o^))バイブを多用すると言っている方に、失礼にならないよう言葉を濁すわけにはいきませんでした。
バイブ系の力をそれだけ認めているからこその話としてご理解下さい。滅多にない休日に、Fルアーで歯が立たないとき、魚を見たいと思うのは当然です。私もそういう立場にあれば多用するルアーかもしれません。

いつかKYさんの産まれたばかりのお子さんが大きくなって、親子で綺麗なスズキが釣れますように…。

主にモニターさんへ

 モニターさんからK2Fの使用報告が集まりつつあります。
 今回は、問題と思われる幾つかの点についてお話しします。
 まず、当初、一本しかお渡しできないので、タカ切れの恐怖から思い切ってフルスイングできない、との嘆きを頂戴しました。
 確認のため、身近な友人に、一本だけ、これしか無いと言って投げて貰うと、心のブレーキが働いてしまい、目の醒めるような飛距離が味わえないようでした。
これは酷な話です。スミマセン。
 でも、投げ続けて、徐々にパワーを掛けることに慣れてくると、ルアーに対する印象はどんどん変わってゆくはずです。(いきなりフルスイングよりリスクは減ります)
 それと、使用ロッドの件ですが、ロッドパワーに余裕があるロッドで、ライナーキャストするほうが、簡単に飛距離が伸びます。逆風が強くなるほど差は開きます。ロッドメーカー各社、ヒラスズキ向きと銘打っている以上のパワーが望ましいと思います。
 注意点として、ロッドにはルアー重量のキャパシティが表示されていますが、メーカーによって基準が異なるようです。重量範囲内にあるからといって、ルアーを振り切れないものもあります。
 ロッドには、ルアーマン各自の好みがあり、一概にこれっ、と指定するつもりはありませんが、皆さんのロッド選択の参考になるよう、今後データを集計して何らかの形で発表したいと思います。
 なお、モニターさんにはアンケートと共に、ID番号をお渡ししています。アンケートに書ききれないこと、直に設計者つまり私にモンクを言いたい方(^_^;)、提案等ありましたら、タックルハウス~042‐793‐3029(モニター担当13時~17時)に問い合わせして、ID番号を言って戴ければ、私の直メール、直TELをお知らせするよう手配しておきます。(月曜日から)
 遠慮なく連絡下さい。(TELは夜、7時~10時まで。不在の時も多いですが、居留守は絶対使いませんので、日を改めたりして、シツコクTEL下さい。(^o^)また、遠方からでしたら、その旨仰っていただければ、こちらから掛け直しますので、よろしくお願いします。
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 モニター販売用のK2F142の背に、チューンドK-TENのロゴがありますが、これはまだセカンドゼネレーションのロゴ型が無く、本発売するものと見分けを付けるためだけのものです。 

BKF125の話

先日のモニター販売で、要望欄に次のような丁寧な一文を、KTさんより戴きました。お応えしようと思います。

略…開発に関わられたすべてのルアー、一つ一つについて、各論のような、より詳細な解説を掲載していただけると嬉しいです。TKLMの解説では、同じシリーズでもサイズごとに異なったコンセプトで作られている、ということが分かり、所有するルアーに対する認識がかなり変わりました。このような話を、現在販売中の製品のみならず、過去にラインアップされたルアーについても知りたくなって来ました。開発者の細かいこだわりや苦労話を聞くのは、個人的には非常に好きです。……略。

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BKF125は、ブルーオーシャンシリーズ唯一のスリムタイプとして、90年に発売されました。シリーズはその二年前に140、115と始まり、プラ量産型として三番目の型になります。
このルアーについて語る前に、少し経緯を説明します。

当時の計画では、K-TEN系全体のサイズ展開として、最終的に逆ピラミッド型になるよう、上からBKF175~BKF75と作り、先行していたウッドシリーズ(全体的に細身)MKF170~MKF105が、BKF各サイズの間に交互に割り込むようにしていました。
プラの持ち味(耐久性、安価、特有のアクション等)と、ウッドの持ち味を明確に分けることによって、どのサイズを選んでも双方にとって別の性質を持つルアーが隣にあるようにするためです。
同じサイズの近辺に、アッピールとナチュラル、太身と細身、さらにリップレス、リップルとあれば様々な要求に応えられると思ったからです。
ただし、細身で箔を貼ったリアルタイプはほとんどウッド側で作ったので、高価になってしまいました。完全ハンドメイド、重心移動システム入りで三千円台の売価がいかに良心的であっても、消耗品としてはキツイ価格です。
しばらくすると、数社の他メーカーさんは、このウッド製品部分が占めていた位置を主にして、安価なプラ製品のシリーズを、コストの掛かるワイヤー貫通方式などは採用せずに続々と出してきました。
Bバス全盛で、海のルアーはまだまだ市場規模が小さいと言われていたのに、これにはブッタマゲました。そして、海ルアーブームに拍車がかかり、この辺りから落ち着いて魚と語り合うような開発をする余裕が無くなってきたように感じました。
私は、既にある同じようなものは作りたくなかったので、結果残ったBO系はいつのまにかファット系などと言われるようになっていったのです。

BKF125の話に戻ると、このルアーは早くからウッドMKF125(遠浅の平砂浦の鮃やコチ、スズキ、それと干潟、河川などで活躍していました)の強度アップと安価な量産型を望まれていたので前記の流れから逃れ、先行することが出来たのです。先のピラミッドで言えば、MKF105の上に位置します。スリムといってもウッド製よりワイヤーが貫通する分だけ太くなっています。
BOシリーズ唯一の三本フックでもあるので、絡みつくようなフッキングの良さもありますが、大型のフックを背負えないので、大型魚を取るには場所が限られます。

このルアーの製作秘話として、初回生産分、約三千本は、完成後リップを手作業で削ってあることと、例のあの「言葉」が入っていません。
実は上で少し話した経緯のこともあり、開発に追われて(この年、リップレス140、リップル140を同時に手掛けていた)初めてプラのプロトモデルをモデル屋さんに外注してみたのです。その時はより確実な方法と思っていました。
外観、内壁ともほぼ設計図通りだったので、油断してしまいました。プロトに合わせたリップを付けたら、期待していたアクションにならない。結局、リップ部分の型の変更を余儀なくされました。 作ってしまった三千本分は私の責任なので、冬の室外で(部屋の中だとプラ粉が飛ぶ)グラインダーでリップを一つずつ削ったのです。

手がカジカミ、寒さに震えながら三日間、血の滲む指を見ながら、今回の間違いとルアー作りの自分なりの正しい方法を考え続けました。
それに、三千回(実際は三方向、プラス仕上げで一万二千回以上)も気を張ったまま同じ事を繰り返していると、モチベーションが低下してきます。自分が頑張れる理由を探さなければなりませんでした。
そして、最も効果のあったあの「言葉」を、何日もかけて決心して、次の型直しのときに入れて貰ったのです。外からは見えないようにして。                                      あの言葉は、私のルアー作りの始めの頃から頭にあったものの、この時まで追加費用を掛けてまで彫刻する気はありませんでした。現実に入れるキッカケになったのは、こうゆう出来事があったからなのです。
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トップの写真は、Hさんから送っていただきました。「一番好きな場所で…」シャイな達人、あの人です。
中段の写真はMKF125と、あの言葉が入っていないBKF125。
下段の写真は、今年絶好調の近所のHさんの一撃。

K2F142モニター販売のお知らせ

 予告してありましたモニター販売、始まりました。
 詳しくは左下リンク欄(K2F)から該当ページを御覧下さい。
 皆さんに、ご納得戴けるように特別価格(実質二本組、配送二回分含む)にしたため、数に限りがあります。ご希望の方は早めにお願いします。出荷は明日からとなります。 
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売り切れとなりました。(9/2、AM9:30)
 ご協力感謝します。間に合わなかった皆さん、ごめんなさい。
 言い訳になりますが、本発売前の製品であることと、実質コストを上回る費用と手間が掛かるため、これ以上の出荷は無理と判断しました。
 あと二ヶ月もすれば店頭に並びますので、それまで見守ってやって下さい。お申し込み戴いた方々のお気持ちは決して忘れずにK2Fを育てていく所存です。
 これからもよろしくお願いします。 

予告…K2F142、モニター販売について

 一般店頭販売に先駆けて、来週にもK2F142のモニター販売をすることになりました。
 現在、開発スタッフ一同と準備中です。
 本発売予定は十月下旬になりそうなので、早く使用してみたいという皆さんに、数量限定、ネットのみで先着順での販売になります。ご希望される方、全員には行き渡りそうにないので、その点ご容赦下さい。 
 詳しい内容は、メールマガジン登録をしていただいている方(タックルハウスHP、ワールドオブK-TENから)には発売日同時刻に発信させていただきます。
 ここK-TENラボでも、遅れないよう出来るだけ早く告知します。
 本発売まで約二ヶ月ありますが、それまでスタッフ、テスター、そして今回のモニターさんと共に、より良いルアーに育てていきたいと思います。ご協力、お願いいたします。

メダルに相当すること

 四年に一度のお祭り、オリンピック、終わりました。参加選手誰もが輝いていました。たくさんの感動、ありがとう、です。
 それでも華やかな祭りの余韻に浸っていられるのは、関係者以外は数日といったところ。前回のアテネもその前も、真っ先に忘れるのはマスコミの常でした。後二週間も過ぎれば、あれだけ大きなイベントも潮が引くように遠い日のごとく扱われることになります。  
 
 それにしても我々一般人からすれば、オリンピックに参加できた選手は、その濃密な体験が想像できる故に、羨ましいと思う方は多いでしょう。
 TVに映る彼等はときに嬉し泣き、悔し泣き、雄叫び、陰りのない笑顔、天を仰ぎ、地に伏せ、それこそ最大限に感情を露わにします。普通に生活しているものには、なかなか得られない感情や経験のはずです。
 ところが、時々、競技でもないのに我々の身近にメダリストに匹敵するほど歓喜している人を見ます。
 そう、苦難の末にやっと釣れた、想いどおりの一匹に巡り会えた人達です。成人になってから一度も泣いたことが無いという四十代の豪腕営業部長が、一匹の魚を前にして涙しているのを見たこともあります。私自身、雄叫び、足が震えたこと、空を仰いだこと(別の意味かも)、いずれも単独のときでしたがあります。
 そして、こういう深く強烈な感情は、けっして数釣りや爆釣といった中には有りませんでした。ある種の一匹、で充分なのです。さらに、メダルに匹敵するような感動は、オリンピック並に四年とか十年とかに渡って想いを保ち、溜めていかなければ味わえないようです。だから私は、ある程度のバラシやアブレを容認しているのかもしれません。
 金メダルならともかく、確実に取れると判っているメダルにドラマは薄いものです。ギリギリのところでかなった願いこそが感動を呼び込むのは今回のオリンピックでもたくさん見ることが出来ました。
 
 我々ルアーマンには、素晴らしい経験を得るチャンスが常に有るはずなのですが、望み高く金メダル並の昂揚を得ようとするなら、ドーピングや卑怯に相当する方法は退けねばなりません。        また、競技という言葉は似ていますが、陸上競技等と、釣りで他人と競うこととは同列とは思えません。個々で完結して、純粋な数字を残すのみのスポーツと、補充の難しい生き物相手であり、数字の向上が他人のチャンスやフィールドに影響を及ぼしてしまう釣りとの違いは心しておくべきでしょう。(鮎やヘラは事情が異なる) 
 そして、あの数万人の観衆で熱気溢れるスタジアムの代わりになるシチュエーションといえば、広大で純粋な自然の真っただ中ぐらいしか思いつきません。
 
 かつて、ローカル水泳大会の個人メドレーで表彰台に上がったことがありますが、失格者が続出した運勝ちでした。簡単に得られた結果のせいか、その後、努力を重ねてやっと釣れた90センチ近いヒラのほうが遙かに感激したことを憶えています。
 方法と、志しを吟味して夢を目指していけば、何色かは判りませんが、誰でもメダリスト並みの歓喜に溺れることができる可能性があるということです。

募集…あなたの思い出の一匹‐8

 高知のUさんから、丁度一月前に出会った思い出の一匹、送っていただきました。
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 私の思い出の一匹の写真を送ります。
 2008年7月22日。16時30分。浦戸湾。
 一度やってみたかったアカメのデイゲーム。
 仲間が釣果を上げる中、ようやく出会えた納得の一尾。
 K-TEN BLUE OCEAN 140 夢を手にできたのは、このルアーに出会えたから・・・。
 
 
 あと、このアカメが吐き出したベイトのカニと、アカメが食ったベイトのツーショットも送ります。ちょっと貴重なショットかもしれません。 
 アカメのサイズは85センチ。タグアンドリリースしました。
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 Uさん、笑顔がまるでオリンピックでメダル貰った選手のようです。(^_^)v
 デイゲームだとヒットからランディングまで、目に焼き付く情報量が夜よりも圧倒的に多いから、先々もきっと忘れられない一匹になりますね。
 それと貴重なカニの写真も、ありがとうございます。 

アカメ釣り大会のこと

  16日、17日の両日、高知県の浦戸湾で開催された、第二回アカメ釣り大会に行ってきました。
 長野さんを代表とする「アカメと自然を豊かにする会」主催の調査目的を兼ねた大会です。今年は120名近い参加者が集まり、浦戸湾だけで11匹が釣れました。(期待以上)そしてほとんどタグアンドリリースが出来ました。会場も和気藹々、楽しい時間を過ごせました。
 
 詳しい結果報告は、近く「アカメの国」内で発表されると思います。大会名か、アカメ、と検索すれば筆頭で表示されます。歴史のあるHPなので、ご存じのかたも多いと思います。関わった皆さんの深い想いが伝わってきます。  
 
 ここ、K-TENラボでは、釣りの合間のエピソードなどを少しだけ書かせていただきます。
 ひと月前、長野さんからお誘いがあったとき、釣り場が浦戸湾のみということで、釣果について、いらぬ心配をしてしまいました。しかし、実際は会場に待機していると、明るいうちからアカメ確保の知らせが次から次と入ってきました。 即座にタグと撮影をするため、スタッフの上杉さんが急行します。(大変)
 釣り場は何処でも30分圏内です。私も4例ほど現場に同行させて貰いました。タグを打って、会場に戻ると携帯に連絡が入るので、ならばと現場にしばらく居ると釣れない。戻ると釣れます。(^^;) どの一匹もやはりアカメ、釣った方はほんとに嬉しそうでした。
 
 参加者の半数近くが県外からというのもこの大会の特徴です。地元組で、すでにたくさん釣っているベテラン達は、釣りの時間はほんの少し、後は会場でビール。初心者がポイントも判らず、途方に暮れていると親切に教えてあげていました。
 
 私もほとんど会場にいたので、イイ話をたくさん聞けました。それぞれのアカメ一匹にドラマがあったのは、語る目で解ります。
 大会中、バラシた方も多かったようです。トンデモナイ大型を掛けて、一方的に走られた方もいました。フックが伸び、ルアーのワイヤーが飛び出ていました。 記念にそのルアーを飾りたいと聞いたときには、制作者として半端な物作りは出来ないとあらためて思ったものです。  
 それに、今シーズンも絶好調のベテランの方のルアーボックスを見せて貰うと、使い込まれたBKF175がドッサリ。私より持っている。ビックリ。強気です。また、各ルアーに独特のチューニングがしてあって、嬉しくなりました。(どうしてもアカメの顔を見たい方は小さなルアーも用意していったほうが無難なようです。)
 
 また、四万十方面から来た方々の、数々の写真にもビックリ。釣った本人の熱気が伝わってくるから、雑誌に載っている写真とは違って見えるのです。
 今年はいまひとつだそうだけれども、まだシーズン中。さらなる一発を期待します。
 
 それと、思い出のルアーを見せてくれたり、私の酒の相手をしてくれた皆さん、本当にありがとうございました。
 アカメに魅せられた人々の集いである本大会の役割に、今後も注目していきたいと思います。