休日終了、あらためて御挨拶

 私の休日は終わりました。これから気を引き締めて、またK2F142の発展型と、暖めている次作に取り掛かることになります。
 
 このブログを始めたのは今年の二月二十二日。ウインドウズ95からのユーザーのわりには、ネットに関わることを長い間、躊躇していました。
 K-TENの第一世代は、ネットが本格的に普及する前でしたから、あの時代の痕跡がその中には少ないのは当然です。波を被る磯にカメラを持ち込むことも、滅多にありませんでした。
 私の場合、過去の写真や記録は版権のある出版社等のものが多く、手許にあるのは限られています。ハウツーものや紀行ものをもう一度書く気にはなれないので、また新たに始めるのは相当の覚悟がいりました。
 それに、ネットの負の部分を見聞きしていたので、様子を見ているうちに年月が過ぎてしまいました。
 
 また、残念なことにインターネットの早期にあったソルトルアー関係のHPは、ブログの台頭と反比例するように減っていきました。一言でいえば、開設者が疲れてしまったように感じました。出来ることなら、そうしたベテランにこそ語ってほしいのですが。
 彼等が去っていった理由は様々でしょうが、ぜひ再びブログなりで、復活してほしいと切に願うものです。…
 さて、このブログの開設時は、ささやかに地下室のごとき所から始めたものですが、この頃では部屋に暖かい陽差しが差すことを楽しむことが出来るようになってきました。
 それというのも、今回K2Fを通じて、多くのユーザーさんと実際に会ったり、メールのやり取りをして、ネットの良いところを幾つも知ることが出来たためです。
 ユーザーさんの中には私の多忙を見越して、返事は無用とまで言ってくれる方もいて、ありがたいのですが、どうか気にしないで下さい。(アイドルでもないので、そんなに多くはないですから)
 基本的にお返事は遅れたとしても必ず書くように心掛けています。むしろ心配なのは、頂いたメールに何らかのメーラー事故(セキュリティソフトのお節介等)が生じて、不覚にも返信できないことのほうです。
 もしも、せっかく送信して頂いたのに返信が無い場合は、私の本心ではないので、もう一度そのまま送信しちゃって下さい。(^^;)
 そうしたことを防ぐため、現在パソコン付属のメーラーから、さらに高機能なメーラーに移行させているところです。
 
 それと、シーズンインしたこともあり、K2F発売後もユーザーさん、モニターさんから、かなりの釣果写真(30数センチから90を超すものまで)をお預かりしています。これは専用フォルダに大切に保存してあります。
 当初、順番にそのままブログにアップすることも考えました。しかし全てに添えられている一文を読むと、魚の大小にかかわらずそれぞれに別種の感動や想いが見えて、一様に扱ってしまってよいのか迷いました。そこで、機会を見て私なりの考えで使わせて頂きます。
 また、今すぐ記念にということであれば、カテゴリー募集から、「あなたの思い出の一匹」に載せて頂くこともできます。その場合は連絡下さい。
 
 このブログには隠れコンセプトがあります。
 それはクールであることは捨ててでも、見易く、読み易くすること。そして、過去と現在を同等に扱うことなのです。
 これから作るルアーも含めて、皆さんの思い出つくりの一助になれば…。それが長年ルアーフィッシングを見続けてきた年長の私が、今出来る事だと思っています。 

BKF、S、SP90…5ミリのホコリ

 今はK2Fの出荷も終わり、一息ついているところです。そこで、K-TENファンとモニターさんから、幾つか小型BKFに関連した質問を頂いているので、今回は90について記しておきます。
 
 BKFシリーズは90年までに、140、115、125、リップレス140、リップル140と大き目ばかりを立て続けに発表していました。ウッドシリーズのファンの方も外洋や大河川等の好きなアングラーからも、安価で丈夫なプラスチック化は歓迎されました。 
 そして、もっと小さいサイズもぜひにという声が内外からありました。しかし、間をおかず設計していた以前からすると、(誰も気付きませんでしたが)92年に90を発表するまで、かなり月日が空いているのです。
 調子が良い時に一気にというのが世のセオリーなのでしょうが、私はここで一歩退いたのです。
 
 理由の全てではないにしろ、当時、外洋についての知見に自信はありましたが、内湾向きルアー作りについての経験に足りない部分があると自覚していたからでした。タックルハウスに関わる以前は、内湾にマッチしたラ◇ラと、スティングシルダ風の自作ジグで事足りて、新たに内湾用ミノーを作る考えは持てずに何年も経過していたこともありました。 再度、ルアー作りの見地から内湾経験を積み直す必要があったのです。…
 当時の内湾用ルアーとしては、ラ◇ラのCD7、9、特に9は重宝しました。適度な重さと、それが辿る泳層、安定した釣果。私もこれらから多くの事を教わりました。
 以前にも日本のメーカーからラ◇ラそっくりのルアーが数種、発表されたことがありましたが、いずれも本家には敵わず消えてゆきました。和製ルアーはことごとく敗北していたのです。
 その経緯を知っていただけに、内湾では重要視されない飛距離だけのアドバンテージでは、これに対抗するのには難しいことは承知していました。
 それでもフローティングだけは何の心配もしていませんでした。相手のフローティングタイプは海では?というものでしたし、同じ土俵ではなかったからです。
 しばらくフローティングだけで押す予定でしたが、問題は待望されていたシンキングのほうでした。(といってもフック分の重さで沈む程度)
 
 同じ土俵に上がる場合、これは今でもそうですが相手より若干のサイズダウンか、細身にするほうがハズす危険が少ないものです。この誘惑には迷いました。
 安全策を採って85ミリにするか、既にあって細身で数釣り実績抜群のトラウト用ウッドK-TENをそのままプラ化するか、あるいは異なる方法論でいくか判断を迫られました。
 
 で、最終的に選んだのは(やはり性格は変わらず)ラ◇ラより5ミリ大きく、貫通ワイヤー(小型プラルアーには不要論がありましたが)を採用する故、細身化は諦め、フック換装に耐え、折れにくいリップを持つものでした。
 それが内湾経験を積み直して得られた結論でした。それと、和製ルアーは所詮パクリと言われていた反発からかもしれません。たった5ミリ(表示は同じ90)でも、小さくすることよりは大きくして同じ土俵に上がることが、私のというより和製ルアーとしての誇りだったのです。
 
 そして、90ミリにのみサスペンドタイプを設定したのは、正直に言うと相手の出来が良いので、一定泳層でゆっくり見せるというような相手には不可能な小細工が出来ないと、魚の活性が落ちたときに対抗出来なかったからです。
 この選択があの5ミリのせいだけなのかはもう定かではありませんが、シリーズ中唯一サスペンドの設定を加えた理由のひとつだと記憶しています。
 
 いずれにせよ、多くを学ばせてくれたラ◇ラは今も健在です。それは私にとってもとても嬉しいことです。
 ラ◇ラはラ◇ラです。そして、出来ればK-TENもK-TENでありたいと思っています。
 
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追記、今年になっても90ミリで24キロものアカメを上げている方がいます。(あなたの思い出の一匹ー9、イベント等から)あのとき無理をしてでも貫通ワイヤーにして良かったです。 

ケン君、帰郷

 日曜日。前日の木枯らし一号が彼方に吹き去って、時折無風になるような、穏やかな東京湾でした。Oさんのボートで木更津から富津周辺を遊んできました。
 東京湾ルアーFは今年二度目。年々少なくなってきました。タックルボックスの中にいつもあるK2Fが入っていない日も今年二度目です。(後で、少し後悔するのですが…)
 
 友人のOさんの息子、ケン君が、沖縄~北海道のバイト放浪生活に見切りをつけて帰って来るというので計画した釣行でした。TさんSさん、いつものオヤジ連も一緒です。
 青年期には色々あります。オヤ心としては心配だったのですが、無事で何より。久しぶりに揃った顔ぶれにフッコが歓迎してくれるでしょう。
 
 さて、釣りの方ですが、基本ポイントやストラクチャー周りの魚は、連休中とあって、朝から相当攻められている様子。かなり細かいことをしないと食ってきません。
 バイブを使ってなんとか40~50クラスを数本上げますが、どうも今イチ。通り掛かるボートのルアーマンもほとんどバイブ系ワーム系をセットしています。…  
 そこで、沖へイナダを狙いにボートを走らせました。少ない鳥を目安にナブラを捜すと、運良くスズキのモジリを発見。べた凪じゃないと見付けられない小さな波紋。私の目は近くは見えないけれど、遠くは良く見えるんです。(^^)
 ピチャッと変化のある海面に向かってMを遠投すると、70台のスズキが一発で食ってきました。ストラクチャー周りの魚より体型も良く、格段に引きます。海面は、さざ波すら無く、スズキが暴れた波紋だけが拡がり、そこをラインが横切っていくのです。吐き出した小魚は175クラスのコノシロでした。
 
 真っ昼間、水深10メートルでのフローティングミノー。私も久々のマジモード。モジリに届きさえすれば一発。透明度が高いのでファイト中のスズキが丸見え。楽しいけれど、あと10メートルがなかなか届かなかったことが多かったです。もしもフルタックルで、アレが有ればと何度思ったことか。 
 そのうちに、ケン君がこの日一番の大物を掛けます。遮る物の無い沖合ですから、走る走る。
 漸く上がって大きなスズキが顔を見せた瞬間、痛恨のフックアウト。ケン君さぞガッカリするかと思えば、ゲラゲラ大笑いしていました。それも初めて見るぐらいに。
 バラシた事以上の思いがあったようです。幼少の頃から馴染んで、あたりまえのようにあった海から遠ざかって数年が経ち、久々に釣りに出た海から、これ以上ないぐらいの歓迎を受けたのですから。 スズキもなかなか味のあることをします。
 
 私も数年ぶりに銀ピカの東京湾スズキの一匹に、シメを入れて持ち帰ることにしました。今宵はこれで焼酎でもやりましょう。
 
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 下の写真、一本チャレンジャー状態で釣れたフッコ。専用タイプは何度か投げて失敗。  

K2F発売、御礼!

 K2F142をご注文頂いたお店には、漸く初回の発送を終えました。まだ一部のカラーは製作中のため、近日中の手配となります。
 発送完了の前に、カラーによっては早くも売り切れたお店があり驚いています。それというのも、今回の発送の前には、HP以外ほとんど紹介していなかったからです。
 これも皆さんの応援あってのことです。それとお店の担当さん、テスター、モニターさん、本当にありがとうございました。
 
 また私は、プロトを設計するだけで、実際の製作はスタッフです。このコスト重視の時勢の中、難しい要求をよくクリアーしてくれました。
 定価二千五百円。確かにルアーとしては高額であることは自覚していますが、どうか他と比較してやって下さい。
 私の設計内容やルアーそのものの能力を抜きにしても、そのパーツの一つ一つはどれも原価が高いものです。中には一般パーツの数倍掛けているものが幾つかあります。掛けていないのは宣伝費だけです。…
 そういうわけで、満を持して作ったルアーのわりには静かな発進となります。
 そのほうが良い点もあります。ここをご覧になっている皆さんにとっては、売り切れのお店もまだ一部ですから、お好きなカラーとかを手に入れやすい期間が、もう少し続くはずです。
 それと、以前ラボでお約束した、私の提案カラーは工場の生産体制が整い次第、まずここで発表します。  
 
 願わくば、K2Fが皆さんと共にあり、
熟成を重ね、また展開され、やがて外洋や大河川などの大場所での定番プラグと言われるようになりたいものです。
 それまで応援よろしくお願いします。
 
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 お預かりしている写真を記念に。
 
 上から私のウエットの製造元、千葉のサーフショップの岡田さんのヒラ。
 
 ショア磯マグロ五本とギンガメは、四国のFさん。
 
 ルアーが大きくて小さく見えてしまうコチは東京のタカさん。
 
 最後は私。ありがとうございました。 

一本チャレンジャー…自選エッセイ集【30】

それは昨今の干潟ブームが興る以前、まだ、会う人は知り合いばかりという、静かな夜の海での出来事だった。
ルアーを投げる度に、潮に乗って流れてくる千切れた海苔がフックに絡んで閉口するが、それさえ無ければ、毎回のようにアタリがある。
手持ちの色々なルアーを試していたところ、その日はウッドのリップレス105に反応が著しかった。浅場から船道の深場にかけて、チョンチョンとイメージでは5センチぐらい動かしてから、スーッと優しく、ゆっくり引くとスズキが盛大な補食音をあげる。
このルアーで、こうした使い方をすると頻繁に飲まれてしまうので、いくらバーブレスにしていても、フックを外すのが厄介だ。時にはエラからルアーが飛び出して、腹の辺りにスレがかりしてしまうものもある。当時の105には、小さめの先端がネムリのフックが付いていたから、なおさらそういう現象が起きた。 だから仲間内では、しばらくこのルアーを封印していたのだが、その後、幾分フックを大きくして、飲まれ対策を施して再び使うようになった。(ここにTKLM90の原型になる考え方がある)
◇つっかえ棒
そして、ルアーを飲み込んだスズキを、ランディングしてみると、たまに口の中の何処にもフッキングしていないのに、ルアー自体がつっかえ棒となって、外れない場合がある。主に、ルアーを頭部から飲み込んだときだ。これは、高速リトリーブでラインにテンションがかかり過ぎている状態での釣りでは、滅多にない。
◇一本針
私はそこで、かって見たことのある一本針のことを思い出した。一本針というのは、太古の昔、まだ針の材質が動物の骨だった時代からあり、もしかしたら、ごく普通のフトコロのある曲がった針形状より先に作られたかもしれないものだ。
たぶん二十年以上前になるが、どこかの雑誌で、餌釣り師が一本針を手製して、それにイソメか何かをハリスまでコキ上げて、メジナを釣ったという記事を見たことがある。
私も作ってみたが、ハゼとかカレイなら釣り易いが、この針には致命的な欠陥がある。折れやすく、呑まれ過ぎると取れなくなってしまう。また、魚の歯によってはハリスが切れる。それに何よりも、あらかじめ想定した口の大きさの魚しか釣れないのだ。普通の形をした針なら、大小関わらず、とにかく引っかけることはできるが、一本針のほうはハゼ用の長さだと、まずフッコは掛からない。その反対は、なおさら無理があるだろう。そんな理由で、いつのまにか忘れられた針の形式になったのだと思う。…
◇幻の企画
欠陥だらけのこの針だが、私はかえって面白いと感じた。ルアーに応用すれば、全く針の無いルアーが出来るからだ。想定した口のサイズを持つ魚しか釣れないのは、むしろ大物を狙うと言っている者には好都合だろう。既存のルアーだと、どんなに大型ルアーを使っても、やはりセイゴクラスは掛かってくるが、これは、ほぼ完璧にサイズを選ぶ。
早速構想を練り、大中小の、仮称、一本チャレンジャーとして企画会議にかけると、面白がってくれるのだが、どうも乗り気が薄い。本当にそれで釣れるのかと聞かれて、正直に、釣果はまず十分の一になる。ただし、想定したサイズの魚であれば、熟成させて三分の一は捕れるようになるだろう、と言った。すると、さんざん釣ってきた二宮サンなら、そんな遊びもいいのだろうけれども、大半の人はとにかく釣りたいと思っています。と言われて妙に納得してしまった。
丁度市場では、絡めて獲る3本フックタイプが人気を集めつつあり、トレブルフックもより鋭さを求められてきた頃だから、時期尚早という意見も当然だった。
その他にもマイナス点の指摘が多かった。冗談ではフックメーカーが困るといったものや、真面目なところでは魚の口の中を余計に傷つけてしまうのではないかという心配など、クリアーすべき問題が出て来た。確かにこの手のルアーは、完成を焦って不完全なものを出すと、単なるオモチャになりかねないところがある。しかし、私は諦めたわけではない。試行錯誤は続行中だ。
想像してみて欲しい。ラインの先に結んだ一本チャレンジャーのサイズを見れば、その人が何を狙っているのか一目瞭然だ。釣果は三分の一になっても、ファイト中のハラハラ感は三倍になる。数釣りに飽きたベテランにこそ、打ってつけではないか。その人にとって、満足感のない魚を次々とリリースするよりも、魚は初心者のために残しておくほうがよいだろう。
◇お試し
ということで、市販できるかどうかは判らないので、ちょっと経験してみたいと思ってくれたら、完璧ではないが方法がある。手持ちのルアーでも簡単な改造で作れる。相手の開いた口より少し長い手頃なサイズのルアーのフックを全部外し、代わりにフリーでフックと同じ重さのガン玉を付けて、バランスをとる。これだけだ。
大切なのは釣り方の方である。なるべくラインテンションのかからない引き抵抗の少ないルアーで、スローな釣りを心がけると呑まれやすい。ラインが緩んでいれば、よりボリュームのある頭部から吸い込む確率が増える。その詳しい理由については、エッセイ「バキュームキッス」に書いてある。
そして、ルアーのお尻のアイをニッパーで分断して引っかかりを作れば、率はアップするが、やりすぎると口の中を傷付ける。また、当然ラインシステムを組まなければならないが、太く硬いものは吸い込みの邪魔になるからダメだ。アワセにもコツがいる。要は釣り全体に柔らかいイメージがないとバレル。
ルアーは、吸い込みの良いリップレスミノー系の他、バイブレーションやローリングベイト、ジグでも何でも出来るはずだ。ただし、断っておくが、アイが背中にあるもののほうが、一本針に近く簡単なような気もするが、事はそんなに単純ではない。掛かりやすい形状は外れやすい傾向がある。
◇最後に
フックを取って、ベストバランスさせた小さなシンプルなデザインのルアーは、思った以上に高確率で吸い込まれる。だから、大昔から、口に入ったら針が飛び出すという発想のルアーはあった。かっては未完成のものだったが、現在の技術でならば、そういった地獄針ルアーを作ろうと思えば出来るから、この先どこかのメーカーが発売するかもしれない。このまま、売れれば何でもありという風潮が続けば有り得るから心配になってくる。
しかし、一本チャレンジャーは、そういった発想からは遠くにありたいものである。だからといって、そんなに大袈裟なものでもない。釣りという遊びの中での楽しい一方法にすぎないのだ。私自身も、まだ飽きるほどは釣っていないので、使うのは入れ食いの時とか、普通のルアーで何匹か釣って、余裕ができてからだ。すると、先ほどの魚とは別物の反応が返ってくることがある。釣る方法が変われば、日頃見慣れた相手の性質まで変化するのである。

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2003年3月、岳洋社さんの「SW」に掲載されたものに少し加筆しました。 引っ掛かる針が無いと案外、簡単に吸い込みます。

BKF・S用簡単ワイヤー補強方法

 K-TEN、BKF・Sをご愛用の皆さんへ、特にヘビータックルで大物狙いでご使用の皆さんへ。
 今まで個別で対応してきたワイヤーの補強についてお話しします。
 
 BKFはその汎用性ゆえ、フック換装やチューニングがし易いルアーであります。採用している貫通ワイヤーは、同等ルアーのエイト環仕様より、遙かに安定して強いので長らく初期仕様のままでした。
 しかし、この頃では以前は無かった番手を上げたPEラインとハードタックルの組み合わせで、超大型魚(マグロやアカメ等)と激しいファイトをすると、たまに破壊される報告があります。
 
 貫通ワイヤーの工業試験所による破断強度は、BKF175では腹、尾アイそれぞれ190キロと200キロ。BKF140レーザーカット仕様は約100キロです。
 また、通常丸ワイヤーでも50キロぐらいの強度はあります。しかし、計測はいずれも静過重であり、魚とのファイトは加味されていません。だからオーバークオリティと言われるほどの安全係数を掛けているのです。
 それでも破壊されるということは、捻りや梃子作用によって、これ以上の力が一瞬でも掛かっているということになります。 そのため、貫通ワイヤーを溶接してくれという声がありましたが、(実際に採用しているルアーもあるようです)実験してみると溶接箇所の強度が安定せず、エイト環以下のときもあり、採用はしませんでした。…  
 BKF140の貫通ワイヤーは御覧のとおり、(写真)後期レーザーカット仕様は、少々ボディから飛び出ようと大丈夫なのですが、旧BKF140と全115は通常丸ワイヤーなのです。これはボディから大きく飛び出ると、アイが開いてしまいます。
 
 そこで今回は、この丸ワイヤー(旧BKF140と全115)を簡単に補強できる方法(チューニング)をご説明します。
 ◆頭部アイと尾部アイ先端の余分な塗料を、カッター等で落とす。
 
 ◆各アイに極細のケブラーのセキ糸を適度に強く巻き付ける。
 
 ◆瞬間接着剤をしみ込ませて、固定。 これだけです。
 マグロ等で試してあり、これだとレーザーカット仕様並の強度が得られます。
 
 なお、レーザーカット一体成型ワイヤーにも欠点があります。一度、変形したものを戻したりすると弱くなり、繰り返すほどに強度が極端に低下していきます。(金属の宿命。)
 そうなった場合は、普通の魚用にするか、超大型魚とのファイト記念として引退が相応しいでしょう。
 また、K-TEN系全般に言えることですが、使用後のアイ部分からサビや水がしみ出てくることがあります。これは構造上、大事な空気室と、ワイヤー室を分離してあるので心配御無用です。(水漏れが疑われる場合は重量を量ることでのみ確認できます。)
 参考にして下さい。そして、ルアーが破壊される程のデッカイ魚が釣れますように!
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 K2F142モニターさんへ…、お待たせしました。お約束通り、二本目を今度の月曜日から順次発送します。
 それと、アンケートフォームは、もうしばらくホットラインとして開けておきます。よろしくお願いします。
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 熊本のYさん、アンケートありがとうございます。~錦もありがとう。
 お返事したいのですが、アンケート欄にメールアドレスを書いていただけないでしょうか。

シーバシング・ハイ…リクエスト【22】

 掲載する前に、少しお話を…。
 アンケート募集の際、モニターのTHさんから、昔、私の書いた一文「シーバシング・ハイ」をメールで送って、とリクエストがありました。
 題名まで覚えていてくれたのは嬉しいものです。そこで捜すことに…。
 
 初出は90年の旧アングリング誌。その後、やはりリクエストがあり、編集長の了解の上で、カタログにも使いました。THさんが見たのはこれですね。
 初出も、エッセイ風のものはあるの?というリクエストだったので、今回三度目です。ありがたいことです。
 自分で読み返すと…。これ、30歳ぐらいなのでチョット照れるけれど、K2Fに関わりスッタモンダしている今から見ると何故かジンと来るものがあります。
 それまで釣り指南の類はたくさん書いていましたが、エッセイはこれしか残っていません。その前後何年も書いていない時期のものなので、私にとっても貴重な青春?の一文かも。
 そこで、THさん、カタログのは少し変えた記憶があるので、オリジナルの一編を無修正(^^;)で、テキスト化してみました。おそらく最後のリクエストになるでしょう。ここに載せておきます。では…。
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  ◇シーバシング・ハイ◇
 
 「ライダーズ・ハイ」という状態がある。オートバイ乗りなら誰でも一応の経験がある。スーペリアを駆ってコケたアラビアのロレンスも知っていた。一人で飛ばしているときにふいに襲う一種の昂揚感のことだ。
 かくいう私も知っている。まだ二十歳の頃、首都高ではもの足りなくなり、四十万円を持って一月から四月の冬季に、青森と北海道を四千キロ走ってみた。
 おかげで片耳は聞こえなくなり、歯はガタガタ、新車はパー、残ったものはヒビだらけのヘルメットと、あの夥しい昂揚感の記憶だけだった。
 そういえばあの頃、長期療養で過ごした式根島で、ルアーでヒラマサやエソが釣れた。
 
 「ランナーズ・ハイ」という状態がある。二年前、どうしても味わってみたくなり毎日十キロ走ってみた。マラソンが辛いばかりではないことを初めて知った。 「クライミング・ハイ」というのもある。岩登りは高校生のときからの趣味であり、素晴らしいが、面倒で危険だ。濃密なこのハイを知ってエスカレートすると、命まで保証の限りではない。これは北岳バットレスで墜落して四百メートルの空間を足下に宙づりになってみて、喜んで止めた。
 そういえばあの頃の南アルプスのイワナはバカだった。思い出が次々と浮かぶ。 
 まだまだなんとかハイという状態はある。ただし、私がいうのは人生を狂わすほどの、その瞬間、雄叫びをあげるようなハイである。アインシュタインは、なんと頭の中だけでやってのけたが、凡人は身体を動かさなくては解らない。
 思えば私の人生はこれの追求であった。
 
 そして今「シーバシング・ハイ」である。平たく言えば、「昼間美背景低磯上逆風下波かぶり単独鱸ルアー雄叫び釣り」のことだ。私も様々な釣りを経験し、外国へも行ったが、これ以上のことは未だ知らない。
 ハイの状態というのは、分析すると、一様に風などの自然の息吹、ホトバシリといったものが、身体を駆け抜けたり、愛撫してくれないと起こり得ない。これがポイントだ。
 例えばライダーズ・ハイなら、風を切る感覚が引き金になる。鈍い人なら失恋でもして、感覚をナーバスにして走ったほうがよい。フルフェイスのヘルメットは、できればないほうがベターだ。その辺のことは、暴走族のアンチャンのほうがよく知っている。
 
 スズキ釣りに関して言うならば、理想的には以下のシチュエーションが必要になる。
 目が醒めて気合いを充実させるには、一時間はかかる。それぐらいの距離にある釣り場を選ぶ。必要なら回り道をする。車は小排気量のものがよく、それで全力で走る。
 さて、釣り場に着き、ライト無用の夜明けを待つ。外は昨夜の予報通り南の逆風で、目指す磯上をときおり波が被う。ループノットで結んだK-TENのフックを爪に当ててチェックする。辺りには誰もいない。水温は十八度以下。これでないと南風の効果が薄い。
 身体を預けるお気に入りの岩は房総全体で三十三カ所。波をバンバン被りながらも、安全で魚との間合いを最も詰められる、そういう岩だ。
 顔に波しぶきと、冬とはいえ、生暖かい風がゴチャマゼになって当たる。大自然の直接の愛撫である。これで九分の条件が揃った。まだハイは来ない。まず一尾釣って期待を実証せねばならぬ。
 東の空の雲間から陽が覗いて、サラシが輝いたとき、最後の条件の一尾目のスズキは来た。ヒューとラインが鳴る。が、これはバラシてもよい。とにかく間合いは詰めた。二尾目を狙うときからである。こうなると波しぶきも避けずにワザと濡れる。方角を指を舐めて知るように、濡れると風や気配といったものに敏感になる。
 風を切ってカーボンロッドを振る度に、ラインが風に踊る度に、もうすぐだ「シーバシング・ハイ」がやって来るのは。まだ一部冷静な頭で辺りに人の居ないことを確認して、小さな第一声をあげる。 「オーッ」でも「ヒャッホウ」でもなんでもよい。さらに弾みがついたら、雄叫びを発しながらロッドを振り続ける。声は風にかき消されても、スズキは聞いている。ルアーの周りでモジリ、ハネル。恍惚の時が過ぎる、というわけだ。
 思い出せば、バカバカしくもあるが、経験した友人は、ちょっと不適切だがこう言った。初めて女性を知ったときより興奮した、と。
 
 相手にして丁度良い三~六キロの磯スズキによってしか得られない、この「ハイ」を求めて何年経過したことだろう。最近でこそ年に数回は確実に味わえるが、探索時代は無惨なものだった。その間に、前の車は潮を浴びて溶けてしまった。海岸に駐車していると、よく不法投棄車と間違われた。なにしろ窓ガラスは一度開けると、つまみ上げてガムテープで固定しない限り、開いたままだった。そうした敗退行の中から、データが積まれ、いつしかK-TENシステムが生まれ、ある程度満足な釣行が出来るようになった。
 しかし、まだまだである。問題が多すぎる。しかし、先へ進まなくてはならない。時間が足りない。
 
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 現在、ハイに至る理想的な状況は、残念ながら得難くなりました。房総辺りでは何処へ行っても、独りになれず、声を上げるわけにもいきません。(^^;)
 有名ポイントを避けて、確率を下げてでも狙えれば年に一度ぐらいは味わえるかも。それでも全国を見渡せばまだ場所ぐらいはありそうです。目星は付けてあります。アブナイので実行はお勧めできません。(^o^) 
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 モニターのYBさんから質問がありましたので、補足しておきます。
 水温18度以下の意味ですが、低い水温が、暖かい風で攪拌されて、一時的に急激にサラシ内だけ水温が上昇するからです。(吹き始めに限る。)
 風が吹き続くと、対流現象で暖かい風でも水温が下がるところがあります。

アンケートより…飛びを中心に

初の試みとして、先行モニター販売をしてから一ヶ月半。まだ全ての集計が終わったわけではありませんが、当初の目的のひとつ、本発売前にK2F142の客観的な姿を知る、ということは出来たように思われます。
その間、作動不良等も無く、予定通り本日にも順次、御注文いただいたお店にお届けできることになりました。 協力していただいたモニターさん、テスターさん、ありがとうございました。

ところで、今回のアンケート結果については、皆さんの参考にもなるはずなので、モニターさんに迷惑を掛けない範囲でお知らせしたいと思います。
お聞きしたかったアンケート内容は、使用ロッド、ライン、リーダー、タラシ長さ、体感上の飛距離と深度など、主に使用感についてでした。事前にテスターさんと一緒に数値的なことは把握していたつもりですが、はたして実際はどうなのか?ということです。

まず、飛びについて。これは道具全般と各ルアーマンのスキルに寄るもので一概に何メートルと表示するのは目安に過ぎません。またメーカー側からキュウキョク(私はまだこの言葉は使ったことがない)の飛びとか宣伝したところで、百の品々に埋没してしまいます。そこで、これからしばらくモニターさんの言葉をそのまま使わせていただきます。(私の言葉は一切入っていません)

◆愛知のKさんは…空気の床を滑っていく感じです。逆風時についても、風の無いパイプに入っている感じでいいですね。

◆大阪のHさんは…絶妙のバランスでキャストストレスが全くない点に驚きました。このサイズのルアーでここまで安定した飛行姿勢を保てるルアーは他にないと思います。…

◆高知のOさんは…釣行した日は向かい風でした。それでも60から70メートルは飛んでいたと思います。フローティングでは今までに経験のないルアーだと思います。…

◆神奈川のTさんは…若干の向かい風の中ですが、ものともしない爽快な飛びでした。リールの巻き取り回数から、平均75メートル前後といったところ。…

◆千葉のSさんは…◇◇や◇◇でどうにか届く岩の間に無理なく届きました。というか、その岩を越えてしまい危うくK2Fをロストするところでした。また逆風時に投げてみてビックリしました。…

◆東京のKさんは…「重さで飛ばす感」がとても低く、飛行バランスの良さで飛んでいくスマートさを感じました。今まで◇◇が一番飛ぶかな、という意識でおりましたが、それよりも無理なく、さらに遠くへ飛んでゆく気持ちの良さがありました。…

◆福岡のOさんは…投げると、どこまでも小さな丸い形のままで飛んでゆく。…

◆和歌山のNさんは…14センチのルアーではずば抜けて飛びますね。安定した飛行姿勢を供給するシビアなK-TENシステムに感動しました。…

以上、モニターさんの代表的な言葉を使わせていただきました。中には私には書けない表現もあります。

もちろん、良いことばかりではなく、モニターさんの中には、飛ばないという方こそいませんでしたが、普通だという方もいました。また、姿勢が乱れたという方も。

そこで、考察です。上に挙げた報告例の大半と、上位数値を報告された方々には、ある傾向のロッドとライン(PE2号前後、ナイロンは後述)を使われている方々でした。リールもそれに見合ったものです。
傾向を平均的にまとめると、長目の10から12fで、ルアーMAX表示40から50グラム以上のロッドを使用されています。MAX35グラムだと11f以上ないとパワーを乗せづらいようです。(MAX28グラム表示でも胴に乗せることが出来れば飛ぶロッドもありましたが、スキルが必要です。)
中には短めのロッドで70メートル台の方もいますが、それもご本人のスキル次第です。全体では短いロッドだと報告に約20メートルのバラツキがありました。最近のロッドは、適合ルアー負荷表示が幅広いのですが、実際に投げてみるとMAXの半分プラス程度の重量が(振り切って飛ばすには)丁度良いことが多いようです。それと稀に中堅メーカーに表示通りのものが存在します。
全般に強めのロッドを勧めるようなことになりましたが、釣り味を求める方もおられるのは承知しています。ここはK2F142に限っての飛びについて考察する場なのでお察し下さい。…
◇◇飛ばすためには◇◇
モニターさんの中で数名の方には、私から連絡を取って、ロッドを換えて貰ったり、投げ方を助言したりして確認して貰いました。私も様々なロッドを借りて実際に投げ、正確に計測し直してみました。(写真、100メートルメジャーでラインに印を付けた。54、76とか)
先程の条件に適う道具で、PE1,5号から2号、リーダー40ポンド1メートル、タラシ1メートルで、普通にライナーで投げれば60メートルは軽く超えるはずです。ナイロンは少し落ちますが工夫次第です。
ただ、この普通…が落とし穴かもしれません。今回の件で普通の投げ方が、飛ばすスイングかどうかは、ルアーF歴の長短とは関係ない感じがしています。

26,5グラムのK2F142の良いところは、フルスイングしても反転がスムースで姿勢が保ちやすいところにあります。それは逆風性能にそのまま響きます。ただ、所詮軽いルアー、その場合でも見合ったパワーが要求されます。
反対に、逆風に弱いルアーというのは、フルスイングすると、姿勢制御が難しいのです。力を抜いたほうが飛ぶ場合があります。だから、そういうルアーに慣れていると、むしろ長い経験が邪魔して、何処か緩いスイングが身に付いているものです。
何も全てを無視して飛びが命というわけではありません。この場合、逆風時の理想的な投げ方に直結しているので、確認をお願いしたいのです。

K2F142はその設計上、順風で風に乗せるとき以外は、全てライナーキャストに合うよう特化されています。

意識しても飛ばせない方を何人か見たことがあるのですが、バックスイング中のルアーの位置が毎回イイカゲンでした。また、ガイドが真っ直ぐ揃って居ないこともよく見ます。特にPEは1ミリでも狂わないようにしないと泣きを見ます。

そこで、具体的なアドバイスを。
あらゆる投げること、フライF、ゴルフ、槍投げ等は、バックキャスト、バックスイングが命です。
◇ロングロッドの場合、投げるとき、バックスイングで投げたい方向の180度反対の方向にルアーを振り、ロッドにルアーの重みを加え、(真正面から台風並の逆風を食らっているイメージ)止まる一瞬で振るのですが、その時のルアーの三次元の位置を常に意識することです。(ある程度、タラシに長さがあるほうが位置を掴み易い) 投げる方向軸がズレると、ルアーの振られ戻りが高速で生じ、回転力がルアーに移ってしまいます。
そして、ルアーが飛んでいる間、指がスプールに触れている(いわゆるサミング)方がいますが、これは注意して下さい。飛んでいる間に段付き、あるいは引っ掛かりショックを僅かでもルアーに(ラインに)与えると、ウエイトが戻って失速してしまいます。サミングをするならスムースに、ポイント近くになってからです。それまでは、特に初速時はラインに触れてはいけません。このクセは(内湾やジグ多用、またバス経験が長いと)なかなか気付かないのです。さらに、投入直後は出来るだけロッドティップのブレを抑え安定させることです。これも強く支えればいいというものではなく、ロッドの特性によって異なります。試してみて下さい。

飛びが改善したら、プラスして、一連の投入動作の流れでロッドにルアー加重を与えた直後、投げ始める時、プレ(前)加速ともいうべき、一瞬だけ徐々に加速するようにして下さい。いきなりフル加速するとショックでルアーがブレるのです。
重心移動ルアーが一般化されてからは、とりあえずどんな投げ方をしても適当には飛ぶので、案外イイカゲンな方もいると思います。
これらは小さく重い物を投げる、一般のキャスティング理論とは異なります。そもそも競技は強風ではやりませんし、方向性のある軽いもの(Fルアー)は投げません。振り子や回転投法は、余程短いロッドを使うとき以外は、回転力が残ってしまい安定が難しいのです。
もう一つ例を挙げると、極端ですが、1メートルと3メートルのロッドを想定し同じ1メートルのタラシを付けて比較した場合、投げる動作時間は双方変わりませんが、加速される時間は何倍も違います。必然的に、1メートルロッドなら加速時間を稼ぐために回転投法の要素をいれないと飛びません。でもロッドが3メートル以上あれば直線的に投げてもフル加速に、もっていけるのです。

ここで、シツコクもう一度繰り返します。K2Fはライナーキャストです。逆風では出来るだけ海面に近く沿うようにしてサイドライナーフルキャストです。
飛びについては以上、です。参考にして下さい。長かったですね。(^^;)

今回の件ではメールのやり取りをしているうちに何人かの方に投法についての質問を受けました。言葉でも映像でも伝えるのは難しいと痛感しました。でも質問を受けた方全員から飛ぶようになったと聞いて安心しました。整理して書いたつもりですが、何か疑問や間違いがあれば指摘して下さい。よろしくお願いします。

◇◇体感潜行深度◇◇
モニターさんの使用タックルは、ロッド7fから13f。ルアーMAX28から100グラム。ライン12から50ポンド!。PEとナイロン半々。リーダー20から100ポンド!。長さ60から400センチと非常に幅広いタックル選択でした。K-TENらしいとも言えますが。
当初は匿名で、飛ぶロッドは何々、リール、ラインはこれと製品名で全部公開する案もありましたが、御覧の通りタックルバランスが一様ではないので、物議を醸しかねないと判断し、私なりに消化させて貰いました。飛びについての長い文章もその結果です。

次の潜行深度についても同様です。
普通に引いて、体感では浅いという方で30センチ。深いという方で150センチ!。平均で60から100センチです。
K2Fの場合、深度は淡水、汽水域、リーダーが細くなれば深くなります。
反対に、純海水、サラシ。リーダーが太くなれば、浅くなります。
もちろんゆっくり引けば水面直下となります。
また、遠くに投げ、中速で潜り、低速で浮き、高速でロッドティップに向かう性質があります。

組み合わせれば様々なことが出来ます。参考にして下さい。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
K2F142で釣れた写真、ピンクバック製品版は福岡のWさん。もう連発しているそうです。製品版初です。
マリンブルーのヒラは、千葉のベテランサーファーのOさん。お渡しした翌日、もう報告が。これは2本目。
ヒラマサは、島根のYさん。スゴイ飲まれっぷり。地磯で、連発。
皆さんありがとう。

高知テスター、小田君より

 高知のテスターの小田君から、写真送って貰いました。
 彼はシャイなので、こちらから聞かないと釣った報告がありません。(^^)
 で、噂を聞いて、本人に確かめると昨日、浦戸で117センチ27キロのアカメを釣ったとのこと。それもよく聞けば、10月に入ってから105センチも!(これは重量は判らない)
 両方ともBKS140ノーマルで。K2Fでは?と聞いたら、壊したら勿体ないとか?ウーン、参った、もう補充出来るので、使っちゃって下さい。(^o^)
 
 彼はK-TEN初期からのテスター、大坪さんの一番弟子。磯で同行してみると独特な釣りをします。実力充分なのに遠慮気味なのは師匠ゆずりかも。
 
 これらのアカメはリリースも上手くいったようです。今も何処かで泳いでいて、クシャミでもしてるかな。  
 写真は、一番上が117センチ、下二つが105センチ。

博多、F・ワールドさんにて

 九州、博多のF・ワールドさんに行ってきました。恒例のトレイルで、今回はたまには営業のお手伝い、そして九州のルアー大好きの皆さんにお会いするのが目的です。
 店内のソルトルアー用品は、誰か(Tさん?)のせいか圧巻と言えるほどの品揃え。活気があります。
 
 例年通りなら、お一人づつ、ゆっくり話せたのですが、行ってビックリ。トークが予定されていました!本人が驚いていてはいけません(^_^;)
 それで、二回のトークタイム、主にK2Fのことです。今年からこのブログを始めたので、どれぐらい見てくれているのか興味もありました。一回目はほとんどご存じでしたが、二回目はブログのことを知らない方も多かったです。ネットの情報って、偏りがあって面白いです。
 当然、K2Fのことを知らない方もいるので、ついトークに力が入ってしまいました。それでも毎年来てくれている皆さんも参加してくれて楽しかったです。
 
 残念なことは唯ひとつ。店内の喫煙コーナーが外に移されていて、エネルギーの補充が出来なかったこと。
 でも、かえって良かったかも。会場では遠慮していた初見の方々も、私が店外の灰皿の前にいると、話しかけてくれます。実質、喋った時間はこちらのほうが長かったと思います。
 
 そして、高校二年の彼が来た訳が嬉しかった。かつてBKF使いだったオヤジ(私より若い)の勧めで、息子がK2Fを買いに来てくれたのです。文字通りの第二世代。出来れば一緒に使って貰いたいです。…
 また、今回皆さんとお話していて改めて気付いたのは、ルアーの投げ方のこと。
迷っている方がけっこういることでした。 特にFミノーには一般のボール状、オモリ状の小さく重い物体を投げるキャスティング理論がむしろ邪魔になることがあります。それはFミノーには方向があるからです。
 円運動の遠心力にこだわりすぎると飛ばすことは難しくなります。大昔の石投げ器など回転してもかまわない物ならともかく、重心移動Fミノーには紙飛行機や矢を投げるときのような直線運動がキモになります。
 
 現役世代の多くの方が、初めて触れたルアーには既に重心移動システムが入っていたので、少々いい加減な投げ方をしていても、とりあえず釣りになるので、工夫をしてまで改善する機会がなかったのでしょう。重心移動システムの弊害なのかもしれません。
 年配のルアーマンが経験したように、軽くてどうしようもないルアーを飛ばす投法の工夫は、実は今も役に立っているのです。
 この辺りのことは、いずれ詳しく説明したいと思います。
 
 今回のトレイルでは私も色々と気付かされました。皆さん、またお会いしましょう。
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いよいよK2F142は週末あたりから、本発売でお店に並ぶところがあります。しばらく雑誌等には宣伝しないので、知っているのは、ここを見てくれている皆さんと、ブログで話題に載せてくれて、それを見たルアーマン、応援してくれるお店の口コミに頼ることになります。(^o^)静かに発売します。よろしくお願いします。