K2F142 青物対応カラー

 K2F142青物対応カラー5色を限定発売します。(フックは付いていません)
 今週末までに御注文を頂いたお店にお届けできる予定です。
 今回はお近くのお店に無い場合、少数ながらネット通販でも承ります。  
 
 青物対応といっても、それしか使えないというわけではないのですが、いずれも長年の経験と実績で定評のあるものです。
 以前、機能カラーのお話をしましたが、要するに、何色が良いとかのアヤフヤな理由付けをなるべく排して、水や海況に馴染むか馴染まないか、見えるか見えづらいのか、反射の仕方はどうなのか、といった明確なものを拠り所にカラーリングしてみました。
 
 
 ◆デイライトムーン
 久しぶりの単色の真っ青。青物だから青、ではないです。
 企画は7年前からあったのですが、そのときは凝りすぎてボツになってしまいました。
 見掛けは単色でも、見えない下塗りにシルバーを吹いてあります。また、昼間の月をモチーフにした目はこのカラーだけ印刷とするなど手間は惜しみませんでした。頭の上の点はゴミではなく、金星です。
 よく背中側は魚から見えないといった意見を目にしますが、実際の海面下では空気との境界面でカガミ状になり、魚側からモザイク状に見えている場合があります。またローリングの強いアクションでも背中側はよく見えます。
 だから、これは海色に合わせるというより、むしろ海面を下から見て明るい空に馴染ませるように配色しました。
 馴染ませる→はっきりしないものほど疑われないという効果を期待しています。
 
 
 ◆ローガン
 背にほぼ補色に近い二色を配してあり、彩度もほぼ同じです。
 この組み合わせは、我々にとってはハデハデですが、海中の魚が気にする様子は伺えませんでした。ならば視認性重視です。
 湾内など濁ったところで使うと、辺りから浮いて見えますが、透明度の高い、明るいトロピカルな海では逆によく馴染んで見えます。
 また、私のように視力が衰えてきた方にもお勧めします。最近特に感じるのですが、ミノーがよく見えるということはやはり大きな武器です。
 
 
 ◆アメジスト、透明ホロ
 去年モニター販売があった時はバイオレットカラーがあり、それによって青物や自己最高記録のヒラなどの報告を頂いていたのですが、現在のノーマルカラーからは外れていました。
 そこでモニターさんからの要望もあり、限定ながら反射の仕方などをアレンジして出すことになりました。
 これも単色に見えますが、鮮やかな紫にするため下地に白を吹いてあります。
 反射は箔ほどではないですが、ハーフミラー程度の反射率があり、見かけよりはアッピールが強いです。
 
 
 ◆セグロカタクチ、ハーフホロ
 ボディの下半分にだけホログラムシートを張ったものです。
 こうすると、K2Fの造形の特徴がよく解ります。他のルアーに同じ処理をすると、曲面が目立つのですが、K2Fは外見がバナナ状でも反射はほぼ直線になります。
 効果は単純。反射は細く長く。昔からルアーサイズを落とさず小さな魚も獲りたいときに細めのルアーを選びたくなるのと同じ理由です。
 また、餌になりやすい小魚の反射の仕方は、一筋の線が光るような感じなので、動いているときはごく自然に見えます。
 
 
 ◆HGコノシロ、レッドベリー
 お店やユーザーさんからの希望に添って配色しました。
 強く暗い背カラーと、赤い腹の組み合わせには昔から根強いファンがいます。何故レッドベリーが良い時があるのかは、色々な説がありますが、いずれもコジツケのような気がします。
 だから、実戦上、違いがあるのは事実ということだけをお知らせしておきます。
 スズキにも定番とされるカラーです。
 
 
 以上五色、どうぞよろしくお願いします。
 なお今回の限定カラーには、ケースの中に一枚のカードが入っています。白い物の上に置くと読めるようになっています。
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写真のブリは、今月、四国のUさんがK2Fで釣った6本の中から。いいなー。房総の磯ではまだイナダ級しか釣れてません。 

メダカ、元気の素

 これはグットアイデアかも?次作のルアーに応用できるかも?そう思ってガンバッテみましたが、どうも実釣で試すと具合が悪い。長時間掛けただけに凹みます。
 こんな時、我家には慰めてくれる人はいません。ペットもいません。他人の家の放し飼いの猫や犬が我が物顔でのさばっていますが。
 不意の来客もあり、数日何処にも出掛ける気が起きなくて、日がな一日、庭のメダカを眺めて過ごしていました。
 その間に睡蓮がふたつ咲き、トンボが羽化していきました。
 
 この頃、漸くメダカの稚魚が目立ち始め、この分だと今年もほとんど手を加えずに勝手に補充されそうです。
 七つの睡蓮鉢と、二つのプラ箱が外飼いで、一つだけ小さな水槽は室内に入れてあり、それぞれの環境が異なるので、昨年同時期に生まれたメダカとはいえ、体型や活性には差があります。
 
 この中で、毎年適当な匹数を自然に維持している鉢は限られています。
 まず、餌をやると、ナブラもどきの荒食いをして、巨メダカの多い鉢には稚魚は見あたりません。環境が良いらしく、産卵は活発ですが、それ以上に食欲も旺盛なので、孵化したらアッという間に親に食べられちゃいます。
 私が手を加えないと、次々と寿命を迎え絶滅してしまう鉢です。
 
 また、ほとんど陽が差さない北側に置いた鉢のメダカは元気が今イチ。痩せています。たまに数匹の稚魚が目前を横切っても追うことすらしません。
 放っておくと段々減るので、この鉢には毎年、活性の高い鉢から卵の付いたホテイアオイを一回移すことで数を維持しています。
 
 どうやら外の放置飼いでは、環境が悪いことはもちろん、良すぎても一定の数を維持できないようです。
 活性もほどほどで、適度に共食いをして、5、6ミリになるまで親から逃げることができた元気な子だけが残るというわけです。…
 だからなのか、こうして世代交代を繰り返した我が家の外飼いのメダカ、強いです。夏は40度!冬は氷の下で生き抜きます。ヤゴやエビ、それと猫や野鳥と戦い勝ち抜いてきました。
 それが内飼いのメダカだと水温が5度~35度の間にないと逝ってしまいます。内飼いから外飼いに移すと、しばらくは水温管理してやらないと、真っ先にヘバリ弱いです。
 彼等の活性について、PHとか水質の事を言っていたらキリがないので、元気の素をひとつ上げるとすれば、陽を好きなときに浴びることができ、また避けることができる、ということになるのだと思います。
 
 こうしてメダカの環境のことなどを考えていると、フッとスキー仲間のことを思い出します。
 彼は健康オタクで酒は飲まず、飲み物は若年の頃から吸収が速く人体の体液に近いスポーツドリンクだけでした。
 普段の生活ではそれで良かったのですが、旅先でドリンクが切れ、仕方なく他の飲み物を飲むと、その度に腹を壊すのです。
 人間の持つ、基本的な調節機能を使わない生活をしていると、肝心なときに困ります。
 
 それと、最近のインフルエンザの事。あのマスク。
 健康に難のある方への配慮としては大切だし、掛かってしまったら付けるべきだと思いますが、相手はウイルス。自分に病気がうつらないためにというのならば、どうも様々な点で疑わしい。この手のウイルスが好きな乾燥した冬に強烈なのを食らうよりは、症状が軽くて済みそうな湿度のある今頃に掛かっておいたほうが免疫ができて後々楽なような気がします。
 
 未だに国内死者0という問題に国政や報道がこれだけ大騒ぎするのならば、それより前に、この国で毎日!平均100人近く亡くなっている根の深いビョ―キのほうをもっと問題にすべきでしょう。
 何年も続けて年に3万。今年は3万5千に届くらしく、まだ記憶に新しい戦争並みの、異様な数字です。
 
 活性が高すぎても(バブル等)低すぎても(不況等)いずれ強引な他者の介入が不可避となります。
 メダカを眺めながら、思うのでした。
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 近所のHさんから…先日、磯マルの自己記録更新。太い、太すぎる!(本人談)
 記念に。おめでとうございます。
 K2Fが小さく見えます。 

ヌメリと花

五月からは、房総の磯は全体的に活性が高かったです。もちろん日並みに恵まれれば、の話ですが。今月いっぱいは、いけるでしょう。
暖かくなってくると磯周りでは、小さなアブが発生することがあります。こちらの活性が上がるのは困りもの。釣れないときに肌を露出させて昼寝なんてすると、大変なことになります。

さて、今回は日頃、不思議だなーと思っていることを。
釣り上げた魚を見て、なんて綺麗なんだろうと感心することがよくあります。外洋の魚は特に。

あたりまえの事のようですが、これの理由を説明することは案外難しいことに気付きました。生きているから体表の色が美しいとかは判りますが、それにしても体表に汚れひとつ付いていないのは何故か?

サーフで釣れた魚を砂の上にズリ上げたりすると、砂まみれになります。魚には独特のヌメリがあるから、暴れたりすると悲惨なことに。でもウエーディングしたりして水の中からそのまま上げると砂一つ付着していません。
それは透明度の高いトロピカルな海でなくとも、ここ九十九里のように常時細かい砂を巻き上げているような濁った海から釣り上げた魚も、やっぱり綺麗です。エラの中も鮮血のように赤い。
それどころか、水道水ですら付きまとうはずの水アカにも無縁です。
砂に潜る性質のあるヒラメやエイなども同様です。

一説にあるように、水中だから水と一緒に流れ落ちるという答えだけでは、どうも納得できないのです。それに、一方では体表を美しいまま保つには限度があることも見ています。湾内の一部では、明らかに汚れている魚を釣ることがあります。単なる物理作用ではないということになります。

同じようなことが、いつも見ている花や葉っぱにもあります。
雨風やホコリに虐められても、花の表面をよく見るとホコリやチリ、汚れといったものが、ほとんど付着していません。

試しに造花を、庭植えの花々の傍らに刺しておくと判りやすい。日が経つにつれ、鮮やかだった造花はごく普通に汚れてしまいます。フッ素系の撥水剤をかけておけば、雨による汚れは暫く防げますが、ホコリには無力。ワックスをかけた車でもそうですね。

もっとも花や葉に、汚れが付きづらい理由は、ある程度解明済みと聞いています。顕微鏡で表面を見ると非常に微細な突起が無数にあり、それが外界との境界にバリアーを張っているのです。これが無く滑らかだと、すぐ汚れてしまうようです。研究すれば、様々なことに応用できそうですね。水垢の付かない便器なんてものも出来るかもしれない。 …
魚の体表が汚れない理由は、これよりちょっと難しいと思います。なにしろヌメリですから。
空中でそれだけ取り出してみると、まるで接着剤。反撥水作用のある代物で、むしろ汚れを呼び込みそうですが、実際はご覧の通り。
どう考えてもヌメリには幾つかの特殊な能力がありそうです。細菌すら防ぐシールドを張りながら浸透圧の調整を邪魔しない、なんてゴ◇テックスも真っ青。
これも研究すれば面白いかもしれません。私は臭いの苦手なのでダメですけど。

たぶんヌメリは見かけ以上に速く体表から分泌し続けているような気がします。それで水に触れる境界面では、常に休まず化学反応が起きているのではないか?例えばごく表面、つまり古いほうのヌメリが少量ずつ分解されて落ちていくというようなことが考えられます。(資料を見たわけでも、習ったわけでもないので間違っていたらゴメンナサイ)
興味はあるのですが、生きたままの魚に水を掛けながら、まともな顕微鏡で観察することは至難です。

いずれにせよ、私の個人的な意見になりますが、最後に一言。
サーフでスズキを釣り上げたとき、たまに付いた砂を優しく払ったり、拭ったりしてからリリースする方を見かけますが、どうもそれは余計なことで、離すのならヌメリの能力を信じて、そのままのほうが良いと思います。

質問…ルアーの原理と作り方等

お待たせしました。愛知県のIさんからの質問です。

長文の丁寧なご質問の内容を抜粋、要約させていただくと、自分の希望する動きをするルアーを作りたい。ルアーはどうゆう理論に基づいて泳いでいるのか?ウォブリングとローリングの制御のヒントを教えて。ということになります。
既に二冊のハンドメイドの教本をお持ちで、ネットでも調べたが良く解らなかったとのこと。

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お答えします。
私達作り手はルアー製作を始めたとき、先達の作品を参考にさせて貰いました。そこから試行を繰り返すことで、多くの事を学びました。現在では、市場に溢れるほどルアーがあり、これから作ってみようという方々にとって、お手本には事欠かないと思います。
そして、ルアー好きなら誰でも経験的にこんな形ならルアーは泳ぐ、と何となくでも知っているはずです。しかし、ご質問にあるような「泳ぎの原理」となると明確な答えは難しくなります。

そもそも私達が、泳いでいる、と言っている物の正体は、引くと(力を加えると)バランスを崩し、且つある程度のところで回復する往復運動、または振動している物体ということになります。
そして、水という元々抵抗のある流体の中を移動するものは、形態次第で、また形に加えて僅かの突起(リップ等)や水受け部を設ければ、空気中より遙かに蛇行したり震えたりし易いのです。問題はその程度ということになります。

従ってルアーの泳ぎが、振動または往復運動だと理解すれば、本体が軽いほど、また重心の上下位置関係でバランスの悪いものほど、加える力が少なくてすみます。つまり、リップや水受け部が小さくてすみ、低速でも動き易いということになります。
反対に、比重が重く、重心位置が下にあると、早く強く引くとか、リップを大きくしたりして加える力を大きくしないと動きません。(ジグの動きの原理は異なります)

またミノー等は、ほぼ重心近くを中心にして尾を振り、ついでに頭も振りますから、水の抵抗が減るように前後を絞った形で、さらに前後を軽くして、オモリは動きの中心点に集中させたほうが振動数が上がり、ウォブリングの要素には有利になります。
反対に、オモリを前後に分散させると尾や頭は振り辛くなります。それは、ウォブリングの邪魔にはなりますが、ローリング系統の動きには影響は少ないです。工夫次第です。重心を上げるなりバランスを崩しやすくしてあげれば良いのです。 ただし、現実的には純粋なウォブリングやローリングといったものは無く、どちらかに偏っているだけです。双方が互いの動きのキッカケになっているので、片方を抑えすぎると動きが鈍くなります。
ここからは具体的に、失敗しないハンドメイドルアーの作り方の一例を挙げてみましょう。
これは始めの一体で、コピー元になります。仕上げはそれほど気にしないで大丈夫です。

◇1……二分割した木を両面テープで貼り合わせ、お好みの形に削る。そして、水が浸みないように簡単に仮塗装しておきます。この時点ではオモリやフックの位置はまだ決めなくて良いのです。

◇2……付けたいリングとフックをセットして、好みの位置に糸や針で、仮にルアーに付けます。軟質ワイヤー(あくまでコピー用実験体なので)もテープでルアーの外に貼り付けておきます。ワイヤーではなく、ヒートンを使う場合は、それを所定の位置からぶら下げておきます。

◇3……そのままお風呂に浮かべ、望む浮力と浮き姿勢になるように、紐でオモリをぶら下げます。(写真)その分量と前後位置は外で済ませるのです。決まったら印を付けておきます。(コーティング分の重さは塗ったときに体積も増えるので浮力には影響が少ないです。)

これで本体に見合った各パーツのほぼ正確な位置と分量が決定できたわけです。後は本体の両面テープを剥がし二分して、所定の位置にオモリやワイヤーを入れ組み立てます。

時間を使って見栄え良く作ってしまってから、失敗に気付くのではガッカリです。上のようにすれば、浮き過ぎや予定のフックが使えない、姿勢が悪い等のミスが無くなるので、様々な材質や形のルアーを手早く実用化できることになります。

リップはこの試験体を使って、実際に引きながら、形や面積、位置や角度を、これまたアロンで仮付けしながら(取れなければ良し)好みを探っていくのです。ついでに軟質ワイヤーのラインアイを上下させてみれば、その影響を簡単に探れます。
これだ!というものができたら、ここで初めて正式に図面を作成して、次作に備えておきます。実釣用のワイヤーには勿論堅いステン鋼線を使って下さい。

リップの性質のことは、不親切かもしれませんが、ここではあえて書かないことにします。巷間に言われているように、形や角度等をこうすればウォブリングやローリングになるというのは、その傾向はありますが、その気になれば本体の性質や形次第で、全く逆なことも出来るので、決めつけずに色々試すことをお勧めします。
その方がオリジナルでユニークなものが出来ると思います。ハンドメイドの楽しみでもあります。

そして市販のルアー達も役に立てて下さい。釣りの消耗品とすれば確かに値の張るものですが、それぞれがあまたの努力や工夫の結晶ですから、ハンドメイドの参考品として考えればお得なものです。

以上、ヒントになりましたでしょうか?現在の私の作り方はこれとは大きく離れていますが、私がルアーを作り始めたとき、これを知っていれば良かったというものを書いてみました。

最後にラボ内にはルアー作りのヒントになる事例がちりばめてあります。ページ右上のサイト内検索を活用してみて下さい。例えば「質問…プラグの調整他」「流体の非科学」等、またカテゴリーから各ルアー欄を見て頂ければ参考になるはずです。
ルアー作りは面倒な事も多いですが、情熱を持って作り続ければ、その先に必ず今までとは別種の魚と感動が待っています。頑張って下さい。

お知らせ…TKLM9/11復刻カラー

 日頃からTKLM9/11の御愛用、ありがとうございます。
 今回はTKLMの限定カラーのお知らせです。
 
 約五~八年前に発売した限定カラーの中で、特にご要望の多かったカラーを再販することになりました。
 今月15日から出荷を始めて、20日までには全国のお店に行き渡ります。ただしご注文頂いたお店のみなので、無駄足を防ぐために、事前の問い合わせをお勧めします。
 
 メーカー通販や追加発売の予定もしばらくは無いので、よろしくお願いします。
 
 もしも、お近くのお店で見つからなかった場合、早いうちにメールを頂ければ、当方でできるだけお近くのお店を探すことができます。
 
 カラー名(写真上から)
 
 ◇№8 シラス
 ◇MN ブラック
 ◇R&D ステイルフィッシュ
 ◇MN2 グリーンバック/グローベリー
 ◇SA チャートバック/オレンジベリー
 ◇RQ2 ムーンライトイエロー
 ◇RQ3 サンセットレッド
 ◇SS3 SHJアジ
 ◇SS4 サヨリ

干潮が昼間の磯

 これから初夏にかけては明るい時間帯に潮が大きく引きます。冬期とは逆。
 この時期、特に大潮周りは満潮の朝から刻々と変わる海況を、予め頭に描いておかないと釣りになりません。磯初心者には最初の難関です。
 
 ポイントを聞いたり、調べて行っても磯に立つことすら出来ず、あるいは既にそこに海水が無かったりします。浅い房総ではよくあることです。渡礁やサラシの出具合に丁度良い潮位が、それぞれのポイントにあります。
 
 しかし初心者を自覚する方ならば、この時期にこそベテランから聞いた潮位にだけ行くよりも、朝から干潮まで通して磯を観察するべきなのです。
 例えベタ凪で魚ッ気が無くても、その間の変化や干潮時の地形や海草の状態をよく覚えておくのです。
 
 冬場の暗いときに釣れたポイントや先日誰かが釣ったポイントが、この時期は海底まで露わになって、自ずと釣れた理由を知るでしょう。凡百の解説を読むことより先々必ず役に立つ知識を得られます。
 
 とは言っても、日本全土に目を向ければ、この話は主に太平洋側でしか通用しないようです。
 この仕事に就く以前、日本海の天橋立近辺から越前海岸、能登半島を抜けて、新潟北部まで釣り行脚したとき、潮位差が予想以上に少なく唖然としたことがありました。
 ただその場合も潮流の方向や地形を昼間充分観察することで、何とか初見の所でも釣果を得ることが出来ました。だから、たとえ夜間の釣りがメインだとしても、昼間ポイントを見ておくことはとても大切。観察に適した季節は丁度、今頃。出来れば大潮周りが良いでしょう。
 
 余談…日本だと潮位差は、あっても2メートル弱。(特殊な場所は別)ところがカナダでは干満の差が10メートルを超えるところがあるそうです。見てみたいですね。 

K2F142 フック換装

ゴールデンウィーク中は、ご無沙汰していたモニターさん達から釣果報告を頂き、励まされました。ありがとうございました。
それと適応フックのご質問が相次いだので、ここに記しておきます。ご不明の点があればまたメールお願いします。
K2F142の浮き姿勢は、フックを(0,1グラム単位で)重くするだけで、その分量に応じて少しづつテールが下がってゆきます。
この性質を利用すれば、より繊細なチューニングが簡単に行えます。
例えば純正指定は、大型魚に的を絞っていますが、フッコクラスのフッキングも改善したい場合は、少し細めでその分大きめのフックに換装してみて下さい。
またドリフト系の釣法では、テールを若干下げるとナチュラルなアクションをします。(K2Fの場合)ただし、泳ぎ出しは僅かに遅れます。

そこで142特有の重心移動システムを正確に作動させるために以下の例を参考にして下さい。
推奨フック(スプリットリング#5)
◇オーナー製 ST56#2 ……実物計量1,417グラム(純正指定、大型ヒラ、青物対応、バーブレス有り)
◇オーナー製 ST46#1 ……実物計量1,793グラム(重量の許容範囲、バーブレス有り)
◇がまかつ製 RB―H#2 ……実物計量1,710グラム(大型ヒラ、青物対応)
◇がまかつ製 RB―MH#1 …実物計量1,578グラム(純正に近い重量、中大型ヒラ、バーブレス有り)

要はフック一個あたり1,4グラムから1,8グラムの間であれば、前後同一銘柄でも
フローティングルアーとして使えます。

中大型の青物狙いの場合は、太軸タイプのST56、RBーHをお勧めします。
特殊なセッティングとして、上にあげた例よりフックを強く(重く)したい場合は、フロントフックをテールより重くして、ルアーの姿勢をほぼ水平になるように調整して下さい。
また、より強力なリング、フックに換装する場合は、ルアー本体に多大な負荷が掛かるため、変形、破損が予想されます。自己判断でお願いします。
注意!
強く大きいフックの交換、装着は思わぬ怪我をすることがあります。
スプリットリングプライヤー等、専用道具のご使用をお勧めします。

グラントリノ

 日曜の朝は余りに風が強く、釣りは断念、海岸から急遽ローカル映画館へ。
 選んだのは平日に鑑賞予定だった、クリントイーストウッドの「グラントリノ」 
 内容はネタバレになるから書きませんが、正真正銘ランカークラスのデキでした。
 イーストウッドは齢78。老境に差し掛かってから監督した映画は名作揃いなのですが、どの作品も全体に暗い色調で、淡々と進行するせいなのか、評価の割には客足に恵まれなかったように見えました。
 しかし今回は珍しくお客さんがいっぱい入っていました。お気に入りの監督が正当に評価されるのは嬉しい事です。
 日本だと先の「おくりびと」のように他国の権威に評価されてから遅れて賛辞や客足が伸びるといったことが、映画に限らず多いのですが、これはそうした心配も無さそうです。
 
 私は今日まで、イーストウッド特有の立ち姿を荒野の用心棒(1964年、東京オリンピック年)から、つまり子供の頃から45年間もスクリーンを通して目にして来たことになります。それは日米合わせた俳優の中でも希有な存在なのです。常に前を歩いている大人という感じです。
 
 今までは良い意味で映画内容やラストシーンに、外さないパターンがあったと思えるのですが、グラントリノでは初めてそれを破っています。半世紀に一回だからこそ格別の重みがありました。
 彼の俳優人生の最終段階に、この作品を仕上げたことで、彼がかつて関わった幾多の作品群が壮大なストーリーの断片のようにも見えます。それぞれの作品の結末が別の意味を成し、時を遡り輝きを増すことになりました。ファンには堪らないところでしょう。
 次作も期待できる78歳の先人と、ほぼ同時代を生きられたことに感謝です。
 
 今宵は買ったアジのヒラキで濃い目の一杯をいただいています。
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写真は、たぶん初めて自腹で買ったLPレコード。1980円。
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追記…
 川◇カ◇リさんの訃報を聞き(7月28日)、公式ブログを30ページ程、遡って見ました。
 そこに「グラントリノ」とあり、どうやら彼女が劇場に足を運んで鑑賞した最後の映画らしい。日付を見ると4月29日。ガン治療の副作用に悩まされながら。
 まだ若いというのに、私のような年配者に近い感想が述べられています。締めくくりに「いい歌詞が書けそうだ」とあり、先を知る身としては、感無量になるばかり。
 生ききった川◇さんの、ご冥福をお祈りします。

3分14秒

 例えば波や天候のように、自分からはどうしようもなく、しかも悪意の無い大きな力に翻弄されることは、一種の快感でもあります。一部の釣りやサーフィンが息の長い趣味に成り得ている一因かと思われます。
 自然任せで釣れたり、釣れなかったり、その案配がとても心地良い。釣果までもが、まるで波の様です。
 
 以前はアブレを避けるために、日並みを選んで確率を上げていたようなところがありましたが、この頃は少し違います。若干怪しい日でも気が向けば釣行するようになりました。
 そして変わってきたことがもう一つ。目前の大きな波が怖くなってきました。あの波に飲まれたら、今の自分では耐えられないだろうと想像してしまうからです。
 
 私は過去に一度だけ溺れた事がありますが、その場所は海やプールではないのです。水泳をやっていたとき、当時の個人メドレー世界記録を持つ女性選手が、3分14秒間、息を止めていられると聞きました。そこで仲間と、女に負けられん、と大きな洗面器に顔を浸けて競ったときのことです。
 バカげていますが本気で超えるつもりでした。…で、3分越えの合図があり、気絶一歩手前で堪らず顔を上げようとしたのですが、その寸前で水を盛大に吸い込んでしまい、また洗面器中に突っ伏してしまったのです。人間は洗面器一杯の水があればシねます…。
 サーフィンをやる方だと解ると思いますが、大きな波に飲まれるとなかなか海面に上がれないときがあります。そこでやっと息継ぎしようとした瞬間に第二波を食らうとヤベェーとなるわけです。
 落ち着いていれば大抵の場合大丈夫ですが、それでも最低限の息止めが出来なければなりません。
 
 こうした経験があると自分の限界は見えてきます。新島の羽伏浦というところでは、申し分のない体力と3分の猶予がありながらギリギリだった事がありました。
 今の自分の能力は当時の三分の一ぐらいかもしれない。もう余裕はありません。
 
 実は先日、ルアーテスト中にチョット危ない目に遭いました。抵抗の軽い現行K2F142による釣行に慣れて油断していたようです。
 現行タイプは設定上、ピックアップし易くて、たとえ70メートル先からでも低抵抗故ルアーの回収は容易くなっています。
 テスト中の物は幾分潜り、ラインテンションもアップした物でした。
 遠方から怪しい波が来そうだったので、ルアーの回収を急ごうとしたら根掛かり、退避が遅れてしまったのです。充分過ぎる飛距離が仇となるときもあります。
 この場合、普通ならラインを解放してそのまま後退りし、ルアーは半分諦めるのが鉄則です。しかし、代えが無いものなので、つい踏ん張ることに。これは皆さんが高額のルアーを使う時と同じ気持ちなのかもしれません。危ないです。
 
 海面近くにある同じルアーの挙動は、50メートル先と70メートルでは異なります。ラインが風や流れに弄ばれ、BKF並のテンションのものを遙か遠方でコントロールするのは無理があるし、安全すら損なわれることがあります。
 
 おかげでまた課題が見えてきました。もう少し時間を頂いて、きっとクリアーしてみせましょう。安全に波や流れの中の住人と遊ぶために。 

ルアーテストのこと

新しいルアーを試作しているとき、自宅が海の側ということは便利ではあります。そのために此処に居るとも言えます。友人からは何時でも釣りが出来て羨ましいとも言われます。
確かにルアーの物理的な動きの調整をしたりするのには、常に海水が傍らに在るというのは有利です。

しかし、実際は近くだけで実験をすると、本来多様であるはずの海を勘違いすることがあるので、なるべく方々へ出向くようにしています。磯も河口も千差万別ですから。

試作ルアーを投げるときは、挙動を見ることと、静かに考察をしたいので殆どルアーマンのいない昼間です。それでも何処から見ているのか、しつこくルアーを投入しているせいか、たまに翌日からルアーマンが先行して投げていることがあります。
其処がポイントなら良いのですが、実はテスト最終段階になると、釣ることより試作ルアーの紛失が怖いので、敢えて余り魚が掛からない場所を選んでいることが多いのです。
今更、そこはポイントではない、と言っても良いのか悪いのか?悩んでしまいます。

また製作側特有の事情として、どうしても投げるのは今開発中のルアーが主になります。現在のように実験対象がK2Fの大、中なら自分の普段の釣りに当てはまり気持ち的にも問題ないのですが、これがかつての175やトレバリー用、はたまた内湾向け75等、普段ならその場でチョイスするはずのルアーサイズとは極端に離れたものを投げ続けねばならないときは、たまに困った事が起きました。
例えば、それが大きなルアーの時、秋ならともかく、小さめなルアーも用意しておきたい春なども通して投げ続けるので釣りそのものは、いらぬ苦戦を強いられる事があります。
トップ開発中の年であれば殆どそれのみとなりますから、ルアーに合う場所を新たに捜したりもしました。
製作にあたって本当は完成品を何シーズンも確認したいのですが、それを真面目にやると、それこそ一本のルアーを作る度に十年は費やすことになってしまいます。現実的ではありません。だからそれを僅か数シーズンで形にするために経験やノウハウを蓄積しつつも相当無理をすることになるのです。

面白いのはそうやって強制的に、つまり自由にルアーチョイスが出来ず、それだけしか投げられない立場に自ら追い込むと、自分でも意外な結果に恵まれることがあります。それはルアーに対する頑なな思い込みを融かしてくれることにも繋がりました。
例えば私が外洋で釣った、一番小さいスズキは小ルアー使用時ではなく未だに開発年の175によるものです。そして数はともかく年間を通すと型にはとても満足した年でした。
またトップ開発年では、磯でも反応の良いときが予想以上にあることが判ったのも収穫でした。必要なら、年間トップだけでも、楽しむ方法はあるものです。
もうひとつ私が設計した中で最低サイズの75の時は、外洋近くの自宅から高速道路で東京湾へ通うことになり、かえって大変でした。それに殆ど75のみで年間通してみると……これは想像したとおりでした。数には恵まれましたが。

このところ穏やかな日が続いてテスト日が不足がちですが、ロッドを持たずとも海岸に行って、今度のルアーの性格付けを考えたりしています。142が過酷な条件下で活躍する設定だから、これは…少し優しい性格を持たせようと思います。