K-TEN系、M系の発売年等

先日、K-TEN〇〇の発売年を教えて、とメールを頂きましたが正確には即答できず、後日お答えすることになりました。
調べるうちに、この年には何があったっけ?…と気になりだし、ついでに余計かもしれませんが、その年、印象に残った比較的ポピュラーな映画と、事象、事件をひとつだけ併記することにしました。(カッコ内)の映画はアカデミー作品賞です。

 

◆1986―ここより以前、K-TEN系試作各種 ◇天空の城ラピュタ、愛は静けさの中に(プラトーン) ◇三原山噴火

◆1987―ウッドKF60~125、MKF105、135 ◇アンタッチャブル(ラストエンペラー) ◇NTT株初上場

◆1988―ウッドMKF125、170、BKF140 ◇グランブルー、ダイハード(レインマン) ◇ソウルオリンピック

◆1989―KV90、KLM105、BKF115 ◇恋のゆくえ、ニューシネマパラダイス(ドライビングミスデイジー) ◇ベルリンの壁崩壊

◆1990―BKLM140、BKRP140、BKF125 ◇フィールドオブドリームス、シザーハンズ(ダンスウィズウルブズ) ◇天皇即位

◆1991―KSP90、KJP125、◇ターミネーター2(羊たちの沈黙) ◇ソ連崩壊

◆1992―BKF、BKS90 ◇セントオブウーマン、ラストオブモヒカン(許されざる者) ◇バルセロナオリンピック

◆1993―BKF、BKS75、◇デーブ、ピアノレッスン(シンドラーのリスト) ◇Jリーグ開幕

◆1994―◇ショーシャンクの空に (フォレストガンプ) ◇松本サリン事件

◆1995―BKLM115、BKRP115 ◇リービングラスベガス、ラブレター(ブレイブハート) ◇阪神大震災

◆1996―◇レオン(イングリッシュペイシェント) ◇アトランタオリンピック

◆1997―◇フェイスオフ(タイタニック) ◇ダイアナ妃交通事故

◆1998―ソルティアポッパー170、BKF175 ◇プライベートライアン(恋に落ちたシェークスピア) ◇長野オリンピック

◆1999―M88~128 ◇マトリックス、サイダーハウスルール(アメリカンビューティー) ◇全日空機ハイジャック

◆2000―M148、168 ◇リトルダンサー、グリーンディスティニー(グラディエーター) ◇シドニーオリンピック

◆2001―TKLM90、Mサウンド、Mクワイエット ◇ロードオブザリング(ビューティフルマインド) ◇9,11テロ

◆2002―TKR130M、H、M108SW、◇たそがれ清兵衛 (シカゴ) ◇サッカーW杯

◆2003―TKLM120、TKF130 ◇ビッグフィッシュ(ロードオブザリング2) ◇米軍イラク侵攻

◆2004―◇スパイダーマン2(ミリオンダラーベイビィ) ◇アテネオリンピック

◆2005―TKRP90、TKLM90SW ◇世界最速のインディアン(クラッシュ) ◇耐震偽装発覚

◆2006―◇バンズラビリンス、バベル(ディパーテッド) ◇冥王星が準惑星に

◆2007―TKRP90SW ◇ボーンアルティメイタム(ノーカントリー) ◇食品偽装問題

◆2008―K2F142 ◇グラントリノ、ダークナイト(スラムドッグミリオネア) ◇北京オリンピック

◆2009―K2F142T2 ◇アバター (ハートロッカー) ◇オバマ大統領

◆2010―K2F122 ◇ブラックスワン (英国王のスピーチ) ◇ハヤブサ帰還

なお、2001年TKLMの正式名、TKLM90‐9/11が、例のテロの年に重なっていますが、発表はルアーのほうが早かったので偶然です。

それと、世代は異なっていても皆さんとは同時代を共に過ごしていることは確かなことです。その中にあって共通した体験が出来ることに感謝します。

以下↓ 加筆します。

◆2011-K2F122MS ◇ツリーオブライフ (アーティスト) ◇東日本大震災

◆2012-TKLM90サスペンド、K2R112、K2RP122 ◇リンカーン (アルゴ) 東京スカイツリー

◆2014-BKRP140R3、K2R112サスペンド ◇アメリカンスナイパー (バードマン)3人物理学ノーベル賞

◆2015-TKW140 ◇レヴェナント (スポットライト) ラグビーW杯

◆2016-K2F162、TKLM80 ◇君の名は ラ・ラ・ランド (ムーンライト) マイナンバー制度

◆2017-TKF135TT ◇ダンケルク (シェイプオブウォーター) トランプ大統領

◆2018-TKP115YK K2F142WL  ◇ボヘミアンラプソディー (グリーンブック) ゴーン会長逮捕

◆2020-BKF150、TKLM140G ◇     コロナ禍

花壇とテーブルヤシ

中学三年生の頃、しばらく園芸部に在籍していたことがありました。
男子は一人だけ。女子におだてられ、ホイホイ入部してしまったのですが、つまりは穴掘りとかの力仕事要員だったわけです。女の子といえども侮れません。
興味を持ち始めた登山をやろうにも山岳部が無かったので、身体を鍛えるのには丁度良かろうと、そのままスコップを振るうことになりました。

時期的に受験を控え、他のクラブ活動も鈍っていたのですが、それ故に返って意地になっていたのかもしれません。
晩春から荒れた50メートル程の花壇を耕し、片っ端から種や苗や球根を植えていったのです。夏休みに晴天が続けば、水やりに登校したのですが、私は花とは無関係のタイプに見えるらしく、当直の先生に見つかると不審がられたものです。

何となく恥ずかしくて、なるべく人前の作業は避けていたものの、日に日に芽吹いてくるのが楽しみで苦にはなりませんでした。
そして二学期が始まるくらいから、予想以上に花々が咲き乱れました……。

ここで、とてもガッカリしたことを覚えています。
花ひとつ無い花壇から大変化しているのに、毎日傍らを通りながら、ほとんど誰も目を止めないのでした。先生達も顧問も、報告せずに勝手にしたこととはいえ、国語の先生以外に気付いた様子はありません。
「そういうものなのか」これが私の感想でした…。
以来、植物への関心は長い間、高山植物、またそれが身に付ける小さな花々に限られてきました。持ち帰りは絶対不可の植物群です。
それは中年になるまで続きましたが、庭の手入れをするようになり、ようやく普通の植物にもそれなりの関心を持てるようになりました。
とはいっても伸び過ぎたら切るとか、野鳥の糞から成長したケヤキをそのまま育てるとか、部屋の観葉植物に水をやるといった程度なのですが。

◇テーブルヤシ
だから生活習慣のせいばかりではなく、うっかり枯らしてしまった植物もたくさんあります。
部屋には緑が欲しいので、観葉植物では有名どころのポトスやベンジャミン等を置いていましたが、基本的に放っておくのが好きなので、たいてい大きくなり過ぎて、ある日いきなり弱ります。更新のやり方は解っているのですが、なかなか出来ないのが現状です。
そんな私でも枯らしたことがないのがあります。サボテンとテーブルヤシです。 サボテンは二十年間凄まじい生命力を保って毎夏、本体に似合わない巨大な花を咲かせ続けています。
もうひとつのテーブルヤシ(写真上)は最近その素晴らしさに気付きました。これ、室内で氷点下にならなければ一年中鮮やかな緑を維持するし、元々強い光を嫌うので、陽が差さなくても窓際であれば、たまの水やりだけでOKです。
何より年数を経てもほとんど大きくならず、古くなった葉が綺麗に枯れてくれるので手入れの必要が少ないのです。
独身者とか、まるで植物に関心の無い奥様のおられる家庭には最適な観葉植物だと思います。ルアー一個分で買えるしお勧めです。

ルアー対象魚?

 年々、ルアーの対象魚が拡がる傾向があります。その理由はともかくとして、特定の魚種に集中してしまうことを避けるためにも、また、せっかく得た休日を季節や天候を問わずに楽しむためにも、歓迎すべき事なのでしょう。
 
 私や身近な釣友が、今までハードルアーを使って、海岸から釣ることの出来た魚種を挙げると、
 スズキ全般、青物全般から、アカメ、サメ、エイ、タコ、イカ、この頃ではメイン魚種の仲間入りしたヒラメ、マゴチがあって、カサゴ、ハタ、マダイ、クロダイ、タチウオ、メバル、ボラと続きます。この辺りまでは認知度から言えばポピュラーかもしれません。
 それが釣り人生で一度きりクラスになると、マンボウ、スナメリ、まともなサイズのイシダイやメジナ、キスまでハードルアーで釣れています。そして極め付きはタツノオトシゴがフックに絡み付いて来たというのですから驚きます。
 
 その内に、今までルアーの対象とは考えられなかった魚を狙うことに、情熱を傾けるルアーマンが登場するかもしれません。
 新しいメイン魚種と成り得るのは、生息数が多いことが条件になりますから、なかなか難しいのですが、地域限定の魚や釣り方なら、まだ余地は有りそうです。それにトライしている当人からすれば相当楽しいと思います。どんな釣りでもテーマを設けると飽きませんから。
 
 そして、未だ見ぬ魚を得るための道具は、既存のメーカーの先導で作られるより、個人的なハンドメイドの作り手から発信される可能性のほうが高いでしょう。突飛なルアーと魚が現れそうです。 

秋のシーズンに間に合うように

写真は現行K2F142リップの別バージョン、T:2の現物です。塗装方法が市販と違うのでイメージは変わります。

K2Fの開発当初から予定していたものです。詳しい説明は発売直前になってしまいますが、まずは一報を、と思い載せました。
それにしても今年の夏は天候の不順に悩まされますね。夏は夏らしくあってほしいのですが。

アカメの便り

 先週、相次いで高知から嬉しい報告を頂きました。
 「アカメの国」と連携して、忙しい仕事の合間にも奔走して、標識放流に尽力しているお二人からです。
 まずOさんから、重すぎて重量を量れなかったというアカメ。 
 ロッドCPSとノーマルフックBKF140の組み合わせだから、相当丁寧なやり取りだったのだと思います。お見事。
 続いてUさんからは、遠くで掛けて、よく引いたというミドルクラスのアカメ。
 K2Fで釣りたいと言ってくれて、言葉通りの一匹。こちらのほうは強いはずのフックが伸ばされています。アカメ恐るべし。
 今年も元気なアカメの姿を見られるのは、私もとても嬉しいです。

ルアーと車(1999年)…自選エッセイ集より【23】

 海に近い、田舎の一人暮らしだというと、気ままにのんびりと生活できて、いいですね、とよく言われる。
 そんな日もときにはあるのだが、日常はけっこう賑やかだ。釣り仲間の出入りがあるのはもちろん、電話は都会にいたときより頻繁に鳴る。
 釣りの話なら大歓迎なのだが、予期せぬ相談事や、得体の知れない所から、お墓を買いませんかとか、イタズラファックス百連発とかが、昼夜問わず有り、静かな生活とはほど遠い。
 そんな中、このひと月は、釣りの事よりS2000はどう?という電話が増えた。釣り仲間には、前々から車を買い換えると言ってあったからだと思うが、同好の者は意外に多いらしい。
 理由はともあれ、海岸に直接車で入ることをやめて十年。以前は四駆を乗り継いだものだが、これで、二台続けてスポーツカーを選んだことになる。
 狭くて荷物は積めず、リクライニングはできず、時計もない。ただ走り、曲がり、止まることが得意な車。定速に乗せるのに、6回もギヤチェンジしなければならない車。車内にロッドを入れるのは、魚をタモに入れるより難しい。
 強いて便利なところをあげれば、幌を上げてオープンにして、ウェットスーツを乾かしながら帰れることぐらいか。
 それと大事なことを忘れるところだった。慣れ親しんだいつもの道が、新鮮で、運転中眠くならない。当たり前だが、風は常に逆風。前からの風を浴びて気持ちいい。何故か私は逆風が好きなのだ。
   ◇ウォブンロール
 ところで、車とルアーって、共通するところがあって愉快である。
 車の挙動というか、運動性を突き詰めて設計すると、やはり重心が大事になるという。よくできたスポーツカーは全体の計量化から始めて、そのハンドリングのためにエンジンとかの重量物を低く、またできるだけ前後車軸の間に置いて、前後末端のバンパーに近い部分は軽くしてある。
 今度の車はその点徹底していて、バッテリーやスペアタイヤまで中央に近づけてあった。こうすると、ハンドリングが軽快になり、挙動も制御し易くなる。人車一体感に必要な要素だ。
 ルアーでいえば、全般に外皮、つまりプラスチックやコーティング部分があまりに厚くなると、ローリングしづらくなるし、前後のアイ部分が重くなれば、ウォブリングしづらくなる。
 だから、ハンドメイドルアーを大事にするあまり、コーティングを追加で厚くするのは、着水してからの運動性を低下させることになる。
 また、車もカーブ中ローリングしている。難しい話は避けるが、そのロールにも軸があって、車体前後で異なっている。設定は技術者の腕の見せ所である。 
 これはルアーにも応用できる。それぞれのルアー固有の泳ぎの本質でもある。
 このことをよく知れば、たとえ原子力潜水鑑であろうと、リップを装着して鯨のように泳がせて、なお乗員を船酔いさせないものが設計可能ということだ。  
   ◇リップ
 リップといえば、車にもある。リップスポイラー。揚力制御とダウンフォースを目的として、前部バンパー下に付く。流行のエアロ仕様などに、よくある。
 これは、時々ひどいものを見かける。特に族車の通称チリトリはルアーのディープダイバーに見まがうばかりの大きさだ。彼らが釣りをやっていてくれれば、それを付けると車体がどうなるか解りそうなものだが、なんと、暴れて浮き上がろうとする後輪を巨大なフスマのようなリヤスポイラーで強引にバランスさせている。当然過大な空気抵抗とダウンフォースで前に進まない。いっそのこと、スポイラーをもっと押っ立ててヨットにしたらとも思う。
   ◇馬力
 国産車では、自主規制(最近、無くなった)で二百八十馬力が上限。一見スゴイが、かってのF1のターボ時代だと、排気量千五百CCで千五百馬力を発生できた。馬力だけ上げるなら、技術的には缶ビール一本分の燃焼室があれば、二百馬力も可能ということだ。だから、市販車改造のチューニングカーの世界では六百馬力級がゴロゴロある。そこで、難しいのが、その力を路面に伝えることのほうだ。
 ルアーでいえば、飛距離を伸ばすためだけなら、重くすればいいといったようなものだから、重さは馬力のようなものだ。重心移動システムなら、移動錘を重くするだけだ。
 ただし、そこで、ロッドとか、ラインとか、様々な要素がバランスしていないと、軽自動車に六百馬力を積んだようなことになる。
 私の設計したもので言えば、海水に浮くというのが二百八十馬力規制として、上限の二百八十馬力のものを数点用意したが、他の機種は百九十馬力でバランスさせたものなど、様々である。全アイテムで馬力競争するつもりはない。
   ◇リール
 スピニングリールはハンドル軸からの入力を九十度転換してローターに出力するのだから、機構的には車のディファレンシャルに近い。また、ベイトリールのスプールの軽量化の目的とするものは、車のアルミホイールの目指すところと同じだ。材質も鋳造から鍛造へ高級化する様も似ている。
 そこでどうせなら、耐久性も参考にして、車のようにギヤボックスをシーリングして、ドレンボルトでオイル交換できるリールはできないものか。それに極圧剤の入った非ニュートン系オイル(回転体に絡み付く性質がある)でも入れておけば、水中でも使えそうだ。
   ◇味
 こうして、ルアーと車のふたつの世界を覗いて見れば、いずれの製品も、ただ糸を巻いたり、泳いだり、走らせたりする機能だけなら、何も何倍もの差額を出してまで高性能の車やリールやルアーを買わなくても、十分実用に耐えるものはある。
 それでも、我々に欲しいと思わせるものというのは、実用以上の何かがあるものだ。しかも、製品の味わいは車も釣り道具も同軸上にあるのだから、良くできたリールの操作感から、良い車や、良いハサミとかペンチの操作感も容易に想像できる。
 車の乗り味、リールの巻き味、ルアーの引き味?それと、そもそも魚の引き味。どれも人間が生きるためだけなら、必要のないものである。なのに、素晴らしいものばかりではないか。
 
 今度の車は、平成十二年度排ガス規制値を五十パーセント下回る。いわゆる環境適合車だが、用もないのに乗り回す事が増えたので、環境に優しいとはいえないのであった。
 味も程々に、ということか。
 
 
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
1999年9月に岳洋社さんのSWに掲載されたものです。
 文中のS2000は今年6月に生産を終了したということです。
 実車も見ないで予約し、入手してから約10年。ディーラーからは買い換えを誘うメールが間を開けずに届きますが、私はこのまま乗り潰すつもりです。K2Fの擬似風洞実験には欠かせない車なので。  

質問…ラインを変えると等

 宮城のYさんからのご質問です。
 即答出来るところはメールで直にお答えしましたが、中に普遍的な質問が含まれていたので、ここでお答えすることにしました。
 長文の質問内容を勝手に要約させて頂くと…。
【サーフウェーディングがメインで10数年の経験がある。かつて釣果実績が良好だった方法とルアーでやっているのだが、最近釣果に恵まれなくなってきた。釣り方やルアーを変え試したところ、そこそこ釣れるようになったが小型が多い。 昔のようにスローに引いて゛ぐおん゛とかのアタリで口にガッチリ針掛かり、そんな釣りがしたいのだがどうも巧くいかない。リールやラインを変えたせいなのか?それとも何かが変わったせいなのか?アドバイスを…】ということです。
 
 ではお答えします。
 長い年月に渡って同一の釣り場に通っていると、何処でも誰でも年によって好不調の波を否応なく浴びることになります。
 サーフの地形変化、天候の不順、餌となる小魚の絶対数、海流の蛇行、魚の小型化等、我々には歯が立たない原因によることが多いです。
 しかし、我々自身の変化によって釣果が左右されることもあります。
 
 例えば以前良く釣れた時のリトリーブスピードを再現しているつもりでも、リールやラインを変えただけで思った以上に狂ってしまうことがあります。(当然良いほうに狂う場合もあります)
 近距離ではそれほど影響はありませんが、サーフのように風があり遠距離の釣りになるほどその差は顕著になります。
 リトリーブスピードは、ラインを細くすると50メートル先では速くなり、太くすれば遅くなります。理由はスプールから放出したラインの巻き径が変わるためです。極端に言えばスプールに巻いた全量のラインが一度に出切る太いラインなら、手で巻く速度を変えなくても50メートル先では、スピードが半減しています。
 したがって、細いライン、大きいリールほどスピードの変化は少ないということになります。
 
 それとサーフでは太いラインの使用は風や海流、波による糸フケが出やすくなりますから、着水直後から数メートルのルアーの挙動は想像したものとは違うかもしれません。
 ここに使用するルアーの性質を重ねてみると…Yさんが多用されていたBKF115では、最近のシャロー専用のルアーと異なり、ある程度の潜行能力がありますから、ラインを細くしたら意識的に着水後のリトリーブを遅くしないと以前と同じようなルアーの挙動にはならないはずです。
 ラインやリーダーを変えると、数十センチ単位の泳層変化は簡単に起こります。
 
 潜行能力のあるフローティングルアーは、その辺が強みであり、弱みでもあるのです。
 これらを意識して、良型が釣れたときを再現できると良いのですが…。
 
 その他の細かいアドバイスは、プライベートのメールのほうに添付しておきます。

侵食

日曜夕刻のニュースで、海水浴場が砂浜の侵食等で閉鎖に追い込まれていると聞きました。今年は不況も手伝い全国で70数カ所になるそうです。
資料によると、海水浴場としての海岸以外に釣りの有名なポイントも目立ち、気になります。そして、侵食のスピードが速く対策が必要な所も、別個に70数カ所指定され、其処には我が家に近い海岸も含まれていました。

年寄りと話しても、昔はもっと砂浜が海に延びていたと言います。たった人間一世代分の時間で、遙かに大きいはずの自然の営みに異常な動きがあったことになります。
原因は主に大河川上流のダムによって、土砂が堰き止められてきたので、砂が補充されないからだと浸食に詳しい専門家が説明していました。また、対策としての消波ブロックは、それの入れ方によっては隣の海岸の侵食が進んでしまうこともあり、難しいのだそうです。
後数十年で消失と予想される砂浜もあり、恐ろしい話ですが、私はちょっとだけ別の事を期待してしまいました。岸からすぐドン深になると聞き、スズキが釣りやすくなるかも?と一瞬思ってしまったのです。しかしこれは不謹慎でした。本来あるべきはずの自然の姿を失うことは恒常的にはマイナスに働くことが多いからです。

砂浜といえば高校生の時、授業をサボってまで取った運転免許(校長もサボって同じ教習所にいたのでお咎め無し)が嬉しくて、友人を乗せて湘南へ初ドライブに行った時の事を思い出します。
記憶を辿った砂浜は広大なのですが、確かに最近見た其処は、ずいぶん小ぢんまりとした感じを受けます。子供の頃見た記憶の中にある景色は、大人になってからのそれよりも全体に大きく見えるのは心理的な錯覚もあると解釈していたので、正確な判断が出来なかったみたいです。
思春期に見た夜明けの砂浜は、感傷ゆえに大きく見えたわけではなく、本当に大きかったようです。

これから国政や自治体でも侵食に対策が練られると思いますが、我々釣り人にも出来ることがあります。
同じ砂浜に興味を持って通い続けられる人なんて滅多にいないから、その視点に立って写真や記録を残しておくことは、将来貴重な資料になるかもしれません。私は気付くのが遅れてしまい、説得力のある写真は撮っていませんでした。
たとえ公には役に立たなくても、何十年も経てば数夜の酒の肴にはなることを保証しましょう。
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写真は我が家から近い侵食されている海岸のひとつ。沖にあるのは消波ブロック。

カッター

 写真は、いつから使い始めたのか思い出せない愛用のカッター。交換した替え刃は数知れず。
 木を削ったり、プラスティックのバリを取ったり、リップの形を整えたり、また日常の細々とした事にも活用しています。
 よく見ると、黄色のグリップの親指をあてる部分を、エポキシの白いパテを盛ることによって延長させてあります。
 こうすると、刃先と親指がさらに近づくので、力がいらず、指にマメもできず、長時間の作業が快適になります。そして何より、作業に熱中するとよくあった怪我が減りました。
 こうした物作りの道具は、ひと工夫加えると、とても使いやすくなります。
 グリップと言えば、私はロッドのグリップも、もっと馴染むようにと形を整えたりします。こちらのほうは、より良くなる場合もあれば、やり過ぎてかえって使い心地が悪化したものもあります。また、その辺りの感触は、好みが年々変わっていくことに気付いたりするので面白いです。 

好都合なデータに

 公共工事が盛んな頃、幹線道路脇でイスに座って、交通量を量るためにカウンターをカチカチさせているグループをよく見掛けました。
 頭の中が魚のことばかりが占めていたときは、そんなに正確に数えて何をする気なのだろうと無関心でした。
 しかしその後、東京湾横断道路や四国と本州間に多くの連絡橋が建設され、全容が明らかになると大規模な工事ほど計画当初の予想交通量が、例外なく多い方に外れていることを知りました。また、地方空港建設計画等にも同様に楽観的に過ぎる予想が見受けられます。
 相当な予算を使ったであろう事前調査とそれに費やした労力は、何処かに消し飛んでしまったようです。事業の完遂後、予想と現実との余りの差異に、民間ならば責任の在処を問われることになりますが、幾つかの言い訳で済んでしまいました。
 経緯から常識で考えると、建設が認可されるために必要且つ望まれた数値が予めあるので、調査は綿密にやったという事実さえあればよかったということになります。
 この手のデータを最終的に扱うのは、とても頭の良い人達ですから、改ざんなどしなくてもどうとでもなるのでしょう。
 
 と、ここまでは世の常として嘆きの種になるだけなのですが、私の関心はこの時、その事業を始動させる立場にある人、あるいは官僚といわれる人達に心の葛藤があったのか、どうなのかにあります。
 この場合、彼等の優秀な頭脳をもって調査データを客観的に分析し、将来の交通量を正確に恣意無く予想したものが提出されていたら、おそらくあの二つの橋は出来ていません。
 一方で、利権やその他諸々を配慮し、如何に目標に満たないデータが集まっても、何かしらの理由を付けて認可が下りるであろう数値を捻り出して提出すれば、橋は出来ます。始めに結果有りきです。
 私のような者がいたのなら、悩んだ末、前者を選ぶと思うので、早々と追い出されるでしょう。
 その後の人事で出世した人が何を担当していたのかを見れば、あの時本当は何があったのかが判るかもしれません。…
 都合の良いデータにするために使う何かしらの理由というのは、実に様々な方法があります。大抵、せっぱ詰まると平気で分母のほうに手を入れます。合わせて~率とかの都合がよい任意の年度データを援用することで如何ようにもなります。
 もっと身近な例では、魚体に有害物質が蓄積しているとして、キンメダイがやり玉に挙がったことがあり、一時売れなくなる騒ぎがありました。
 庶民に解りやすくということで、何グラムに対してではなく、何キレとかの曖昧な分母を使い、影響の大きそうなマグロよりキンメに意識が向かうようになっていました。
 似たようなことが、CO2削減目標やゴミのリサイクルについても伺えるので残念です。
 
 この先、釣りに関する事柄でも、海に何か建設する計画が持ち上がれば、必ず何処かに有利なデータが公開されるでしょう。精査することを怠れば、取り返しのつかないところまで行きそうです。
 毎日TVでは政治家が賑やかですが、どう見ても時折顔を出す官僚達のほうが頭が切れそうです。彼等が先のような選択の際、せめて心には葛藤が生じていて欲しいと願うものです。
 相手の心の葛藤なんて見えないし無意味では?そうゆう疑問が湧くのは当然ですが、けっして無駄な事とは思えません。少なくとも私の場合、お役所的な組織を相手にするときは些少な問題に対してでも、結果やその後の希望を伴う大事な要素でした。それは同じ言語が通ずるか否かの境にあるものだからです。
 
 
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明日はタックルハウスへ。第二リップに決着つけてきます。