◇ギャップ一 大阪の夜、編集長との泥酔中の約束から始まった、このエッセイだが、本来の私は文章を他人に読まれることが、大の苦手なのだ。 高校の時、滅多に提出したことがない作文を、突然、ことわりもなくクラスメートの…
タックルハウスデザイナー二宮正樹がお送りします
◇ギャップ一 大阪の夜、編集長との泥酔中の約束から始まった、このエッセイだが、本来の私は文章を他人に読まれることが、大の苦手なのだ。 高校の時、滅多に提出したことがない作文を、突然、ことわりもなくクラスメートの…
砂浜のルアーフィッシングでは、ポイントが絞れないとき、しばしば浜の続く限り歩いてしまう。 ウエイダー姿で何キロも歩いていると、先行者の真新しい足跡を幾すじか見つけた。目で辿ると霞むような遠くに人影があった。 この足…
先月のNZ遠征では、船に十日も乗りっぱなしであったが、荒天に阻まれて三日しか満足な釣りができなかった。 本命ポイントは外したものの、そこはさすがにNZ、初めて行ったミドルセックスバンク(スリーキングスの先)というとこ…
我が愛車が、また海に落ちている。と言ってもナビゲーション画面の中でのことだ。個人向け市販第何号とかの、古い機種なので今のナビにあるような補正機能が無く、百メートルぐらいは走行中の道からズレてしまう。 東京湾横断道を走…
今年で十四回目のシーバスパーティを終えて帰って来たところだ。前夜は相変わらず、ほとんど寝ずに酒を飲んでいた。帰宅途中、睡魔に襲われ、堪らず車中で休んだら、顔にハンドルの跡が付いて困った。私の車はリクライニング出来ないの…
かつて、その容易さと数釣りの魅力で浮気していた内湾のスズキ釣りから、再び、外洋スズキ主体へと志向を改めた頃。 まだ、K-TENも無く、逆風下の釣果倍増の方法も知らず、情報も乏しく、連日のアブレの中、試行錯誤に明け暮れて…
我が家のトイレの壁には、数枚の地図と細長い地球の歴史年表が貼ってある。 これを見て毎回(何が?)思うことがある。 たしか、日本の広さを本当に理解したのは、みずからオートバイに乗って一気に北海道まで駆け抜けたときだった。…
◇空飛ぶマンボウ この連載の4番目で、マンボウのことを書いたことがある。そこで、フックアップと同時に四百メートル急潜行されて、ラインが切れたと話した。後日、読者から、それ、水圧で死んだのでは、という意見があった。 …
◇決まり文句 まだ、海のルアーマンが一般に認知されていないとき、つまり、イシダイ師やメジナ師から怪訝な目で見られながら、ルアーを投げていた頃だ。 知り合いの漁師と、魚を捕るには、どんな日がいいのか話し合ったことが…
長年釣りをやっていても飽きないのは、きっと、水の中の見えそうでいて、見えにくいものを相手にしているからだろう。 我々、陸上の者とは、水面という境界で分断された身近な異世界があり、その中に棲む相手は、見ようとする意志、つ…