開発者が語る”tsuno”

弓角とメタルジグを融合させたハイブリッドジグ”Tsuno”は、 2015年5月に発売が決まりました。
開発者として、この製品について簡単にですが解説させて頂きます。

「そもそも”弓角”とは何なのか?」

日本古来の疑似餌「弓角」について。
古墳時代後期に“弓角”と呼ばれる擬餌針を使用した曳釣り(トローリング)の原型が考え出されました。
“弓角”の素材は、鹿の角、牛の角、貝殻、鯨の骨、などで作られ、マグロ、カツオ、青物等の漁を行っていたようです。

近年になりますと序々に人工の素材に変化してきました。加工技術の進歩により弓角の素材は合成樹脂が中心となり、疑似餌やルアーの命と呼ばれている光、色を自由に表現出来る様になりました。
弓角自体にはほぼ自重は無く、船からの場合”潜航版”岸からの場合”天秤”等の重りを併用して、表層から中層を曳いてくるスタイルが一般的のようです。
現在でも行われている「曳縄漁業」「サーフトローリング」という言葉でピンとくる方もいるのではないでしょうか。

DSC_6778.jpgのコピー

「現行のメタルジグに感じていた課題。」
進化を続ける”メタルジグ”とその課題について。
メタルジグも始まりは漁具として誕生したようですが、現在これを用いた「ジギング」は皆さんもご存じのように、スポーツフィッシングを代表する一つののジャンルとして幅広い年代に楽しまれています。
ルアーとしての進化は、近年のPEラインの普及が追い風となり、メタルジグの形状やアクションは多様化し、狙える魚種、フィールド共に広がりを見せています。

様々なジグ

メタルジグは、その使用特性上、基本的に高比重の金属ボディで作られるため、同じルアーでもインジェクションプラグなどと比べ、カラーデザインのバリエーションが乏しいという欠点があるように感じていました。
例えばクリアや透過性を表現することは難しいため、数種のホログラムシート貼りや、塗装による彩色が一般的で、形状やアクションほどの進化は見られません。

また、その使用状況も相まってメタルジグには元来、”塗装が剥がれ易い”という弱点がありました。
塗装の強さに定評のあるP-Boy Jigの場合、金属の本体に何層かの樹脂を重ね、アルミシートを貼り付け、更に樹脂を重ね、彩色を施し、また樹脂を重ね完成させます。この工程で、およそ0.5mmの厚さになります。他のジグに比べますとかなり丈夫に作っていますが、海底にぶつかったり、船べりに叩き付けられたり、或いは、魚達の歯で傷つけらますと、他のジグと同じように本来の光や色が消えてしまいます。

「課題から見えてきたイメージ」

3年近く前にやっと1つのイメージが湧いて来ました。最先端のメタルジグに弓角の樹脂を貼り付けたら、今までに無い光や色を持ち、さらに例え傷が入ってもその光と色を失わない丈夫なジグを作れるのではないかと・・・
光や色を表現している樹脂は約3.5mmの厚さがあり、ネジとボンドで接着しています。

Tsuno パースのコピー

片面が高比重の鉛、片面が低比重の樹脂で、その組み合わせが独特のアクションを生み出しています。
速いジャークの連続では、その合間にキビキビと派手にフラッシング。
スローなジャークでは、静止時にはっきりとした食わせの間を演出。
ジャーク後にラインスラックを意識すると、コントロールしやすいスライドアクションも特徴的です。
逃げ惑う小魚を意識した輝きで、青物に大きくアピールします。

アクション図4

ボトム付近では甲殻類を意識したリフト&フォールで、底物にも効果抜群。
鉛の面を下にしてユラユラとフォールしたのち、テールから水底に向かいます。

細身のボディでありながら、スロージグのようなロングフォールは、比重差の大きいボディを持つ”Tsuno”ならではと言えます。

アクション図3

この独特の動きと弓角素材独特の魅惑的な光と色が、新しいジギングの世界を作り上げてくれます。

最後に販売価格についてですが、150gが2850円、190gが3000円。

価格について、「とにかく一度市場に出し、皆様からの感想を頂こう!」
という結論に至ったのは、1991年に発売したP-Boy Jigでの経験があったからです。
当時P-Boy Jigは世界で初めて”ホログラムシートを張り付けたメタルジグ”として、満を持して発売したのですが、価格も高くなかなか認知して頂けませんでした。
しかし発売から1年後には爆発的な人気を博すようになりました。
それまでメタルジグになかったホログラムシートの輝きが魚達を魅了したお蔭だと思っています。

201505161625461771のコピー

その後現在までに、メーカー各社からホログラムシートを張ったジグやルアーは幾つも発売され、市場でP-Boy Jigは特別な存在ではなくなりましたが、ルアー業界の技術革新に、僅かでも貢献できたことは誇らしく思っています。

このハイブリッドジグ”Tsuno”もP-Boy Jigのように、もしくは重心移動システムで新しいミノーの在り方を提示したK-TENのように、ルアーフィッシングの世界に新たな変革を起こし得る可能性を秘めたルアーだと感じています。
タックルハウスは常に、革新的かつ高品質な製品をアングラーの皆様に届け、フィールドからの声を聴き、共に進化し、魚を手にする喜びを共有していきたいと思っています。

弓角とメタルジグのハイブリッドジグ”Tsuno”で是非新しいジギングの世界を体験してみてください。

web

TN150g
Length Weight sale date price
169mm 150g 2015/May(5月) ¥2850
TN190g
Length Weight sale date price
179mm 190g 2015/May(5月) ¥3000

5月発売!ハイブリットジグ”Tsuno”
ハイブリットジグ名称決定「Tsuno」
新製品開発状況 ハイブリッドジグ

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加