シンキングと、シンキングワークス。

K-TEN ブルーオーシャンのミノーには、フローティング、シンキング、不定期生産のサスペンドがあります。CONTACT ブリットペンシルは、フローティングモデルです。これがいわゆるノーマルモデル。そのほかに、「SINKING WORKS」というモデルの設定があります。このSINKING WORKSは、MやTKLM、TKRP、CONTACTフィードポッパーにも設定がありますが、他のシンキングと何が違うのでしょうか。

2005年TKLMシンキングワークス発売時のWEBサイトトップページ画像

フィールドテスターの方々の声

私たちタックルハウスは、ルアーメーカーとして市場に製品を送り込むにあたり、基本的には社内でデザイン、設計を行っています。しかし、創業当初より、現在で言うところのフィールドテスターに当たるような社外のエキスパートの方々に実際に製品を使用していただき、その声を参考に製品の改良、新製品への反映等を行ってきました。

フィールドテスターの方々からのご意見は、ユーザーサイドに立ったご指摘も多く、私たちが気づかなかった点を知ることができるので、現在でも非常に大切に考えています。時には、私たちが思いつかなかった製品のご提案をいただくこともありますが、そのまま製品になるとは限りません。製造上、販売上の都合から、フィールドテスターの方々の声を参考にしつつも、本製品には全てを反映し切れないこともあります。その時点での市場規模を考えて諦めてしまうこともありました。そのほかにも「限られた人にしか理解していただけないのではないだろうか。」「特殊な釣り方、限られたエリアでしか通用しないのではないか」等々。

WORKS PROJECTの誕生

しかし、ある時、そんな萎縮した考えはよくないのではないかという声が上がり、車のレースで言うところのプライベーターに対するワークス的な立ち位置で、フィールドテスターの方の声をそのままに作り上げた製品をリリースしてみようではないか、となり、WORKS PROJECTを立ち上げたのです。

長期にわたり販売を続けるのは困難なことは予想されましたが、まずはエキスパートの皆さんの意見をそのまま形にできれば、仮にその生産数量が少量であったとしても、その後により使いやすいモデル、汎用性の高いモデルを作成するのは容易になるのではないかと言う狙いもありました。

限られた性能に特化させすぎると・・・

プロジェクトがスタートし、フィルドテスターの方々の声を基にした新製品をリリースする中、既存製品でフローティングのみのラインナップへのシンキングモデルのリクエストや、K-TENブルーオーシャンに至っては通常のシンキングモデルより重いモデルのリクエストが複数のテスターさんから上がってきました。理由を聞いてみると、「誰よりも早くナブラにキャストするために」、「誰よりも早く狙ったレンジに到達させるために」、「飛距離は稼ぎたい、でもジグは使いたくない」等々、エキスパートの方それぞれに、ここ一発という時のルアーとしての必要性が高いということなのです。

ウェイトを増やすことによって、相応に飛距離は伸びます。シンキングスピードも速くなります。よりヘビーなタックルで扱うことができるようになります。しかし、重量増によるデメリットも生じます。本来の設計上のアクションがスポイルされ、活躍できる状況が限られてしまうことになります。通常のシンキングにさらにウェイトを追加する場合ではデッドスローで一定レンジをキープするのは正直厳しくなります。それでも必要性があるということでリクエストに応える形でプロトタイプはできあがったのですが、予想はついたものの本来の設計意図から外れる部分が出てしまいました。早い話が、ちょっとやり過ぎ。それでも、いざプロトタイプを作成し実際にお使いいただくと、テスターの方々の言う「ここ一番」と言う状況に対応させるためにおいては、十分なプラス効果が多く見られたため、注意書き的な意味を含め「シンキングワークス」として、市販化に踏み切ることとしたのです。

レギュラーラインナップを補完

SINKING WORKSは、性能バランスの偏りから、メーカーとしてその製品だけでリリースすることは難しい製品です。しかし、レギュラーラインナップが存在することにより、そこに、人によってほんの少し足りなかった部分を補うことで、シリーズとして存在価値が増すことになったのです。

WORKS PROJECT から生まれた製品

写真は2001年、2002年のカタログのもので、WORKS PROJECTの初期のコンセプトを表したものです。SINKING WORKSだけでなく、湖用のラージシケイダーや、扁平リップのTKF、300gを超える重量級のP-BOYジグ等もこのWORKS PROJECTから誕生して行きました。

もちろん、企画を進めて行く中でデビューにこぎつけることができなかった製品もあります。原因はコストだったり、技術だったり、市場規模だったり。それでも開発段階での様々な試行錯誤は、その後の製品開発の役に立っています。一度は立ち消えになったプロジェクトが、もしかしたらまた復活することがあるかもしれません。

<WORKS PROJECT 生まれの現行製品>

ラージシケイダー

湖での「ハルゼミメソッド」に対応させるためにシケイダーを大型化

TKF-130 Force

TACKLEHOUSE量産製品で初のワイドリップを搭載

int.

TACKLEHOUSEヘビーウェイトミノーの礎と言える製品

ソルティムック

ウッドメイドのソルトウォーターゲーム用ポッパー

<SINKING WORKS>

K-TEN BLUEOCEAN
M
TKLM
TKRP
FEED.POPPER

BRITT.