ツインクル、その後。

1982年(昭和57年)に誕生したツインクル。今回は、その後のバリエーションについてお届けします。

トラウト以外にも、ツインクル。

現在、タックルハウスのルアーにはブラックバス向けと称したラインナップはありません。しかし、創業後しばらくしてブラックバス向けの商品を扱っていた時期があります。前回の記事、一番最後にある年賀状の写真に小さく書いてありますが、バルサ50というルアーブランドです。社長の渋木がスミスに在籍していた頃にはスミスで販売していたバルサ50ですが、スミスを退職してしばらくたち、製造元のアルファ&クラフト社(のちのスポーツザウルス)とスミスとの契約が終了し、新たに販売契約を結んだのがタックルハウスでした。契約期間中はタックルハウスとしてはブラックバス向け商品の製造は遠慮していたのですが、数年してアルファ&クラフト社との販売契約が終了したため、それからしばらくの間は、ツインクルのバリエーションとして、ブラックバス向けの商品も製造・販売していました。

今回の記事を作成するにあたり社内を探したら、昔の商品ラインナップのリーフレットが見つかりました。現在の製品カタログが88ページですが、当時はこの一枚でした。

確実な記録が手元にないのですが、K-TENがまだないので、少なくとも1986年より前のものです。当時からのユーザーの皆様は色々と記憶が蘇るのではないでしょうか。

ミノーの他、ファットボディのクランクベイトやスイッシャー、ペンシルベイトやポッパー、ウッドプラグではありませんがスプーンまでラインナップしていました。基本的にタックルハウスとして製造、販売していたものは全てブランドネームがツインクルでした。

1983年にはシーバスを始めとするソルトウォーター向けプラグをツインクルSとしてリリースしていました。「サーファー」は、カタログ落ちした後も生産量はごく僅かでしたが復刻しました。ギャビーは腹側にリップを取り付けてあり、現行品のヴァルチャーの原型とも言える構造になっています。

どれも価格は2,000円台後半から3,000円台。当時は今に比べると円安*(1983年5月234.78円、1984年5月230.67円、1985年5月251.57円)で輸入ルアーは非常に高価でしたので、これでもお求めやすい価格として設定したものでした。

*日本銀行時系列データサイトより

こののち、ブラックバスルアーについては異なるブランドネームを与えられることとなるのですが、それはまた機会を改めてお届けします。

モデルチェンジを重ねて

Gijieさんのアーカイブにある通り、現行のツインクルは5代目。デビュー当初は止水域での使用を前提としたミノーでしたが、それまではスプーンやスピナーが多く使われていた流水域でもミノーを積極的にキャストするアングラーが増えてきました。河川の多い日本では、古くから渓流でのイワナ、ヤマメ釣りが行われており、また養殖ニジマスの放流も行われ、フィールドの多さから河川のアングラーの数は湖より多くなり、ツインクルもモデルチェンジするごとに流水域に適したものへと変化してきました。

現在のラインナップはフローティングとシンキング、そしてリップが大きく寝ているシンキングディープダイブの3タイプ。45mm,60mm,75mm,90mm,104mm,123mmと、6つのサイズバリエーションとなりました。

現在の派生モデル

ツインクルレイク

モデルチェンジを経て流水域向けへと変化したオリジナルモデルに対し、改めてリクエストが出てきたのが止水域用のツインクルでした。2001年に誕生したツインクルレイクは、そう言ったアングラーの声に答えたもの。すでにプラスティック製のトラウトミノーが市場には数多く存在した頃でしたが、湖に特別な思い入れのあるアングラーの皆様にとっては、ウッド製のトラウトミノーはなければならないものでした。とは言え、需要が読み切れない(多分少ない)のと同時に生産可能数量も少なく高価になるのは必至だったため、初めは直販のみの対応でした。

止水域でのローリングのためにボディのカーブは直線に近づけ、ウェイトについても微調整を施し流水域モデルに比べて後方よりに重心を移してあります。デビューから20年近くに渡り蓄積した技術により専用形状のリップを作成し、キレの良いアクションと深度を問わず水平姿勢で自然な泳ぎを見せるようになっています。

流水域に比べてサイズの大きなトラウトと対峙するためにコーティングやワイヤーの強度を高め、シングルフックを採用するなど、魚に対するインパクトを考慮する釣り人側の考え方の変化にも対応させました。

外見は変化していますが、ペイントアイの黒目の比率は1stモデルに合わせ、現行ツインクルに比べて小さめになっています。

ツインクルミュート

2006年に登場したヘビーウェイトモデル。主に渓流での釣りで、よりアグレッシブなスタイルとして広まってきたヘビーシンキングミノーを用いたスタイルに対応するために誕生したモデルです。

ツインクルスリック

ミュートと同じく2006年に誕生。上のリーフレットにあるNo.16ツインクルトィッチャー(スローシンキングペンシルベイト)の経験を生かして制作した、リップレスボディのツインクルです。

ツインクルレイクトローリング

2008年に誕生した、それまでラインナップになかったレイクトローリング用ミノーです。ヒラヒラと舞うようなアクションを引き出すための背びれ様の突起は、プラスティックミノーのバフェットで培ったスタビライザーフィンからフィードバックしたもの。ウッドプラグの可能性を探り続けている中で得た、一つの形です。

復刻・限定モデル

ツインクルサーファー

タックルハウス20周年を記念して企画、2003年に発売。シャローをノタノタと泳ぐウッドならではのアクションはデビュー時と変わりなく、1mmステンレスヒートンワイヤーや、2.5mm/5mmのシートアイ、淡水モデルとは異なる型押しのアルミシート、ノンコートリップなどの仕様も完全再現しました。サイズは135mmと160mmの2タイプ。160mmモデルは、3本のフックを装着させました。ご購入後も仕舞い込まず実際にフィールドでご使用いただけるよう、保証書を作成し、ユーザー登録をしていただくことで修理対応できるような体制をとって発売しました。

ツインクルサーファーJUN

タックルハウス30周年を記念して企画、2014年に発売。ウッドプラグに重心移動を組み込むにあたり、K-TENではボディに直接ウェイトルームとなる穴をあけていましたが、ツインクルサーファーでは、改めてウッドプラグへの重心移動機構の内蔵に挑戦し、新たにカセット式の重心移動機構を開発し搭載しました。

ツインクルのこれから

誕生当時に比べると日本のルアーを取り巻く環境も随分変わり、プラグについては今やプラスティック製が市場のほとんどを占めています。実際に私たちもツインクルに代わることを目標としてバフェットシリーズをリリースしました。しかし、ウッドプラグには依然メリットがあるのも事実。性能的にはやはり水がらみの良さからくる独特の泳ぎ。そして製造面では、プラスティックに比べ少ない数量でも製品化できるということ。ニッチなニーズには、ウッドプラグは対応しうることになります。

また、プラスティックプラグであっても、新製品を開発するにあたってはまず木を削りフォルムを試すこともありますし、製造時の扱いにくさは、プラスティックプラグの製造のトレーニングになる面もあります。20年前、ツインクルレイクの発売時に選択したWEB直販は、限られた数量の製品を必要とする方に確実に届けるための苦肉の策でしたが、昨年の海外向けブルーオーシャンの国内限定モデルに至るまで役立っており、不定期でもウッドプラグを製造することが、タックルハウス製品全体の製造・販売について必要なことになっています。

最終的に企業としての判断は需要と供給のバランスに行き着くわけですが、幸い昨今のテクノロジーの進化、デジタル環境の整備により、40年前に比べるとエンドユーザーの皆様との距離が非常に近くなっています。ツインクルを必要としてくださる人には、また、これまでとは違うツインクルをこれまでとは違う方法でお届けすることができるかもしれません。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加