質問…リップが無くても

 Nさんからの質問です。
…略…以前、雑誌か何かで「K-TENブルーオーシャンはリップが無くても泳ぐ」という記事を目にしたのですが、ブルーオーシャンの全てのタイプ(S/F/SP)がリップが無くても泳ぐということなのでしょうか?それから、どんなアクションで泳ぎ、どれくらいの深度まで潜るのか、教えていただけると有難いです。…略…
 
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 Nさん、お待たせしました。
 
 ブルーオーシャン(以下BO)の2本フックフローティングミノー、BKF175、140、115、90、75は、リップを完全に取り去ってもリトリーブで泳ぎます。しかし、シンキング系、ワークス等、重すぎるものは通常リトリーブでは動きづらくなります。(シンキングペンシルにはなりますが)全てのタイプが無条件で泳ぐというわけではないのです。
 細身の125、3本フックタイプだけは、フローティングであっても、リップを全て取り去ってしまうと、目立つアクションはしません。リップを少しだけ残しておけば、最近何処かで見たことのある動きになります。
 
 先に「泳ぐ」と書きましたが、その解釈となると使う人それぞれ、ある程度の開きがあると思います。ウォブリングで尾を振ることを指すのか、ローリングだけで泳ぐと言えるのか?定義は幅広いものです。
 大多数のミノーはリップ、あるいはリップに相当する水受け面が無いと通常のリトリーブではほとんど動きません。
 
 BKFは、リップ無しでトゥイッチ等の特別な働き掛けをしなくても比較的低速からウォブンロールします。ただし、その振動数(キビキビ感)はノーマルからするとかなり少なくなり、水面直下をフラフラ、ヨタヨタした感じで泳ぎます。引いて潜るということはなくなり、超シャロー専用ミノーに変身できます。
 欠点、あるいは制約があるとすれば、リップが無くなると当然、水に食い込む力が弱まり、素直に引いている方向に向かおうとします。だから、ロッドティップが水面から離れないように引くことが条件になります。また、高速で引くとバランスが破綻して水面から飛び出します。これでアッピールするのも一手ですが適正スピードがあるということです。
 これら基本的な性質はフローティング、サスペンド、シンキングと共通していますが重くなるにつれて要求スピードが上がり、更にキビキビ感を失っていきます。ある程度、ロッド操作でキッカケを与える必要があります。(それでもシンキングペンシルとしてはまだ敏感なほうです)
 
 以上は全くリップを取り去った場合のことです。
 実際は、ノーマルリップを2ミリづつ削っていっても10近くのバリエーションになるのです。(ノーマル深度からドシャロー専用まで)
 
 かつて今ほどルアーバリエーションが無かったとき、各地のアングラーにお会いして、実に様々なBOを見せて貰いました。彼等は独自の引き方や、リップ削り、フック換装によって、ほとんどのシチュエーションをフルカバーしていました。以来、私は、いくら自分が設計したルアーといえども、使い方まで指定するのは失礼にあたるのではないかと、聞かれない限りその手の情報は控えめにしてきました。
 
 そして、BOリップ削りでの注意点ですが、超シャロー専用以外はある程度残して、少しずつ現場合わせをすることをお勧めします。爪切りでカットした後、ヤスリで整えると簡単です。
 また、BO系だけではなく、私の設計によるものは、シンキングといってもフックを外せば水に浮くものばかりです(理由は以前書いた)。全般に軽い作りなので、特にシンキングペンシルとして使う場合は、重いペンシルより繊細な操作を要求されます。元々泳ぐ能力が残っているわけですから、その強みを生かしてみて下さい。最近のドリフト系の使い方には合っています。
 
 余談になりますが、現在のルアーは各シチュエーション毎に分派して、何々専用とか選びやすくなりました。しかし、メリットばかりではないと思います。各地の自然が都合良く同じであるという前提で~専用と言うのならば、そこには無理があります。
 リップもデザイン上、頭部と一体になっているものが多くなり、チューニングは返って難しくなっています。
 そこでBOの後継である最新のK2Fのリップは意識して独立したリップにしました。必要に応じて少しならチューニングが可能です。ただしK2Fのリップを完全に取り去ると、目に見える泳ぎは消えます。(Rユニットとムービングウエイトによって微妙に動いていますが。)BOとは異なる点です。
 
 Nさん、以上が回答になります。お手元にBOがありましたらぜひ遊んでやって下さい。 

Posted by nino