イージス艦と
この日は魚の反応の薄い日で、やっと1本フッコを上げた後、場所移動中にイージス艦が居たので撮影。日常の海に現れると、軍艦である以上に異様な威圧を感じます。
細部を見ると、昨今有りがちな経費削減したような部品、装備がありません。必要なら全部採用するといった贅を極めた造りです。他の艦艇より鉄の塊であることを主張しているような造形も相まって、この海に浮かんでいること自体に違和感がありました。
以前、海上で初めてイージス艦を見たときは、中央部の艦橋の幅が広すぎて、前甲板と後ろ甲板を行き来できるスペースが外部に無かったので、なんて不便そうな造りなんだ、と思っていました。
今よく見ると、ドアが二つあって前後を結ぶ通路はあるみたいです。それでも人が移動するのには最低二つ以上のドアを開けないとならず、相当面倒なはずです。前後で声も届きそうにありません。
人間が普通に前から後ろに歩いていけない船。どうも私がイージス艦に馴染めないのはこれに起因するようです。
有事の際、情報処理を得意として一度に数多くの敵と交戦できる新鋭のイージス艦からすれば、甲板はミサイル発射口があって歩きづらいし、内部は相互に通信で済むから肉声が通らなくてもよいのでしょう。艦体を密室化するのは確かにあらゆる攻撃方法に対処するため合理的ではあります。しかし、故障というありふれた現象に会った場合を想定しているようには見えないのです。
例えばあのドア周りなら、外部からの小さな被弾でも歪ませることぐらいはできそうです。精巧で頑丈なドアほど、僅かな枠の歪みで開かなくなるものです。余計なことと知りつつ心配するのは私があの震災時、近所の傾いた家からおばあさんを外へ出そうとしたとき、余震で歪み、ドアもサッシも開かなくなって暗闇に閉じ込められたことがあるせいかもしれません。
イージス艦も外から見ると極端に窓が少ないから、電気が途絶えた段階で、昼間でも内部は真っ暗になる部屋だらけになりそうです。 被弾も故障も想定外なほどの自信が外部の造形に現れているのは、いかにもアメリカ風の設計に見えました。攻撃する相手さえモニターでしか見えないのでは、バーチャルに過ぎます。
イラク戦争のとき、ミサイルの先に付けたカメラの映像と、それを誘導している兵士をニュースで見て、言いようのない嫌悪感を覚えました。密室の中のゲーム画面のようでした。あれなら余計な感情に惑わされずに命令通り躊躇うことなく操作できるのかもしれない。国民の総意として躊躇うことが飽和まで達してこそ終戦が早まるのに。
だからこそ、実際に見えること、肉声が聞こえることの大事さを考えるのです。例え戦艦であっても、兵士が普通に甲板を歩けて、海を眺めることができるようにして欲しい、と思います。
ディスカッション
コメント一覧
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Rubyイトーさん、お久しぶりです。
そして真意を理解していただいてありがとうございます。
ご指摘のとおり、軍用の船や飛行機には機能美がありますね。目的にまっすぐ突き進む純粋な造形だからでしょう。
その先にあることを受け止めることができないまでも、デザインには学ぶものがあります。
また、商業的に不純なものを付け加えて作ったものより、私の造形的な志向と親和しているような気もします。
ただイージス艦は名の由来になった盾のイメージ通りならよいのですが、調べるほどに実体は、やられる前にやる、という攻撃艦です。名前で成功した例ですね。
当然のごとく日本の艦は、これを建造した当事国のものから肝心なオプションを外されたものでしょう。名の通り、盾ぐらいの機能が主体だと思われます。
ではまた。
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私のような若輩者は、(少年の憧憬的な感覚ですが)
異様に張り出した、おそらくはレーダー機器が敷き詰められた
艦橋も「これぞまさに神の盾」なんて、むしろ機能美すら感じて
おりました。
K-TENルアーにも、この戦艦のような突き詰められ、プルーフされた
機能美を感じており、実際私はそこに\”萌えて\”いるわけですが^^;
さすがK-TENを生み出す感性でみると、着眼点がこうも違うのかと
感動して拝読しました。
目的は違えど、イージスにもK-TENルアーにも同じベクトルを
感じます。
人間の感性とデジタル信号の差異が無くなりつつある昨今、
軍事とはいえ自然への畏怖と、人の生との対峙に
もう少しライヴ感があるべきではとの提言には
激しく同意します。