重心移動システムの磁石について

Tさんからご質問があり、個別にお答えしましたが、ここでもう少し詳しく使用磁石についてご説明したいと思います。

現在、弊社の重心移動システム入りのルアーには、フェライト磁石とネオジム磁石を採用しています。

細かく言うとフェライトにも種類があるのですが、広く一般的なものに使用されているものです。比較的安価で形、規格とも色々あります。基本鋳物なので、錆びることはないものの、強い衝撃には欠けてしまうことがあります。
ネオジム磁石はCDプレーヤーやハードディスク、携帯を振動させるためのモーター等にも使われています。より強い磁性を持たせることができますが、レアメタルを含むため高価です。
こちらは錆びやすいのですが、ルアーに使用しているものは、硬質な表面処理をしてありほとんど心配ありません。


この二つをそれぞれのルアーの設計上、相応しいものを選んでいるわけです。
例えば球(おもり)を幾つ着けるのか。ルアー内部のスペースの余裕。浮力との兼ね合い。前後バランス等と、鉄球や磁着タングステン(特殊)の性質をスリ合わせて決めています。

そして、弊社のルアーではあえて磁力を抑え気味にしています。
理由は投入時のショックを抑えて長期使用に耐えられるように、つまりルアー破壊による危険を避けるためです。(ブログ内、エッセイ禁断の重心移動システム、参照)

また、永久磁石という呼び名がありますが、残念なことに電磁石でもない限り、磁力は年々落ちてゆきます。(減磁)安定環境では100年に数パーセントということですが、実際は熱が掛かると磁力が下がる等、使用条件が様々なので、数年で体感できることもあるようです。

そこで磁力の大半が失われても、ルアーとしては成り立つように設計しています。
リップ付のミノー系は、引くと頭が下がるので錘が戻りやすく、問題は少ないです。しかし、リップルポッパー系やペンシル系は引き方によってはそのアクションが大きく変わることになります。
そういう時は別物のルアーとして活躍して欲しいと願うものです。

注。磁力の自然経年劣化以外に、稀にいきなり磁力を失ったかのような症状がでることがあります。原因は、磁石の割れ、水分の混入による錆等が考えられます。
製品が比較的新しく、大きなショックを受けた形跡も無いのにそうなった場合は、弊社か、いつもの右下メールアドレスにご連絡ください。

Posted by nino