K2F122…アタリ針、共振?

K2F122,開発状況

 `ルアー´という言葉、とっくに日本語になっているようなものですが、特許関係などお堅い表現を好むところでは、分類上擬餌針と表記されています。
 現在のハードプラグを一様に擬餌針と呼ぶことには抵抗があるのですが、古来、実用として在った擬餌針、つまり骨や貝、羽等を材料にしたバケには、未だに教えられるところがあります。
 そうした擬餌針には外見は同じものなのに稀にアタリ針と呼ばれるものがあります。親しい漁師に頼むと、妙に恭しく勿体ぶった素振りで見せてくれました。そして主に引き釣りのヘッドについて、その輝きや形状の僅かな違いを語ってくれました。
 漁師(真面目な)が日常で数限りない試行を繰り返し、その中で厳選したものをアタリ針と呼ぶとき、それは私たちの使う多様化したルアーのように、明白に判る泳層、色、動き等の違いより、もう少し微妙なところに焦点があたっています。
 
 漁師の道具を見ると、遊びで多種多様な擬餌針を持つ私たちよりも品数が極端に少なく、擬餌針の淘汰の末か、一見どれも似たようなものばかり、そこにあるのは実質のみ、です。
 ルアーマンはこうした考えから距離を保つ宿命にありますが、その実質へ向かう追求心は見習いたいものです。
 
 
 以前、TKLMの欄に少し書いたのですが、私はハンドメイドを量産してみるまで、自分自身の設計したルアーの中に、稀にアタリ針が発生することに気付きませんでした。
 商品としては製品間に違いがあることは出来るだけ避けねばならないのですが、ウッドハンドメ唯一の重心移動システム入りルアーだった故、重心の位置と遊びが三次元で微妙に異なっていたのです。
 長い時間、その現象の解析に費やしたように思いますが、それは主に共振とか共鳴といった性質から来るものでした。 水中でルアーが動くとき、ある条件が重なると鋼球錘が生き物のようにブレ動くのです。だからといって、大袈裟にこれが釣果を飛躍的に向上させるなんて言うつもりはありません。魚に対する効果からすれば、その形状や泳層、アッピール力等、明らかに差のある性質のほうが優先されるはずです。 
 この微妙な違いによる効果は、10パーセント向上するのが精一杯かもしれない。でも悪い方向には行かないことは確信しているのです。どんな小魚も定位しているときですら完全に静止することはありません。
 
 だからK-TEN系全て、メインウエイトを横方向には固定していないので、何かしらの音がします。これは音が良いというからではなく、音を消すことより(簡単、球を二本のレールの上に乗せるだけ)総合的に考えて優先することがあったからです。
 
 また、共振を応用出来るようになっても、実釣上ではルアーの抵抗となる太さの異なるラインやフック換装があり、こちらの思惑通りにはなりません。そこである程度強引に制御しようとRユニットを考えたわけです。
 これも初期~TKR~現在まで、少しずつ変化してきました。K2FのRユニットでは、それで動かすというより、メインウエイトの横方向の動きを補助するという役目になっています。
 今度の122は二個目のタングステンウエイト球を、ある周期で動かすためにユニットの配置を工夫しました。図の上下を比較して見て頂くと、ユニット、メインウエイト、それと腹フックの位置関係に違いがあることが判ります。この間に目指すものがあるのです。(あった)
 
 
 ★ここで提案なのですが、予定通り春(初夏より早い)頃先行発売できるとして(本発売は夏以降)、この10パーセントの詰めの部分を、ここをご覧頂いている皆さんと一緒にやるというのは如何でしょう?
 例えばRユニットと??をブラックボックスとして、その質量を変えたものを数種、先行して発売(店舗販売)し、ご意見を集約した後、本発表~通常販売に移行できれば、と考えています。
 もちろん未完成品をお渡しするわけではありません。既に充分以上の能力を有しているルアーなので、その上を目指すわけです。ただし、結果、本発売時に採用見送りの仕様が出るはずです。その場合はレア品としてご愛用頂ければ幸いです。ご容赦下さい。
 あまたのルアーが世に溢れる昨今、142モニター販売の時、皆さんにお世話になったことが忘れられません。122も142を応援頂いた故に製作出来ました。また密なお付き合いをお願いしたいのです。
 
 いずれにせよ122の発売二週間前には此処でお知らせできると思います。此処を毎日見ることを強要したくはないので、たまにご覧頂ければ入手できるように充分な数量は作るつもりです。
 ご意見等、お待ちしています。 

Posted by nino