車と房総小旅行

 先週、普段は三カ所に別々に暮らしている母と姉と小旅行に行って来ました。 とは言え、場所はいつも釣りやルアーテストで通い慣れた所に近く、目新しいことは何も無い筈なのですが、意外にも驚くことが多くて楽しめました。
 房総勝浦の雛祭りなんて、見る気もないときは国道が渋滞するだけで、釣りの往復には障害とすら思っていたのですが、女性陣の希望で初めて中心地を歩いてみることになりました。男一人、ドサッとお土産を持たされるのは覚悟の上です。
 
 祭り会場の駐車場へ行くにも私の車では人数が乗れないので、レンタカーです。それもハイブリットカーのプリウス。
 この車、低速で人混みをかき分けるとき、ほとんどエンジン音がしないようで、人が気付かず避けてくれません。不意の飛び出しもあります。クラクションは鳴らしたくないし、危ないです。
 こうゆう場合、私の車のエンジン音なら避けまくってくれる?ので、えらい違いです。
 
 プリウス自体は思いのほかトルクがあって、扱いやすく、燃費は謳い文句通り、私の車の二倍は走りました。
 これで、通い慣れたいつもの道を走ると、目線の高さや、尻に感じる路面の感触が全く違うので、何処か遠くの初めて通る道のように思えました。
 
 宿泊は、これまた自宅から真夜中に飛ばせば四十分ぐらいの所にあり、小さな半島の根元に一軒だけ、戦前からある由緒ある旅館です。
 この辺一帯の海は常時禁漁区なので、あまり縁がなく、以前から興味がありました。今回のようにロッドを持たないときにこそ相応しい、と選びました。
 旅館のサービス内容も料金からすれば満点です。食事時まで広い和室からゆったりと穏やかな海を、陽が沈むまで眺めることが出来ました。
 
 旅中、海沿いの国道を走っていると、いつも自分が如何に海側ばかり見ていたのか気付かされます。山側一面には春を告げる花畑が連なっているというのに。
これも飛ばす気になれないプリウスのおかげでしょう。八日ぶりの雲一つ無い晴天の下、たっぷりと水を吸った花々が嬉しそうでした。  
 
 私の車、車高を下げた十年前の超初期型S2000は、現行のマイナーチェンジ後のマイルドさも、トラクションコントロールの類も付いていないので、未だに緊張を強いられるのです。
 家族を最寄りの駅まで送り、再びレンタカーから自分の車に乗り換えると、尻から四十センチぐらいしか離れていない駆動輪から伝わる振動が、私の日常は、此方にあるのだと容赦なく語り掛けてくるのでした。

Posted by nino