ウエットスーツ

 友人の薦めに従って、ヒラ専用のオーダーウエットに替えてから暫く経ちました。それまでダイビング用の堅い古いタイプを着用していたので、羽が生えたかのように動きが軽くなりました。
 それに裏が起毛してあり、快適な暖かさに包まれて、冬でも苦になりません。
 
 ウエットと聞くと、泳いで沖根に渡るというイメージがありますが、房総ではそんな使い方をしている方は少ないです。それに、大抵の好ポイントといわれる沖根は渡船業者が権利を持ち、立ち入ることは問題になります。
 元々、平均的に磯が低いので、たまに石鯛師も着用しています。
 ウエーダーだと180センチ足長の方だと余裕で渡れ、背の低い方だと無理というような微妙な所がけっこうあります。不公平ですよね。
 私も10年ぐらい前までは、気楽にウエーダーで渡れる所を好んでいたのですが、さすがにこの頃ではルアーマンが増え、ポイントの選択幅が狭くなってしまうので、ウエットの比率が増えました。 全員ウエーダーだとポイント渋滞が起きそうなところがあり、多くの釣り人を分散させる意味でも役立っています。
 
 だから、今後必要なのは、相互のマナーでしょう。ウエットはウエーダーに比べて有利な分、ウエーダー組に気を使わなければなりません。彼等のルアーや仕掛の前方射程範囲にドカドカ入ることは避けるべきだし、挨拶し合うことも大切になってきます。
 
 そして勿論、しっかりベストを併用してのウエットのメリットは安全面にあります。
 ウエーダーでギリギリ耐えられる、足下を洗う波は、身体にフィットしたウエットやタイツだと余裕です。ただし、その余裕は限界値を上げることになり、ウエットでさえ耐えられない波を食らえば、取り返しのつかないことに繋がります。油断は禁物です。
 
 また、私が各地へ出掛けて、周りが全員ウエーダーのときでもウエットを着用することがあります。磯の高さは充分あっても、大荒れの中で万一誰かが落ちても救助出来るようにするためです。
 ウエーダーで海に飛び込むのは自殺行為ですが、泳力のある人のウエットなら何とかなる場合があります。
 
 それなら荒れているときは、やらなきゃいいじゃないの、という声が聞こえてきそうです。一般常識で言えばその通りです。
 この辺は趣味の領域になるのです。危険全てを取り払うことは可能かもしれませんが、幸いまだ法律で縛られてはおりません。(ローカルルールがあれば尊重しなくてはなりませんが)
 海では荒れたら禁止、山では岩登りは禁止、スキーでは急斜面は禁止、サーフィンでは大きい波は禁止。そうなったら安全この上ないですが、少なくとも私みたいな人間は、人生を謳歌できなくなります。そして、ルアーを作ることも…。 

Posted by nino